輪島塗の特徴と日常使いアイテム

漆に詳しくない方でも「輪島塗(わじまぬり」または「輪島漆器(わじましっき)」という言葉はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

日本代表の漆器で、先の東京オリンピック2020の卓球台も実は輪島塗で塗装されていたそうです。

漆器は実は産地によって独特の特徴があります。
今回は輪島塗についてのご紹介。

日常で使いたい輪島塗アイテムもあわせてご紹介いたします。

スポンサーリンク

輪島塗とは

近年、国外でも人気の輪島塗。
石川県の伝統工芸であり、日本代表の漆器でもあります。

能登半島の先端にある輪島市は、昔から海運の要所だったため木材はじめ漆器に必要な素材が豊富にそろったことからその産業が発展したと言われています。

その制作工程は100を超えると言われ、6~11の職種に分業化されています。
漆塗りは下地塗りだけでも20を超える工程があります。

1977年、国指定の重要無形文化財に指定されました。

輪島塗の歴史

輪島塗の歴史は古く、起源は室町時代に根来寺の僧が大陸から伝えたとの説や、近くの柳田村に伝わる合鹿碗(ごうろくわん)が原型という説など諸説あります。

「朱塗扉(しゅぬりとびら)」という室町時代に作られたのが輪島塗で一番古いとされていますが、鎌倉時代、さらに6800年前もの漆器も輪島の能登半島から出土されていることから、かなり古くから作られたのではないかと言われています。

現在の作り方が形成されたのは江戸時代になってから。

輪島塗では塗師(漆を塗る職人)が自ら問屋を通さずに販売に出、輪島の海の運路を活かし、販路は日本全国に広まりました。輪島塗は一気に日本に知られることとなったのです。

輪島塗の特徴

輪島塗は他産地の漆器に比べると、圧倒的に堅くて丈夫と言われています。

それは「布着せ」と呼ばれる下地塗りの時に麻などの布で生地の弱い部分をあらかじめ補強する技術。
さらに輪島特産の地の粉(珪藻土の一種)を下地に使うことが理由。
この地の粉の使用は輪島の職人しか使うことが許されていません。

下地塗りだけでも20を超える工程は、結果漆器の強度を高める役目もあり、輪島の漆器は寿命が長いとされています。

スポンサーリンク

輪島塗制作工程

繰り返しになりますが、輪島塗の全行程は多いものでは100を超えます。

1.木地作り
輪島塗の木地は、ケヤキやミズメサクラ、ヒバなどの木が使われます。
伐採してから2~3年経過した完全に枯らせます。
その後荒削りしていきますが、輪島塗の場合荒削りをしてから一度燻煙乾燥させ、さらに数カ月から1年近く乾燥されます。

その後本削りとなり、形を作っていきます。

2.下地
本塗りの前に下地をしっかり塗りこみます。
生漆に米のりや「輪島地の粉」を混ぜ合わせたものを塗付しては研ぎを繰り返します。
さらに生地の継ぎ目や割れ目を少し彫り、下地を塗ることにより補強していきます。

輪島塗特有の下地に布を当てる「布着せ」もこの段階で行います。

この下地の工程が輪島塗の堅牢さを生み出し、さらに長く使える漆器が出来上がります。

3.上塗
下地がしっかり施されてから何層にも重ね本塗りがされます。

輪島塗の場合は生漆(きうるし)と言われる、採取したままの漆は使わず、加熱したり練りこんだりとひと手間加えます。
このひと手間によって経年劣化を防ぐことができ、長く美しい漆器ができるのです。

4.加飾

蒔絵などの装飾のほか、上塗りにさらに磨きをかけるなど様々な手法があります。
仕上げ法には「塗立(ぬりたて)」と「呂色(ろいろ)」があります。

「塗立」は漆を塗ったそのままの色艶を活かすもので、一方「呂色」は上塗りをさらに研ぎ、漆を摺り込みながら磨く作業を繰り返します。それにより、漆の艶にさらに奥行きができしっとりとした美しい仕上がりになります。

また輪島塗の代表的な加飾は「沈金」。
上塗りに模様をうすく彫り、そこに漆を塗りこんで金箔や金粉を埋め込んでいく、繊細な作業です。

日常使いの輪島塗おススメアイテム

実際輪島塗って高級そうで無縁と思っている方も多いかもしれませんが、丈夫な輪島塗だからこそ日常使いにてきしているのです。

蒔絵など豪華な仕上げが施されているものだけではありません。
ぜひ一度使ってみることをおススメします。

汁椀

輪島塗の丁寧な塗りを楽しめるアイテムです。
使用頻度も高いので、丈夫な輪島塗のお椀はおススメ。

漆は使っているうちにさらに艶がでてきますので、その経過もぜひ楽しんでください。

安心できる専門店で購入すれば、万一漆が欠けても塗りなおししてくれます。

値段は10,000円くらいと少々高く感じるかもしれませんが、上記の工程をみれば納得できますね。
ただ、毎日使うもので長く使えるとなると、むしろコスパはいいかもしれませんね。

反対に安いものは地塗りなどに樹脂などを使用してる可能性もあるので注意してください。

毎日使う箸も輪島塗なら種類も豊富で、高品質なものがそろいます。
蒔絵が施されたものなど、日常使いには敬遠しがちですがお箸ならワンポイントでついているものなどデザインも豊富。

こちらも削れたら塗りなおし可能。
漆は天然成分なのでお子さんにも安心です。

価格は3000円くらいからあります。

取り皿・銘々皿

少し深みのあるお皿があると便利です。
漆は熱伝導率が低いので、アイスやシャーベットなどは溶けにくくなります。

その他冷たいもの、温かいものも同様。

軽いですし、何かと便利に使えます。

どんなアイテムを選ぶにしても、製造元をチェックししかるべき輪島塗の手法で作られているかはチェックしてください。

今や伝統工芸は製造元はさほど多くありません。
製造元がちゃんとしていれば、何かあったときにしっかり修復してくれます。

また安すぎる漆器は上塗りだけ本漆を使い、木地も樹脂固めしていたり下地が樹脂だったりする場合があります。

「電子レンジ・食器洗い乾燥機対応」の表示がついているものは本漆ではありません。

お手入れと使用上の注意

手入れは特別なことはありません。
ただ、食器洗い乾燥機は使わず、柔らかいスポンジで手洗いしてください。

急激に熱いものをのせたり注いだりしても変色の原因となるので注意したほうが安心です。

水気を切るときは、堅いものを重ねると傷が付きやすいので注意してくださいね。

漆器は乾燥に弱いので普段使いに向いています。

使っているうちに艶も出てくるのでぜひ楽しんでください。

輪島塗は他産地と比較しても、工程が細かく、それぞれ分業しています。
さらにゆっくり乾燥しながら丁寧に作られることから、当然値段も上がります。

高級漆器のイメージがありますが、そんなことはありません。

丈夫な漆器だからこそ日常に気軽に使いたい漆器です。

こちらの記事もぜひご参考ください。
> 漆をもっと日常に 漆器の選び方と使い方

東京オリンピックの卓球台も静かな輝きを放っていました。
漆の魅力は使ってみないと分らないものです。

ぜひ自身お気に入りのイッピンを見つけてください。

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました