藍染の魅力 効果や手入れ法

藍染の魅力 効果や手入れ法

大河ドラマでもおなじみ渋沢栄一の実家は藍染の原料となる藍玉販売が家業でした。

日本の藍の歴史は江戸時代くらいから。

大河ドラマの中でも
「阿波の藍をぬいて武蔵国が日本一に」
とよく台詞にでてくるように徳島県で特に盛んに生産されていました。

「ジャパンブルー」と海外の人から絶賛された藍
実は見た目だけではない実用的な効果があるんです。

色褪せしちゃった、洗濯に失敗したなど様々な経験を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
藍との付き合い方を知ってぜひ藍染製品を楽しんでください。

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日本の伝統藍染とは

藍染は体験などでハンカチなどを染めた経験ある方も多いかもしれません。

カンタンに見えて、実はかなり手間のかかるものなのです。

染料は原料の蓼藍(たてあい)を刈り取ることから始まりますが、実際染料になるまで半年近くかかります。

藍の染料を作ることを「藍を建てる」と呼ばれます。
「建てる」とは「発酵させること」。

発酵完了した藍を「すくも」といいます。

その分、かなりの時間と手間がかかるのです。

その見極めは、見た目や匂いなどで見極めます。
これは大河ドラマ「晴天を衝け」でもよく栄一の父がやっていますね。

この発酵した藍の水分を飛ばし、出荷するためにまとめるのがドラマででてくる「藍玉」です。

よくインディゴと混合されますが、インディゴとはインド産のインドアイを使用したものです。
化学染料が混ざっているものと思われがちですが、インディゴそのものは天然素材です。

なので藍染が天然染料でインディゴが化学染料という分け方は間違い。

ただ、染ムラがあったり保存が難しいことから今では「合成インディゴ」が主流になっています。
ジーンズなどの一般的な繊維にはこの合成インディゴが用いられています。

藍染の効果

実はこの藍は見た目の美しさだけではない、日常において嬉しい効果があるんです。

主な藍染の効果をあげてみます。

  • 虫よけ
  • 消臭
  • 抗菌効果
  • 紫外線防止

虫よけ

「たで食う虫も好き好き」という言葉。
藍の特性からできた言葉。

藍特有の匂いを虫が嫌うため、農業などの作業に藍染の作業着を着ると毒蛇や虫を寄せ付けない効果があります。

藍染の布を箪笥などの引き出しに入れておくと他の服の防虫効果があるそう。

「蓼(たで)食う虫も好き好き」のたでは原料の蓼藍(たであい)からきています。

消臭

藍染の衣服は保温性にすぐれているとも言われる一方、殺菌効果もあるため体臭を抑える効果があると言われています。

そのため、下着などにも適しているそうですが、決して安価で購入できないことからあまり一般的ではないようです。

抗菌効果

藍にはアドピー性皮膚炎などの皮膚疾患に効果的という研究結果があります。

アトピー性皮膚炎の原因となる「マラセチア菌」というカビの一種の菌の繁殖を抑える効果があることから、皮膚炎などの疾患のある方は天然藍で染めた衣服を着用することで、ある程度の症状を抑えられるそうです。

「トリプタンスリン」という藍に含まれる成分は、治療薬にも使用されている「硝酸ミコナゾール」よりも6倍近くの抗菌作用があるといいます。

体に優しい染料なんですね。

紫外線防止

藍は紫外線防止効果があるので、藍染のTシャツなどは日焼け防止にもなります。
日傘なども多く出回っていますね。

紫外線を浴びると藍の深い青は、だんだんと色褪せしてしまいますのでそれは注意してください。

そのほか止血やケガの時の化膿防止効果などの効用があるそうです。
江戸の藍染の町、今の神田付近は「紺屋町」と呼ばれ、町の衛生管理も司っていました。

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藍染製品の手入れ法

さて、藍染は「色落ち」が難点。
それは洗濯の場合だけでなく、着ているときも汗などで下着や肌に色移りしてしまうほど。

着る前と着るとき、さらに洗う時の諸注意です。

着る前

藍は酸素に触れさせることで色が定着します。
藍で染めた反物をその年浴衣などに仕立てられないといいます。
最低2年、反物を寝かし、藍を定着させます。
その間、たまに反物を広げ、空気に触れさせる工程を踏みます。

これはアルカリ性のまま残っている「藍」を酸化させ、中性にするためです。

すでに製品になっているものは概ね定着させているものですが、それでも念のため初めて着る前に一回水に通し、余分な藍を落としましょう。

水かぬるま湯に浸け、押し洗いします。
洗剤はこの時は不要です。

ぬるま湯だとかなり一度に色が落ちてしまう可能性があるので、水がおススメです。

干すときは直射日光に当たらないよう、陰干ししたほうがいいとも言われていますが、染色後色を定着する際は天日干しします。

藍染業者によってもブレがありますので、それは製品についている取り扱いについての注意事項をご確認ください。

洗い方

漂白剤の入っていない中性洗剤で手洗いを推奨します。

色移りが心配なので他のものと一緒に洗わないようにという場合と、基本多少の色落ちはしても他の繊維に色移りすることはないという説があります。

製品によって異なるようなので、それも洗い方の注意事項に従ってください。

色落ちの防ぎ方

よく酢をまぜて洗うと色落ち防止になると言いますが、結果からいうと絶対ではないようです。
空気に触れさせることと同じく、酸に触れさせることで中性にし定着させるという理論ですが、どうしても最初のうちは色落ちします。

ただ、少しずつ色を落とすことで使い手独自の色を作るとも言われています。

ジーンズなどの色落としと同じですね。

丁寧に洗い、お好みの風合いに仕上げていってください。

藍は使うほど独自の色になっていきます。
そもそも藍染の生地は丈夫なので、きっと長く愛用できるでしょう。

ちなみに伝統工芸の本建て正藍染めなら、色落ちもそこそこ、他の衣類と洗っても色移りすることはないと言います。下着などに仮に移っても洗えば落ちます。

つまり、どう藍を染めているかによって手入れ法・洗い方も異なってくるということですね。

失敗した!とならないよう、十分注意して大事に扱ってください。
だんだんと藍の色も仕上がってくるので、その経年の色を楽しむのも藍染の魅力です。

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