近年、家で過ごす時間が増えたことにより観葉植物の需要が増えているようです。
外出する機会が減ると、じっくり植物を育てることがひとつの楽しみになるようです。
以前、引っ越し祝いや縁起物としてご紹介した万年青(おもと)。
通年青々としているため、その名がつきました。
育て方はいたってシンプルです。
今回は万年青の育て方と万年青ならではの楽しみ方についてご紹介いたします。
万年青とは
その名の通り通年青々とした江戸園芸。
徳川家康が江戸城入城の際、家臣が献上しその万年青を飾ったところ、子にも恵まれ徳川の繁栄にますます勢いついたため、縁起物として人気となりました。
大名や幕府の旗本の間でも大ブームとなりました。
江戸時代、大人気となり西では商人や職人が副業として万年青の育成・販売を始めたといいます。
万年青の方が儲かるとその副業がメインとなっていったため、西ではモノづくりや商いが滞ることもあり、万年青販売禁止令が発令されたというほどです。
万年青の育て方
品種によって日の当て方などは異なりますが、一般的な万年青の育て方は年間通して同様です。
万年青は観葉植物といっても基本的には屋外に置きます。
それはしっかり寒暖差を覚えさせることで休眠期・成長期が顕著に現れます。
基本的には過保護にしないことが万年青の育て方のポイント。
万年青はどこに置く?
室内の場合、なるべく明るい窓際などに。
ただ、直射日光は葉焼けや葉の色が薄くなるなどの症状がでるので、レースのカーテンごしなどにおいてください。
外の場合は、直射日光が当たらない場所においてください。
直射日光は午前中のみ当たる場所であればそんなに気にしなくても大丈夫です。
ただ、季節や住居の環境にもよりますので、そこは万年青の様子を見ながら調整してください。
1月~2月
冬の休眠時期。
風通しの良い場所に鉢を置いてある場合は風除けを。
乾いた風にさらされると葉焼けといって葉が茶色く傷んできてしまいます。
万年青は過保護にすると、春成長が鈍くなります。
ここはお住まいの環境によるのですが、1月・2月、外に置いておくと冷え込みで鉢の中が凍るようであれば
夜間のみ家に取り込むのも手です。
3月~4月
成長の準備を始めます。
すでに育てている万年青に子株かでてきたら株分けするのもこの時期です。
この時期に水切れすると根の成長が止まってしまうため、水の管理はしっかりしてください。
なるべく午前中に日のあたるようにします。
5月~7月中旬
万年青が一番成長するとき。
新葉がぐんぐんと伸びてきて、従来の葉も様子が変わりその変化が目まぐるしいくらい明らかなので、毎日の水やりも楽しくなります。
酒粕の肥料を二週間に一度の間隔であげます。
この時期は絶対に水を絶やさないようにしてください。
できれば午前中直射日光に当て、午後には少し明るめの日陰に置くときれいな斑がでます。
酒粕などの肥料を二週間に一度あげます。梅雨に入ったら肥料はストップです。
7月下旬~8月
日差しが強くなるので、すだれなどで直射日光を遮るようにします。
暗くなりすぎないようにし、風通しも悪くならないようにしてください。
水の管理が案外難しいのがこの時期です。
暑いので、土や表面にかぶせた水コケなどが渇きがちなので水を多くあげたくなりますが、実はこの時期の水のやりすぎが根を弱らせる原因になりがちです。
夏は万年青にとって休息時期。根が水を吸い上げる力が弱ります。
しっかり乾いてから水をあげるようにしないと根腐りの原因となります。
水やりは朝早くか。夕方少し気温が下がってからがおすすめです。
水をあげるかどうか迷うときは振り水といってパラっと葉やコケの表面を湿らすように水をかけます。
水は翌日にしっかりあげてください。
水のあげすぎを防ぐ方法のひとつです。
鉢の中が果たして乾いているのかまだ水分が残っているのか、判断するためには鉢を持ち上げてみます。
