信楽焼の魅力と特徴 | 暮らしの器

信楽焼の魅力と特徴

「おさなどき あつめしからになつかしも しがらきやきのたぬきをみれば」

昭和天皇が信楽焼のたぬきをみて詠まれた句です。

信楽焼といえばたぬき?
いえいえ、茶人にとっては切っても切れない焼物のひとつです。

最近ではNHKの朝ドラ「スカーレット」で扱われ、知名度もさらに高まりました。

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信楽焼とは

信楽焼(しがらきやき)とは滋賀県の伝統工芸の一つで、六古窯(ろっこよう)と呼ばれる日本で最も古い焼物の産地のひとつです。

昔から茶人にも愛された信楽焼は、今でもその素朴さから焼物好きの間では愛用者も多いと聞きます。

この独特な風合いはなんといっても陶土。
信楽焼の土は「木節粘土(きぶしねんど)」という黒っぽい土と、「蛙目粘土(がえろめねんど)」という白土をそのまま使っていることがポイント。

この土により焚き方などによって色合いが微妙に変化し、信楽焼のごつごつとした土肌に美しいツヤがでます。

そもそも信楽焼は琵琶湖の南に位置する土地で作られています。
ここにその良質な土が取れるからです。

実はここ、400万年前は琵琶湖があったとされています。
長い年月かけ少しずつ地形が変わり、琵琶湖は現在の位置になりました。

元々琵琶湖の湖底だった土が信楽焼のあの独特の風合いを出しているのです。
信楽焼は400万年前の土からできているということですね。

茶人を魅了したわびさびの風情を漂わせる陶器は、手に取ると温かみがあり、時代を経てもなお不動の人気の陶器と言えます。

戦後は日用品やタイルなどを中心に作れるようになりました。
実際信楽焼のタイルは国会議事堂の屋根(ピラミッド部分)などに使用されています。

また、岡本太郎が「太陽の塔」を製作する際、黒い太陽を信楽で作成したことも有名です。

信楽焼の特徴

信楽焼は耐火性と粗い土質が最大の特徴。
代表的なものは釉薬を使わず焼き締めと呼ばれる土と窯焼きによる自然な変化が美しい焼物です。
ごつごつとした土は焼くと独特のツヤがでます。

最近は釉薬を使ったものも作られていますが、全体的に装飾は少なく用途を選ばない使い勝手の良さが人気の要因でもあります。

焼成や作り手により価格帯は大きく変わりますが、一般的には同じ六古窯の備前焼や常滑焼などと比較しても安め。

そのため茶道具などの高価なものから一般的な食卓で使う器など幅広く親しまれています。

黒褐色の発色は信楽焼特有の自然釉のものであるため、好みの焦げの器を探すのも楽しみのひとつでもあります。

土本来の風合いを活かし、どれ一つとっても同じものがない信楽焼は、わびさびの風合いをそのまま表現された

信楽焼の歴史

発祥は奈良時代、742年聖武天皇が造営した紫香楽宮(しがらきのみや)の瓦を焼かせたこととされています。
愛知県の常滑焼の技術が用いられたとされています。

当時穴窯で焼かれた素朴な陶器は、室町・桃山時代以降茶人の間で大人気となり、発展していきました。「茶陶信楽」という言葉が生まれたとされています。

武野紹鴎が信楽焼の素朴な風合いを好み、見立てとして茶道具として使いだしたのが始まり。
それまで日用品を中心に作っていた窯元も

江戸時代になると茶壺の生産が盛んになり、幕府へのお茶の献上の際の壺としても信楽焼は使われていました。

やがて明治になると耐火性に優れた信楽焼火鉢が流行し、日本の90%ほどのシェアとなったほどだと言います。

信楽焼は六古窯として世界遺産に登録されているほか、1975年経済産業大臣指定伝統工芸品に指定されています。

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信楽焼の狸のヒミツ

信楽焼といえばたぬきの置物を連想される方も多いかもしれません。

これは先に紹介した昭和天皇が、信楽を訪れた際、たくさんのたぬきの置物を並べて天皇をおむかえし、冒頭の句を詠まれたことから一気に有名になりました。

そもそもなぜたぬきが作られるようになったのでしょうか。

始まりは明治時代の陶工、藤原銕造(ふじわら てつぞう)氏によると言われています。
実話かどうかは不明ですが、京都で修行中に河原でたぬきが腹鼓を打っているのをみた藤原氏。その貴重な体験を形にと、信楽にもどってからたぬきを作り始めたそうです。

その後、一躍有名になったのは昭和になってから。
天皇が日の丸の旗をもったたぬきの置物と並んだ写真が新聞に載ったこと、さらに幼いころに集めていたたぬきを思い出し詠まれた句が紹介されたことから、信楽焼=たぬきの置物というイメージが定着しました。

現在、信楽町新宮神社にはこの歌が刻まれた碑が建てられています。

たぬきは縁起物。
特に信楽焼のたぬきは災難をさける笠をかぶり、周囲をしっかり見渡せる大きな目をして愛想のよい笑顔。
手に持っている徳利は人徳を身に着けるため、通い帳は信用第一の証だといいます。

どこか滑稽にみえるたぬきのあの姿にもちゃんと縁起を担ぐための願いが込められているんですね。

ちなみに徳利に書かれている「八」の字は、八方丸く収まる・末広がりなど含めていくつかの意味が込められているそうです。

置き場所

たぬきの置物、縁起物だし小さいものならちょっと家に置きたくなりませんか?
実はおススメの置く位置があるんです。

信楽焼のたぬきは、商売繁盛の縁起物なので、玄関先や庭。
家の中なら家族の集まるリビングなどがおススメです。

今となっては色々なサイズやバリエーションがあるので、ぜひ自身で実際見て選んでください。
良いご縁がきっとありますよ。

古くて新しい信楽焼

信楽焼というと、渋くてちょっと使いにくいというイメージを持つ方も多いかもしれません。

いえいえ、今となっては伝統的な技術を継承しつつ、今すぐにでも使いたい器が作家さんの手で日々作り出されているんですよ。

一部ご紹介いたします。

素朴でスタイリッシュ 古谷製陶所

最近は釉薬をかける信楽焼も多く作られるようになりました。
この古谷製陶所は信楽焼らしさの素朴さとスタイリッシュな形を追求した、人気の信楽焼。

電子レンジの使用ができるような仕様になっているものも。
毎日でも使いたくなりますね。

個性的でいて使い勝手抜群 文五郎窯

文五郎窯

出典:CRAFT STORE

モダンなデザインでどこかユニーク。
信楽焼?とちょっとギモンに思ってしまうほどの日常に寄り添った器たち。

料理を選ばない使い勝手の良さは間違いないでしょう。

【信楽焼の産地情報】

JR東海道本線草津駅→JR草津線貴生川駅→信楽高原鐡道 信楽駅下車

滋賀県立陶芸の森
住所:滋賀県甲賀市信楽町勅旨2188-7
電話:0748-83-0909

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