瀬戸焼の魅力と特徴 | 暮らしの器

瀬戸焼

出典:せと・まるっとミュージアム

日本の数ある焼物の産地の中でもひと際歴史の長い瀬戸焼は、愛知県瀬戸市で作られています。
その規模は日本一、二を争うほど。

その証拠に陶磁器の総称「せともの」はこの瀬戸焼が語源となっています

ではそんな瀬戸焼ってどんなやきものなのでしょうか?
その特徴と歴史のご紹介です。

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瀬戸焼ってどんな器?魅力と特徴

主な瀬戸焼の魅力は以下3つ。

  • 中世から受け継いだ施釉陶器
  • 馴染みやすい日常の器
  • 瀬戸独特のテイストの磁器

瀬戸焼は日本六古窯(ろっこよう)のひとつ。
六古窯とは中世(鎌倉時代から戦国時代くらい)前からすでに発展し、現在もなお存続しているやきものの産地6か所を指します。
愛知県では瀬戸焼・常滑焼の2つがこの六古窯に入っています。

元々、茶道具など高尚な器が主流でしたが、陶器の土と磁器の磁石が両方採取されることから陶器・磁器両方作成されることから江戸時代から日常使いの器も多く作られるように。

そこから一気に生産数が増加し、いつしか陶磁器の総称として「せともの(瀬戸モノ)」と呼ばれるようになりました。

若手作家も多く、陶器、磁器共にラインアップが豊富。日常に使いたい器中心にバラエティにあふれています。

陶器と磁器も作成されているのは日本全国の伝統的なやきものの産地でも珍しいので、瀬戸焼の陶器市、せともの祭は大人気です。

瀬戸焼の器

出典:みんげい おくむら

瀬戸焼の歴史

瀬戸焼は愛知県瀬戸市を中心として生産されている陶磁器で、日本伝統工芸にも指定されています。
その歴史はやきもの産地の中でもひと際古く、古墳時代1,000年を超えていると言われています

瀬戸焼は、猿投窯(さなげよう)という、古墳時代(3~7世紀頃)から鎌倉時代にかけて愛知県中心に発展した窯群より発生しました。

古墳時代にはすでに須恵器(朝鮮半島から渡った技法でろくろを使い1,000℃以上で焼成して作られる陶器)が作られています。

平安時代に入ると施釉陶器(釉薬をかけ焼成すること)の作成がはじまりました。(一説では鎌倉時代)
ほかのやきものの産地では焼き締めによるものだったので、施釉した瀬戸焼は大変重宝され、国内生産の陶器としては一番高級品として扱われたそうです。

鎌倉時代後期から室町時代の初期(十四世紀くらい)瀬戸焼は全盛期をむかえます。

しかしながらその後、戦国時代に入ると瀬戸地区は戦場と化し、陶工たちはお隣岐阜県の美濃地区へ避難。
そこで築窯し、作陶を続けることに。これが美濃焼の始まりです。瀬戸焼と美濃焼ではかなり趣向が似ているのはこのためですね。

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それでも江戸時代初期になると、尾張藩が陶工たちを瀬戸に呼び戻します。

瀬戸市赤津築で再度窯を始めたのが「赤津焼」ともよばれ、「こせとゆう」と呼ばれる黒みがかった赤褐色の釉薬、や灰釉といったグレイッシュな釉薬を中心とした陶器が作られました。

また瀬戸焼の活性化が期待される中、九州地区で「磁器」の生産が始まり、時代はその白い艶やかな器に魅了され、瀬戸焼はまた衰退していきます。

そんな折、加藤民吉が九州に磁器焼成技術を学び、その技術を瀬戸に持ち帰ってきました。
瀬戸は陶器の原料となる陶土にも恵まれていましたが、磁器の原料となる磁石も採掘できたため、瀬戸の磁器が「新製焼」として加藤民吉の手により広まり、瀬戸焼は復活をとげます。

尚、従来の陶器は「本業焼」と呼ばれ、輸出玩具の生産などアイテム・販売先を大幅に広げていったようです。

室町時代には茶道具で栄えた瀬戸焼も民藝と言われる日常のうつわを中心に展開され、明治から今日にいたり日本最大級のやきもの産地となりました。
いつしか陶磁器の総称として「せともの」を呼ばれるようになったのはこうした歴史を経てのことなんですね。

最近の瀬戸焼と産地情報

産地情報

瀬戸焼の陶磁器店は名鉄瀬戸線「尾張瀬戸駅」ほど近くの瀬戸川沿いにが並びます。

また観光案内に相談すれば絵付けやろくろ体験させてくれる窯元もあるようなので、ぜひ立ち寄ってみては。

また、使わなくなった陶板などを積み上げて作った塀が続く「窯垣」は瀬戸市の目玉スポットにもなっています。
400メートルに続く細い小道の壁にはぎっしり詰まれ、独特の模様を創り出しています。

名鉄尾張瀬戸駅から徒歩20分、名鉄尾張瀬戸駅から名鉄バス品野方面・古瀬戸経由、赤津方面・陶祖公園から徒歩3分の場所にあります。

「窯垣」近くの瀬戸本業窯は日本民藝運動で知られる、柳宗悦・濱田庄司らが訪れたとも言われる窯。
やきものオタクの私は一度は訪れたい窯元さんです。

瀬戸本業窯
住所:愛知県瀬戸市東洞町17

その他、赤津焼の窯元さんなど、ぜひ瀬戸焼の歴史を今も伝える現場に足を運んでみてください。
新たな瀬戸焼の魅力が見つかるかもしれません。

最近の瀬戸焼

瀬戸焼の伝統を今につなぐため、日々現代のくらしに馴染む器を作り続けている窯元さんも多数あるなか、若手作家がこの瀬戸に拠点を置き、新たな瀬戸焼を展開しています。

今の時代、やきものの産地はどこも継承問題から閉窯するところも珍しくありません。
そのため、こういった外からくる若手作家の存在はやきものの産地では活性化にも一役かっています。

「日本の陶器は古臭い」
そんな概念をもっているかたにこそ、ぜひ瀬戸焼に触れてほしいと思います。

きっとあなた好みの器が見つかるはずです。

瀬戸焼若手作家の器

出典:colocal『産地ゴト展 vol.04 “瀬戸”』

瀬戸やきもの情報
交通:
名鉄瀬戸線 尾張瀬戸駅下車
車の場合は東名道名古屋ICから約25分
問合わせ:0561-85-2730(瀬戸市まるっとミュージアム・観光協会)
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