カラカラに乾いているとかなり軽く感じます。
少し重さを感じればまだまだ内面に水分が残っている証拠です。
9月~10月
彼岸をすぎたころから秋の成長期に入ります。
春のように新葉がぐんぐん伸びるような成長でなく、葉の斑がきれいにできあがったり、葉芸が完成形になるのがこの時期です。
根もしっかり太くなります。
根が成長するときは水を要しますので、水やりはしっかりと。
この時期の根のはりかたで、翌年の春の成長具合が決まってきます。
また、この時期風通しもよくしてください。
「万年青は風で作る」と言うそうです。
11月~12月
華美さや繊細さ、優雅さなどをもつ万年青が全国から集まり、鑑賞しあう万年青名品展が10月~11月にかけて開催されます。
盆栽と同じく、優秀な万年青は名品と表彰されます。
盆栽と大きく違うことは、万年青は人の手でその姿を変えられません。
すべてその個体のもつ生命力がなしえた姿です。
11月くらいから冷え込みが増してくるので、水やりは控えめに。
しっかり内部まで乾いたなと思ったらしっかりと水をあげます。
夕方に水をあげると夜凍ってしまう可能性がある地域の方は朝にあげるようにしてください。
できるだけ日光にあてるようにしてください。
北風が吹き付けるようなときは風よけしてください。
ざっくりと1年を通しての育て方をお伝えしましたが、お住まいの環境や万年青を置く場所などによって変わってきます。
成長の過程で不明なことがあれば購入した販売元に問い合わせてみてください。
日当たりの悪い環境でも水やりさえちゃんとやっていれば、葉芸が少なくなる程度で万年青自体は立派に育ちます。
同じ品種でも育つ環境によって色々な個性が出てくるのも面白いですね。
万年青が枯れる主な原因
万年青はそんなに手をかけなくても育つ種類が多いのですが、種類によっては枯れやすいものも。
また、ちょっとした原因でやはり弱ります。
肥料のあげすぎ
肥料をあげすぎると肥料やけを起こします。
肥料の説明書き通りでは、万年青には多すぎます。
普通万年青は一年に数枚しか新葉を出すくらいです。
花や実をつけ、一度葉を落として再度新葉を茂らす植物と同じ量の肥料は多すぎるということです。
水やりの失敗
枯らす原因のトップかもしれません。
これはやりすぎ・やらなすぎどちらも要因になります。
やらなすぎると枯れますし、やりすぎると根腐れを起こし、やはりそこから枯れます。
万年青の楽しみ方
中には花や実をつける種類もありますが、万年青の多くは葉だけです。
ですがその葉が様々な「芸」をするので、育てるのが楽しくなります。
秋に開催される万年青展覧会は、葉だけの植物とは思えないほどの華やかさがあります。
それは万年青がそれだけ表現豊かな証。
万年青の葉の表情を楽しむのが一番楽しいですが、もうひとつ加えるなら鉢の存在があります。
鉢にこだわる
万年青はよく三本足の鉢に植えられます。
陶器で豪華な装飾が描かれているものも。
葉の形が派手に巻いたものなど、その万年青の種類に合った鉢に植えるのも楽しみのひとつ。
鉢込みの万年青の姿が楽しめます。
磁器のもので、普通の植木鉢型のもあります。
万年青にこういった装飾の鉢に植えられるようになったのは、江戸時代から。
床に飾ったりしたときに「映え」るよう、好みの鉢をわざわざ作らせた大名もいるほど。
インテリアになじむよう、自分好みの鉢を探し、万年青を植え替えるのも楽しみのひとつです。
いろいろな種類を育てる
葉に縞がはいったり、クルクルと巻いてきたり、万年青は種類によって様々な芸をします。
種類を多く育てれば、それだけ見ていて楽しくなるというもの。
以上、万年青ってそんなに手入れも必要ないので気軽に試せる観葉植物なのです。
万年青の葉の芸などもご紹介していますので、ぜひこちらもご参考ください。
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