印伝(印傳)は山梨県甲州に伝わる、革の伝統工芸です。
浮き出た模様は漆で型染したものです。
なんか渋くて古臭い?
いえいえ、今甲州印伝は新しいデザインからその使い勝手の良さも加えて様々なアイテムが生まれています。
実は新しい、印伝とは?
印伝(印傳)とは
印伝(印傳)とは鹿の革に漆で模様をつけた山梨の工芸品です。
日本で唯一の革工芸品とも言われています。
「印伝」という名称は知らなくても誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか。
漆を色づけし、江戸小紋などと同じ伊勢型紙を使用しています。
一番多く出回っている鹿革に漆を型づけした「漆付け技法」、鹿革をいぶす「燻べ技法」、色漆を一色ごとに型紙で色づけする「更紗技法」があります。
どれも柔らかな鹿革に漆を施すので軽く、丈夫で手に馴染みやすいのが特徴。
使うほどにツヤがでてきます。
印伝の歴史
印伝は400年の歴史ある伝統工芸と言われていますが、印伝に近い技術はもっと古く古墳時代までさかのぼるとも言われています。
鹿革を加工する技術が日本に入ってきたのは、西暦400年代で、当時草木から抽出した染料で模様をつけていたのが印伝の始まりという説もあります。
そこから軽くて丈夫な鹿革は武具などに使われるようになりました。
室町時代、武田信玄は、武具を収納するために「信玄袋」と呼ばれる鹿革の袋を愛用していたと伝わっています。
今のような漆で模様付けをするようになったのは江戸時代になってから。
甲州の革職人が漆を使い始め、人気に。
工芸品として全国で作られていましたが、現在作られているのは山梨県甲州のみとなり、「甲州印伝」という呼び名が定着しました。
印伝というなの由来は諸説あり、1600年代来日した外国人が幕府にインド革製品を献上したことから「インド」転じて「印伝(印傳)」となったとも言われています。
1987年国の伝統工芸品、経済産業大臣指定伝統的工芸品に認定されました。
印伝の作り方
【漆付け・更紗技法】
1. 鹿革の表面を滑らかに整えます。
2. 革を染色します。鹿の革のしなやかさを損なわないよう、芯まで染め上げます。
3. 製品の大きさに合わせて裁断します。
4.ここから柄付け(模様付け)になります。
漆置きの場合は、着物の型染と同じ要領で伊勢型紙を置き、漆をへらでのせていきます。
更紗技法は型紙を一色ごとに変え、着色した漆をのせていきます。
【ふすべ技法】
1. 最初に鹿革に紋様となる麻糸を巻き付けます。
タイコという金属の円柱の表面に貼り付け、藁を炊いた煙によりいぶし黄褐色に染めます。
2. 製品の大きさに合わせて裁断します。
3. 再度鹿革を、いぶします。仕上げに松脂で4~5時間燻すことにより茶褐色になります。
4. 絵付けし、乾燥させ、縫製します。
印伝の代表柄
蜻蛉
トンボ柄は印伝の定番柄です。後ろには飛ばないことから「勝ち虫」と呼ばれ、昔から武将の甲冑などに用いられた柄です。
小桜
日本人が古来から愛した桜を模した柄。
貴族から武士まで広く愛されたと伝わります。
庶民に広まったのは江戸時代に入ってから。
一見可愛らしいですが、鹿革の色と模様の色の組み合わせによって老若男女使える万能柄です。
菱菊(ひしぎく)
二方向の平行線が重なってできる菱形。
長寿祈願の意味がある縁起の良い柄です。
鱗
魚の鱗に似ている三角形が並んだ柄。
古墳時代から存在する縁起ある柄と言われています。
シンプルなため好き嫌いもなく、贈り物としても最適です。
最近の印伝アイテム
定番アイテムの財布や名刺入れのほか、最近は時代の流れにそって様々なアイテムが製造されています。
スマホポシェット
今や定番になりつつあるスマホポシェット。ちょっと個性が光る印伝のスマホポシェットはどうですか?
男女問わず使えます。
もちろん、ご年配の方への贈り物としても喜ばれそうですね。
お出かけ用のポシェットとしても使えます。
変わり柄アイテム
古典柄も可愛いけれど、最近はご当地?柄も続々と出てきています。
ドラえもん柄や東京駅限定の駅舎柄やスイカペンギン柄など。
歌舞伎座の家紋柄などもショップで販売されています。
スマホケース
手になじみやすく、滑りにくい印伝の質感はスマホケースにピッタリ。
お気に入りの色柄を選べるのもうれしいですね。
印伝の使い方の注意事項
さほどお手入れには神経質にならなくてもいい印伝ですが、そこは自然素材が使用されているのでいくつか使用上の注意点があります。
漆である以上、紫外線が苦手。直射日光にさらすと劣化が進みます。
濡れると鹿革が硬くなるので、なるべく濡れないように。
万一濡れた場合は擦らずに自然乾燥させてください。
使用前に革用防水スプレーを離して軽く吹きかけておくと汚れ防止にもなります。
ベンジンやワックスなども劣化の原因となります。
以上、なんか古臭くて年配の人が使うイメージの印伝は、今はむしろ新しいアイテムとなりつつあります。
甲州印伝は意外と色々ショップで取り扱われていますので、ぜひ一度手に取ってみてください。
コメント