会津本郷焼の魅力と特徴 | 暮らしの器

会津本郷焼の魅力と特徴 | 暮らしの器

出典:会津本郷焼

会津本郷焼は会津の若松城(旧:黒川城 現:鶴ヶ城)の瓦から始まったと言われています。
東北最古の陶磁器の産地。

幾たびの戦争や、まだ記憶に新しい東日本大震災などの苦境を乗り越え、発展と文化の継承を遂げてきました。
その風合いからは会津の風土に寄り添った形が垣間見えます。

そしてこれまで民藝好きの人々を虜にしてきました。

民藝好きな方もそうでない方も、その風情あふれる会津本郷焼の魅力を今一度見てみませんか。

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会津本郷焼(あいづほんごうやき)とは

福島県の大沼郡会津美里町近辺が主な産地です。

陶土と磁石が採掘できるこの土地では「陶器」と「磁器」両方が作られています。
会津本郷焼は、日本全国でも珍しく、「陶磁器」両方が作られています。

歴史

会津本郷焼の始まりは1593年とされています。

そもそも会津若松城(現在の鶴ヶ城)を改修する際、城主の蒲生氏郷が瓦職人を会津に呼び寄せ、瓦を焼かせたのが始まりといわれています。

陶磁器が作られ始めたのがそこから約50年後の1645年。
瀬戸出身の陶工・水野源左衛門が本郷村に原土を発見、作陶を始めたのが会津本業焼の始まりです。

ただしその当時、まだ陶器のみです。
磁器が作られたようになったのは1800年ごろ。
呉須(ごす)という青色の絵の具を使った染付をはじめ、色絵の磁器など様々な磁器も作られていきます。

次第に生産量を増やしていき、会津本郷焼は東北を代表とする陶磁器の生産地となりました。

しかしながら1868年に始まった戊辰戦争では陶工も出陣させられ、窯元も戦火に巻き込まれてしまいます。
その後、復興は難しいとされていましたが、村全体で復興活動を行い、再び発展させ、ついには欧米各国へ輸出させるまでになりました。

しかしながらまた1916年の大火では多くの窯元が焼け、昭和の民藝ブームで再燃をはかると、1993年、経済産業庁により伝統工芸に指定されました。ただし、その一方またしても2011年東日本大震災で大きな被害がでました。

ただ、度重なる困難にも会津本郷焼の伝統は絶えることなく、今も人々に愛される陶磁器が作られています。
現在は13ほどの窯元が日々作陶に励んでいます。

会津では毎年9月には陶祖・水野源左衛門、磁祖・佐藤伊兵衛の2人を偲び、「陶祖祭」が催されます。

会津本郷焼の特徴と魅力

陶器にしても磁器にしても、飾り気がないのが特徴といえます。

ただ、のっぺりしているわけでなく、重圧感というか存在感のある表情があります。
言ってみれば「素朴ながらぬくもりを感じる」陶磁器

陶器は厚みの土台に飴釉をたっぷりかけ、登り窯で焼き上げます。
本来は生成後に生掛け(素焼きせずに釉薬をかけること)をしました。

仕上がりは濃厚な艶色・白・コバルトが微妙に現れ、流れたような景色となります。

ただ、会津本郷焼は窯元によって特有の釉薬を使用するため、驚くほどそのバリエーションは豊かです。

そもそも会津本郷焼の陶土も磁石もガラス質成分を多く含むため焼成の際溶けてしまうため、厚めに作られます。そのぽってりとした器は、なぜか人の手になじみ、生活になじむ器なのです。

会津本郷焼のニシン鉢

ニシン鉢

出典:宗像窯

会津はその昔、冬雪深くアクセスの悪さから冬場タンパク質をとるための保存食は欠かせないものでした。
ニシンの山椒漬けもそのひとつです。

ニシンの山椒漬けとは「身欠きにしん」と山椒の葉を交互に重ねていき、醤油や酢などで漬けこんだものです。
会津地方では各家庭で作られていました。

これを漬けるためのニシン鉢は会津本郷焼の代表的なアイテムのひとつです。
民藝ブームの時期は柳宗悦らがこのニシン鉢に惚れ込み、ベルギーのブリュッセルで開催された万国博覧会に出典したところ見事グランプリを受賞したといいます。

それから会津本郷焼のニシン鉢は一躍脚光を浴びましたが、今では老舗窯の宗像窯でしか作られていないそうです。

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会津本郷焼の今

2011年の東日本大震災では、会津本郷焼の窯元の登り窯の破損、工房の倒壊など大きな被害がでました。

老舗窯の宗像窯の登り窯も登り窯が壊れ、修復後火入れができたのは4年後といいます。

原発事故の風評被害もあり、会津本郷焼は存続の危機となりかけましたが多くの支援により再建できた窯元もあったといいます。

この歴史と培われてきた技術を今後もずっと存続していってほしいと願うばかりです。

飴釉やコバルトの微妙な重なり加減や独特の艶、会津本郷焼の器は素朴ながら実用性もあり、見ていて飽くことのない風情があります。
今も頑張って作陶している窯元をこれからも応援していきたいですね。

どこで手に入る?購入法

会津本郷焼は会津の瀬戸町では十三ほどの窯元が集まっています。

会津本郷陶磁器会館ではそれらの窯元の商品を一斉に見ることができます。

会津本郷陶磁器会館
住所:大沼郡会津美里町字瀬戸町甲3162
電話:0242-56-3007
営業時間:09:00~17:00 水定休
参考:https://gokujo-aizu.com/areainfo/1312

また、こちらでは各窯元の作品がネットで販売されています。ぜひ一度チェックしてみてください。

会津本郷焼:https://aizuhongouyaki.jp/

少し厚手の器が多いですが、意外と使い勝手のよい会津本郷焼の器。
ぜひ一度手に取って選んでください。

食材・料理を選ばない魅力的な器であることがわかるはずです。

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