野点ってやったことありますか?
最近はアウトドア用品のブランドからも「野点セット」が販売されているので、もしかすると試したことのある方もいらっしゃるかもしれません。
気候がよくなると、屋外でキャンプやBBQ、ピクニックなどを楽しむ方も多いはず。
そんな屋外でぜひ試していただきたいのが「野点(のだて)」。
面倒な用意は不要。
野点を楽しむコツと用意すべきもの。さらにおしゃれな野点セットも合わせてご紹介します。
野点とは
野点(のだて)とは、屋外でお茶を点てて楽しむことです。
本来は作法にそって屋外で茶会を催すことを指していましたが、今では外で茶を点てて楽しむこと全般を指します。
外でお茶をいただくことは戦国時代からすでに行われていました。
秀吉が戦場に千利休を連れ、本陣でお茶を点てさせて飲んだといいます。
その際千利休は旅箪笥と呼ばれる小さな箱に茶道具一式を入れ、それを背負って秀吉に同行しました。そのときの旅箪笥は今では茶道で棚として使用されています。
緊張感に満ちた戦場でいただく一服のお茶は、武将にとってこの上ないひと時の安らぎだったのかもしれませんね。
野点はお茶の経験がなくてもOK。
最低限の道具さえあれば誰でも簡単に楽しめます。
高価な道具も一切必要ありません。
まずは最低限必要なものから見ていきましょう。
野点で必要なもの
野点の道具は全体的に小ぶりな道具をコンパクトにまとめて持ち運びます。
茶箱に入れたり、お気に入りの籠などに入れたり。
それらを揃えるのも一つの楽しみではありますが、そこまで揃える必要はもちろんありません。
最低限必要なもの
野点をするには最低限以下3点は用意してください。
- 茶碗
- 茶筅(ちゃせん)
- 抹茶
- 茶杓またはスプーン
- お湯(暑い日は冷水でもOKです)
一つずつ見ていきます。
茶碗
野点用に小ぶりなものが販売されていますが、抹茶茶碗でなくても大丈夫です。
雰囲気はありませんが、深めの小鉢などで代用できます。
安いものですと、1,000円~2,000円で購入できるので、ひとつ持っておきたいという方はぜひ。
茶道具店や、百貨店などで購入できます。
茶筅(ちゃせん)
野点用に小さいものが販売されていますが、ちょっと使いにくいのが難点。
茶箱など小さな入れ物に入れる場合、一つ一つ小さめのものを揃えないとなりませんが、そこまでしないようであれば茶筅は普通サイズをおすすめします。
ただ、茶碗がかなり小さいのであれば、茶筅も小さめのものでないと、茶碗の中で茶筅が動かせず、うまく点てられません。
そこはバランスを見て選んでください。
抹茶
抹茶を購入しようとすると、その値段の高さに驚く方も多いかと思います。
安いものでかまいませんが、高いほうが確実に雑味・苦味がなく美味しいです。
スーパーなどで売られている数百円のものを買うなら、専門店の1,000円前後のものをおすすめします。
買った状態でなく、できれば茶こしなどで一度ふるい、小さなタッパーなどに入れていくのがおすすめ。
内蓋つきのプラスチック製の茶入れ(棗)なども販売されています。
茶杓またはスプーン
野点用に二つ折りの茶杓がありますが、正直使いにくいです。
わざわざ茶杓を買う必要はありません。
小さなティースプーンや、プリンなどを食べるときに使うプラスチック製の小さなスプーンでもかまいません。
普通の茶杓を持っている方は、野点でもぜひそれを使ってください。
ただし野点用の茶碗は小さいので、普通の茶杓を使う場合はすくう抹茶の量を少し少なめに調整してください。
お湯または水
お茶を点てるためのお湯以外に、温め用や茶筅をあらかじめ濡らすためなど多めのお湯が必要です。
大きめの水筒に用意してください。
抹茶は水で点てても美味しくいただけます。
お湯を持っていくのは大変という場合は、出先でミネラルウォーターを調達してもいいと思います。
また、温め用とお茶を点てる用以外は水にするとある程度お湯の量を減らせます。
以上が最低限必要なものです。
複数人にお茶をふるまう場合は、都度お茶碗を洗う必要があるので、多めの水や水気を拭きとるための布巾やや手ぬぐいが必要となってきます。(茶道では茶巾という麻の布を使います)
お茶の点て方についても書いていますので、ぜひご参考ください。
あとはお茶を楽しむためのお菓子や懐紙などがあれば野点を楽しめます。
おしゃれな野点セット
茶道具をひとつひとつ揃えていくのは、手間もコストもかかります。
ちょっと試してみたいという方はセットがおすすめ。
モンベル
おなじみのアウトドアメーカー。まさかモンベルから?と驚くかもしれませんが、野点はそもそもアウトドアで楽しむもの。
ここで野点セットを販売するのはモンベルの着眼点はすごい!と個人的に感動しました。
茶箱ならぬ野点セットバッグはアウトドア用品メーターならでは。
茶筅を立てるための突起のついたボードセットは、こまやかな設計だと関心しました。
このセットで、棗にお茶を入れてお湯を持っていけばどこでも抹茶が楽しめます。
これだけそろって8,600円(税抜)は安いと思います。
一点、茶筅は少々小さくお茶は点てにくいのでこれだけ別に購入してもいいかもしれませんね。
セット内容:茶せん、茶杓、茶碗、茶巾、盆2枚、棗(なつめ)
底部と側面に緩衝材のはいったソフトバッグ付き
価格:8,600円(税抜)
抹茶スターターキット 一保堂
一保堂は京都に本店のある、宇治茶専門の老舗です。こちらは野点セットというより、お抹茶のスタータキット。
お湯さえあれば抹茶が点てられる内容となっていますが、セットを入れる籠や箱などは用意する必要があります。
お茶専門店ならではの、安心のクオリティ。
同梱の抹茶も裏千家御好「幾世の昔」。本格的です。
セット内容:80本立茶筌(韓国製)、茶杓(日本製)、茶碗(日本製)、抹茶
価格:5,000円(税抜)
野点セット 中川政七商店
「茶論」というお茶を楽しむ喫茶も営む中川政七商店ならでは本格的野点キット。
素材は確かにしっかりしていると思いますが、少々高いのが残念。
こちらはこれから本当に野点を楽しみたい!という方におすすめです。
チタンの茶碗は好みが分かれるところかもしれません。
野点ガイダンス資料つきなので、初めての方でも安心です。
セット内容:
仕覆(麻)、茶碗(チタン)、茶巾(麻)、茶筅・茶杓・茶筅筒(竹)、棗(メープル)、しおり(紙)
価格:23,000円(税抜)
野点の楽しみ方
野点の楽しみはもちろん、自然の中でお茶をいただくことにあります。
楽しむポイントはいたってシンプルということです。
作法を考えず楽しむ
お茶の点て方にある程度のコツは必要ですが、飲み方などの作法は野点には不要です。
自由にただ「お茶を美味しくいただく」ことにポイントをおいてください。
好きなお菓子を持ち寄る
お茶に欠かせないのがお菓子。
ですが、練り菓子など用意する必要はありません。
チョコレートや落雁、クッキーなど好きなお菓子で楽しんでください。
複数人で野点をやるならお菓子を各自持ち寄ってもいいですね。
ちなみにお抹茶に合うお菓子はこちらもご参考ください。
最近はソロキャンプなども人気のようですので、ぜひおひとりでも野点にチャレンジしてみてください。
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