漆って驚くほど種類が多いですね。
産地によってその特徴が異なります。
津軽塗もそのひとつ。
日常使いしたい津軽漆器の魅力と普段の手入れ法についてのご紹介です。
津軽塗とは
津軽塗とは青森県産地の漆器。津軽は日本最北端の漆器産地となっています。
主に弘前市周辺で作られています。
江戸時代中期より弘前藩藩主津軽信政公が津軽の産業を育成するために職人を集め、漆器の制作を始めたのが始まりとされています。
「津軽塗」と呼ばれるようになったのはそれからずっと後のことですが、歴史は300年を超える、経済産業指定伝統的工芸品です。
津軽塗の特徴
津軽塗はその技法により数十回塗り重ね、研磨を繰り返し、出来上がるまで2ケ月以上かかります。
そのため、とても厚みがあり、耐久性に優れた漆器となります。
地もヒバの木を使用しており、地も丈夫なのが分かります。
下地作りは「堅下地」という、研磨した木地全体に防水のために直接漆を摺り込んだあと、布を米糊で貼ります。
この下地作りにより、木地の割れや狂いを防ぐことができます。
「研ぎ出し変わり塗り」という技法で幾度にも色漆を塗り重ね、研ぎだししている独特の塗り方が特徴です。
唐塗・七々子塗・錦塗・紋紗塗と津軽塗の中でも4種の技法があります。
これが津軽塗最大の特徴です。
唐塗(からぬり)
津軽塗の代表な技法。生産数も津軽塗の中で一番多いそうです。独特の斑点模様は色漆を塗っては研ぐという作業を繰り返し、48もの工程を経て出来上がります。
完成まで最低1ヶ月半はかかります。
昔大陸からの輸入物を「優れたもの・珍しいもの」という意味を含めて「唐物」と呼ばれていたことからこの技法の漆器を唐塗と命名されました。
斑点の出方は個体にとって異なるため、二つとして同じ模様のものはありません。
七々子塗(ななこぬり)
名前の語源は魚の卵を連想させる模様から。「七子」「魚子」「菜々子」「斜子」などの漢字があてられる
その独特の模様は好き嫌いの分かれるところですが、この模様は菜の花の種を塗りたての漆に蒔きつけ、その種をそぎ落としさらに研ぎだすことによって生まれます。
現在となっては津軽塗特有の模様ですが、「ななこ」の名称は他地方でも記述があるそうです。
そのため、他地方でも作られていたと考えられています。
紋紗塗(もんしゃぬり)
紗とはもみ殻。津軽ではもみ殻を紗と呼ぶそうです。
籾殻の炭を蒔きつけ、研ぎだすことにより紋紗塗特有の黒漆に線状の模様が浮き出ます。
研ぎ出し技法の中で最も独特なもので、津軽塗ならではの塗であると言われています。
重厚な雰囲気ながらシンプルなので生活にも取り入れやすいです。
錦塗(にしきぬり)
特に高い技術が必要とされている技法です。
七々子塗同様、菜種を蒔きつけそぎ落とし、さらにそこから模様をつけるといった大変手間のかかる技法です。
作れる職人さんも少ないため、製品も少ないそうです。
紋様は図柄と色使いに決まりがあります。
その柄を描ける技術も必要になることなども含め、津軽塗の中では一番新しい技法でもあります。
津軽塗人気アイテム
津軽塗というと生活に馴染みにくいのでは?と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ現代の生活に使いたい漆器のひとつです。
アイテムも日常に取り入れやすいものなど豊富に出回っています。
津軽塗汁椀
丈夫な津軽塗は毎日使うお椀に最適。
ひとつひとつ特徴があるので家族それぞれの好みの色を使ってもいいですね。
唐塗や七々子塗が一般的ですが、錦塗のお椀もいいですね。
津軽塗スマホケース
漆のスマホケースはちょっとかっこいいです。
確実に他の人と差が出るアイテム。
意外と渋いというよりむしろクールに感じますね。
漆の質感は手に馴染むので常に手に持つスマホケースにはもってこいの素材です。
津軽塗アクセサリー
津軽塗ペン
個性あふれるボディが津軽塗のペン。ちょっとした重厚感もあり、ビジネスシーンでも活躍しそうです。
漆器はもともと手に馴染む素材なので、使いやすさは保証済み。
贈りものとしても喜ばれそうなイッピン。
津軽塗コラボワイングラス
漆器のワイングラス型の酒器はあります。
漆器ならではの口当たりの良さが魅力ですが、赤ワインなどの色が分からないのが残念なところ。
こちらのワイングラスは津軽塗でワンポイントをいれることにより、ワインを入れるとさらに楽しめるアイテムとなっています。
漆の色がワインの色でさらに見え方が変わるのも面白いですね。
ただ一点、食器洗浄機は避けた方がいいですね。
津軽塗の手入れ法
面倒なことはありません。
ただし、傷つきやすいので軟らかいスポンジで洗ってください。
中性洗剤で洗えます。
(クレンザーなど研磨剤をふくむものはNGです。)
また、食器洗浄機も漆器が劣化します。
保管は陶器など固いものと重ねないこと。
漆器が弱いものは直射日光、紫外線、摩擦、急激な温度変化などです。
それさえ避ければ取扱いが大変なことはありません。
漆は手軽に日常に使えるものなのです。
津軽塗は長く大事に使うと合いが明るく鮮やかに変化していきます。
ぜひ大事に使ってその変化も楽しんでください。
また、漆器など日常使うことにより欠けたりした場合は製造元に相談すれば修復してくれます。
(アイテムによってできない場合もありますが)
長く使え、使っているうちに風合いが変わる漆器。
伝統の津軽塗をぜひ楽しんでみてください。
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