昨今の民藝ブームにより、さらに人気の高まっているやちむん。
見た目はかわいく、素朴なその風合いはファンも多いですね。
最近はセレクトショップなので取り扱いも多くなりました。
今回はやちむんを知っている方も知らない方も見直したいやちむんの魅力についてのご紹介です。
やちむんとは
やちむんとは沖縄の「焼き物」のこと。
代表的なもの「壷屋焼」「読谷焼」など。そのほか知花焼、涌田焼、古我知焼など沖縄の土地由来の名のついた焼き物があります。
おなじみのシーサーもやちむんのアイテムのひとつです。
最近は色彩豊かで独特の風合いが、SNSなどで映えるのか、またアパレルのセレクトショップなのでも取り扱われるようになったためか、関東などの器を取り扱う店では見られるようになりました。
形も色彩も独特なやちむんとは?
やちむんの歴史
やちむんのルーツは琉球王国時代にさかのぼります。
定かではないのですが1600年ごろから作られていたと伝わります。
この沖縄地方では縄文時代から焼き物は作られていましたが、現在のやちむんの原型は17世紀くらいに基礎がつくられました。
知花焼や涌田焼など、やちむんには土地の名のついた焼き物がありますが、中でも一番古いのが「喜名焼」と呼ばれるもの。ですが喜名焼は衰退してしまいました。
当時、琉球王国では、中国や朝鮮などから輸入貿易が盛んでした。
洋酒も輸入されていたのですが、これを入れていたのが「南蛮焼」という中国の陶器の瓶。
このころ泡盛が作られ始めた沖縄は、そこにヒントを得て、泡盛を保存するための陶器を作り始めたのが始まりとされています。
1600年に入ると王府の政策のもと、壺屋という土地に陶工たちが集められ、薩摩藩より中国の陶工の指導者が派遣されてきます。
壺屋は現在の那覇市内にあり、これが「壺屋焼」のルーツです。
外国の影響をうけ、独特の美を作り出した壺屋焼ですが、廃藩置県により琉球王国が沖縄県に。
すると、県外から安く陶磁器が入ってくるようになり、独自の文化を作り上げてきた壺屋焼は衰退は少しずつ衰退し始めていきます。
1926年頃からはじまった民藝運動をきっかけに再生をとげ、今や人気焼き物となりました。
壺屋焼の発展には濱田庄司が一役かっています。
壺屋焼の人間国宝となる金城次郎氏も濱田氏より指導を受けました。
濱田氏の残した有名な言葉
「私の陶器の仕事は、京都で見つけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った」
とあるように、濱田氏自身にとっても沖縄でのやちむんの出会いは特別なものだったと思えます。
そして1976年、経済産業大臣指定の沖縄の伝統工芸品に指定されました。
やちむん特徴
南国ならではの工芸といえる、やちむん。
厚みのあり素朴さと南国ならではエキゾチックさが国内外で人気。
それは色にしろ、絵柄にしろ日本の他に産地にはあまり見ない大胆でユニークなもの。
これが不思議と食卓で浮くことなく、彩として馴染むのが不思議です。
種類
一見派手なイメージのあるやちむんですが、大きく分けると「上焼(じょうやき)」と「荒焼(あらやち)」と二種類に分けられます。
これらは同じやちむん?と思うくらい異なったものです。
【荒焼(あらやち)】
派手なエキゾチックなやちむんに馴染みのある方は驚くかもしれません。
荒焼は無釉薬の焼き締めで、素朴な風合いしかありません。
これは南蛮焼がルーツとされています。
色のついていない土で焼き上げたシーサーを御覧になったことはありますか?
あれが荒焼です。
荒焼は主にシーサーや水かめなどのアイテムが作られています。
【上焼(じょうやき)】
普段壺屋焼や読谷焼として私たちが目にする器が上焼で作られたものです。
酒瓶などが元々作られていましたが、今では食卓に並ぶ器やぐい呑みなどが主流。
お土産ものとしてきれいに彩られたシーサーなども作られています。
やちむん魅力
壺屋焼、読谷焼など沖縄本土ではいくつかの産地が点在していますが、それぞれの特徴に差はなく、作り手の独自の風合いがやちむん人気を高めています。
南国の影響を受けたと思われる、大胆な絵柄や赤や青の釉薬など見るものを釘づけるにするほどの、ダイナミックな色合いは、陶器というより有田焼や九谷焼などの磁器の絵付けに近いものがります。
沖縄は染物にしてもその日差しの強さに負けない力みなぎる彩の豊かな工芸が多いですね。
やちむんは厚手の赤みの土のごつごつさと大胆な色合い、そして何より食卓を華やかにしてくれる用途美にあふれた器なのです。
装飾技法も、化粧土をかけたあとに釘で線を描いていく「釘掘り」やろくろを回しながらかんなで点をつけていく「とびかんな」、化粧土をスポイトでたらしながら絵付けしていく「イッチン」など。
技法によって器の表情は様々に変わります。
中にはとてもシンプルなものもあるので、「派手な器はちょっと」という方もきっとお気に入りが見つかるはずです。
人気アイテム
茶碗やどんぶりを沖縄の言葉で「マカイ」と言います。
おなじみ沖縄そばなどを盛り付けるのもこのマカイ。
茶碗はぽってりとした小ぶりのものが多いように感じますが、デザインの種類が多いので人気アイテムとなっているようです。
そしてなんといってもプレートや皿。
盛り付ける料理が「映える」器として、大き目なものが人気と聞いたことがあります。
大ぶりな皿や大鉢に盛った料理は、まさに食卓に花が咲いたようになります。
カレーやオムライスなどにもよく合いますね。
購入は地元「ヤチムンの里」がおススメです。
やちむん通りにはズラリと取り扱いショップが軒を連ねています。
年数回は「やちむん市」が開催され、通常価格の2~3割安く買えるようですがコロナ禍で日本全国の陶器市はどこも中止となっています。
落ち着いて、ここにもかつての活気が戻ることを願うばかりです。
やちむんは近年人気も高まっているので民藝などを取り扱うお店や百貨店などで購入可能です。
ネットなどでも買えますが、できれば一度実際に手に取ってその感触を確かめてください。
良い出会いがありますように!
コメント