弁当箱やお盆、おひつなどが人気の曲げわっぱ。
秋田杉の特性を活かしたその製品の魅力ってどこにあるんでしょうか。
自然の風合いが素敵だからというだけではなさそうです。
その特性、さらに意外とカンタンな手入れ法についてです。
曲げわっぱの魅力と特徴
曲げわっぱは秋田大館の伝統工芸品です。
秋田で曲モノが作られるようになったのは1,300年ほど前と言われています。
なぜ曲げわっぱが人気となっているのか。
人気インスタ(すみません、アカウント名忘れてしまいました)の曲げわっぱの弁当箱に詰めたお弁当から火がついたようです。
曲げわっぱは秋田杉の木目にそって薄く切りだした木地をしなやかにし、型に沿わせて曲げ、桜の木の皮で固定させたものです。
無塗装の曲げわっぱの弁当箱やおひつは炊いたご飯の水分をうまく逃がしてくれるので、ご飯が傷みにくく、かつ美味しさが保てると話題になっています。
また木目を活かした製品は見た目も美しく、特にお弁当などは美味しそうに見えます。
最近は手入れのしやすさや、天然素材ならではの特性でもある黒ずみが気になる人も多いそうで、漆やウレタン塗装のものも増えてきました。
塗装したものはこの曲げわっぱの最大の特徴でもある、余計な水分を逃して食材の鮮度と味を保つということはできません。
ご飯の余りをタッパーなどに入れ、冷蔵庫にいれておき、翌日蓋を開けると蓋には水滴がいっぱいなのに、ご飯は乾燥師が地なんて経験ありませんか?
曲げわっぱの弁当箱などにちょっといれておくだけで、美味しい状態で保存できるのです。
もちろん、冷蔵庫に入れる必要はありません。
これらのことから個人的にも無塗装がおススメ。
今でも曲げわっぱ制作販売ではトップの柴田慶信商店さんの初代当主慶信さんは白木(無塗装)の良さを百貨店の物産展などでお客さんひとりひとりにその良さを説いてまわったという逸話もあります。
曲げわっぱの制作工程はどの工程もすべて職人さんの手で作られています。
「弁当箱としては値段が高い」
という声もありますが、それは厳選された貴重な材料と、職人の手によって一つ一つ作られてるためです。
その工程はこれだけあります。
「製板」樹齢150年以上の天然の秋田杉を板材にし、削る
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「はぎ取り」板の両端を薄くする
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「煮沸」板を80度になるまで煮る
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「曲げ加工」丸太に沿って巻き、割れないよう丁寧に曲げていく
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「乾燥」乾燥室で7~10日ほどかけて乾かす
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「接着」乾燥させた部材をしっかり接着させていく
板バサミでしっかりと止めて、約1日くらいおく
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「底入れ」底板をはめこむ
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「桜皮とじ」接着部分を桜の木の皮で綴じる
これが曲げわっぱ側面のワンポイントになる
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「仕上げ」出っ張っているところなどすべてヤスリやろくろで滑らかに手仕上げ
なんと、ひとつのわっぱができあがるまで約3週間!
