有田焼の魅力と特徴 | 暮らしの器

有田焼の魅力と特徴 | 暮らしの器

陶磁器にとりわけ興味のない方でも「有田焼」という言葉はご存じではないでしょうか。
もしかすると日本で一番有名かもしれませんね。

そう、有田焼は日本はもちろん世界で知られる磁器なのです。

その有田焼の魅力とは。
伊万里焼とどう違うの?

知ってそうで知らない有田焼についての話です。

最後には筆者おすすめの窯元もご紹介します。

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有田焼とは

佐賀県有田市近辺で生産される磁器。
日本最古の磁器の産地です。

日本の磁器はここ有田から始まり、さらにヨーロッパに広がりました。

そう、中国からきた磁器は日本独自の染付の技術を発展させ、ヨーロッパがその影響を受けたと言われています。

日本は世界からみても古い磁器生産地ですが、陶器に比べると歴史が浅く、まだ400年ほどとされています。
陶器とは1,000年以上の歴史の差があるんですね。

そして1977年経済産業大臣指定伝統工芸品に指定されました。

有田焼と伊万里焼

伊万里焼もよく耳にしませんか?
鑑定のテレビ番組などでも「古伊万里」の壺や皿などがよく出てきますね。

実はこれはほぼ同じものと言っても過言ではありません。
有田市周辺で始まった磁器制作。

17世紀になると海外向けの製品も作られるようになりました。
海外向けには特に中国の高級磁器の模倣が作られました。それが伊万里の港からヨーロッパに出荷されていたため海外では「Imari」と呼ぶようになったのが始まりとされています。

古伊万里とは、江戸時代に作られたそれら有田焼・波佐見焼・三川内焼など含めた総称です。
海外向けであったため、腕のたつ職人たちが集められ日々美しい磁器が作られていました。

それが21世紀になった今でも、価値あるものとして骨董業界でも高額で取引されています。

明治以降は有田市近辺で作られたものを「有田焼」、伊万里市近辺で作られたものを「伊万里焼」と呼ばれるようになりました。

有田焼の歴史

有田焼は1616年に李参平らが有田町の泉山で陶石を発見したことから始まりました。
李参平は豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、出征した肥前領主の鍋島直茂が日本に連れて帰ってきた朝鮮の陶工です。

その李参平が陶石を発見し、その有田で登り窯を作り、磁器を焼き始めたことが有田焼の始まりです。

磁器は陶石を砂状に砕いてそれを練り、磁器用の土にします。
有田の陶石から作られる焼き物は「雪のように白い」と評され、海外でも人気となっていきました。

その要因の一つはオランダの東インド会社との貿易の始まり。

その当時、磁器は朝鮮でしか作られていませんでした。
ですが中国は当時内戦の時代にあったため、そこからの輸入ができず、日本に依頼をしてきました。

有田焼の陶工たちはヨーロッパからの要求をうけ、美しい磁器を作り出していきます。
瞬く間に、それらはヨーロッパの王室でも重宝され、「IMARI」の名は一気に広まったといいます。

その技術を追うかのように、ヨーロッパ各地でも磁器の制作が始まりました。
今では世界的に有名なロイヤルコペンハーゲンやマイセンなどのブランドも同じです。

そう、意外と知られていませんが磁器の技術は日本からヨーロッパへ渡っていったのです。

有田焼の特徴

有田焼の特徴

有田焼と聞くと、絢爛豪華な華美な装飾の磁器、ハレの日につかうものとイメージされる方も多いようです。
実は有田焼は大きく「古伊万里様式」「柿右衛門様式」「鍋島様式」の3つの種類に分けられます。

それぞれの特徴について述べていきます。

古伊万里様式

江戸時代に作られた有田焼の総称。金襴手(きんらんで)という金、赤、緑、黄色などで細かい派手な装飾が特徴。

文様は鳳凰や龍、吉祥紋などが多く描かれています。

これは昔のヨーロッパ好みとされ、主に海外向けに作られていました。

名品としてメディアなどで紹介されることも多いので、有田焼というとこれをイメージされる方も多いのでしょうか。

柿右衛門様式

濁手(にごしで)といわれる乳白色の地に赤・青・緑・黄の絵付けが特徴。
「赤絵」と呼ばれ、1650年代から1690年代にかけて多く作られました。

柿右衛門とは酒井田柿右衛門。江戸時代の有田焼の名工です。

古伊万里様式とは対照的に、余白を活かした自然の描写が特徴。
マイセンはじめとするヨーロッパの各窯でも数々模倣されたと伝わります。

鍋島様式

鍋島藩窯様式とも呼びます。
赤・黄・緑の三色を基調とした「色鍋島」、藍で絵付けされた「鍋島染付」、大山内山の青磁原石を使い青磁釉をかけて焼き上げる「鍋島青磁」などがあります。

「色鍋島」は藩直営の窯として数々の美しい器が献上されててきました。

鍋島様式は「鍋島焼」とも呼ばれ、基本色のみで自然の植物などをモチーフに今も様々なアイテムが作られています。

シンプルながらその様式は他の磁器とは明らかに異なる風格があります。

昔は藩向けの高級食器として扱われていた鍋島焼ですが、今は日常使いやすい食器が作られています。

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有田焼の買い方のコツ

有田焼は伝統を守りつつ作られている窯元と、消費向けに大量生産されている窯元があります。
どちらがいいとか悪いでないのですが、覚えておいていただきたいのは一点一点職人が手描きしているものと、転写と呼ばれる器に模様を印刷しているものがあります。

ろくろから成形し、一点一点絵付けしたものは確かに少し値段ははりますが、長く使いたくなる風合いがあります。

見極めは値段と線の均一さ。
どんな匠でもすべての線を均一に書くことは難しいので、どこか手描きならでは濃淡がでます。

その濃淡が器に表情を出し、他と完全一致しない唯一のものとなります。
またろくろひきのものは少したわみがあったりしますが、手に取ると不思議と感触が違います。

せっかく有田焼を購入するなら手作りのものを個人的にはおススメしますが、まずはご自身でお気に入りのものを探してください。

余計なお世話ですが個人的につかっている窯元さんをご紹介します。

【李荘窯】
茶器や日常使いの美しい器は、一点一点成形から染付までクリエイターの手で作られています。
有田焼の伝統を受け継ぎながらモダンでスタイリッシュ。
そのデザイン性の高さと使い勝手の良さは定評があります。

李荘窯公式サイト:http://www.risogama.jp/index.html

【魯山窯】
鍋島焼の伝統を徹底して受け継ぎながらシンプルな使い勝手のよい器を作り出しています。
描かれているモチーフも自然のものと、けっしてモダンデザインではありませんが、器自体はシンプルで使い勝手がよいです。

私はマグカップを使っていて、毎日コーヒーをそれで飲んでいるのですが驚くほどコーヒーの着色(茶渋)がつきにくく、数年たった今なんとなくカップの底と飲み口についてきたところです。

堅く丈夫なので、毎日使っていても欠けやヒビなどは一切ありません。

おススメです。

魯山窯公式サイト:https://imari-ookawachiyama.com/pottery/lozan/

日本人として馴染みある磁器。
自分にとってとっておきのイッピンを見つけてくださいね。

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