プラスチック製の弁当箱と価格だけで比較すれば桁が違ってきますが、その工程となによりご飯がおいしく食べられることを考えると決して高価という訳ではないように思えますが、どうでしょうか。
また、安い弁当箱はこの仕上げができていないため、塗装されています。
それはご飯の保存性も美味しさも維持できません。
また、手入れが面倒そうという声も聞きますが、まったくそんなことはありません。
食洗機は使えませんが、面倒な手入れはほとんどいりません。
具体的な手入れ方法を見ていきましょう。
曲げわっぱ手入れ法
木のまな板と一緒で、いくら腐食しにくい秋田杉とはいえ、やはり手入れはしっかりしないとカビが発生したりします。
また、生の木材を使用しているので使う前と洗った後の乾燥方法には注意が必要です。
【使い始め】
軽く水で濡らしてから使うと匂いや色移りが防げます。
さっと水で流す程度でもOKです。
【使い終わり】
お米などがこびりついていたら、お湯か、水に10分ほどつけます。
その後、粉状のクレンザーをふりかけ、たわしで洗います。
好みになりますが、クレンザー&たわしで洗い続けると生地の筋が際立ってきてそれはそれで木目の美しい風合いがでます。
なるべくなめらかな状態で使い続けたい場合は、スポンジでこすって洗ってください。
油汚れがある場合は少量の中性洗剤をつけて洗います。
よくすすいだら、伏せずに上向き(内側を上)にして乾燥させます。
乾かないうちにまた使用すると、黒ずみの原因になるので、なるべく早く乾燥させるようにしてください。
熱めのお湯の方が水切れが早いのでおススメです。
※重層や漂白剤は使用できません。
※中性洗剤もなるべく控えた方がいいです。
※食器洗い機や電子レンジは使えません。
黒ずみとカビ
黒ずみは自然の木を使用している以上自然に発生するものであり、人体に悪影響を与えるものではありません。
気になるようであれば軽くサンドペーパーをかけてみてください。
あまりひどいものでなければ、落ちます。
まずはしっかり洗ってよく乾かすことが黒ずみ防止になります。
まあこれは曲げわっぱに限ったことではありませんが、、、。
カビが発生した場合、漂白剤を使用できないのでこれは諦めるしかないようです。
生地にしっかりカビの菌糸が入り込んでいるので、そのまま使用するのはやめましょう。
杉には殺菌効果もあるため、そもそもカビは発生しにくいのですが、食べカスなどが残っていたり、乾燥が不十分だったりすると当然カビは発生します。
曲げわっぱのおススメアイテム
曲げわっぱ製品は驚くほどアイテムが多いのですが、やはりその特性を活かした「弁当箱」と「おひつ」はおススメです。
お盆も本当にキレイで愛用しているのですが、できればおひつが欲しい。
ちゃんとした販売元で購入すれば、修理などもしてくれます。
使いこむほどその表情が変わり、愛着がわいてくるという曲げわっぱ。
カップなどで日本酒を飲むとほのかな杉の香りも混ざり、なんとも味わい深くなると言われています
ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
秋田杉大館の曲げわっぱはこちらで買えます。
伝統工芸士5名を含む26名の職人ですべて材料の調達から制作まで一貫しておこなっています。
住所:秋田県大館市釈迦内字家後29番地15
電話:0186-48-7700
オンラインショップはこちら>
曲げわっぱといえばココ。浅草の店舗も人気です。
破損した場合は修理の相談ものってくれます。
住所:秋田県大館市御成町2丁目15-28
電話:0186-42-6123
【実店舗】
日本橋三越 本館5階 デイリーダイニング / 有限会社 柴田慶信商店
住所:中央区日本橋室町1-4-1
柴田慶信商店 浅草店(オレンジ通り)
住所:東京都台東区浅草1-17-5
ここのおひつは側面と底のつなぎ目がアール加工しているので、ご飯が隙間に入り込みにくくなっています。
細部にまでこだわった作りで人気です。
住所:秋田県大館市字中町38番地
電話:0186-42-0514
購入はこちら(五代目 池庄)
最後に
人気のインスタから発生した曲げわっぱ弁当箱ブーム。
一度使い始めると手放せなくなるユーザーも多いと聞きます。
「なんとなくインスタ映えするから素敵」でなく、曲げわっぱの弁当箱だからお弁当が美味しいということがしっかり伝わっていることに感服。
職人の手により丁寧に作られたものは今の時代でも重宝するということが良く分かります。
世界に誇れる技術だと、個人的には確信しています。
私は弁当がなかなか作れないのですが、曲げわっぱの弁当箱を買えば少しはやる気がでるだろうか。。。
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