万年青は「おもと」と読みます。
植物ですが、盆栽と同じように植物のカテゴリといってもいいかもしれません。
江戸園芸のひとつで、通年葉が青々としていることからそう呼ばれるようになりました。
では引っ越し祝いや新築祝いになぜ万年青がおススメなのでしょうか?
それは万年青の歴史に由来しています。
縁起物として、植物として愛される万年青の歴史と育て方のポイントをご紹介。
引っ越し祝いを探している方、ぜひ一読ください。
新築・引っ越し祝いに万年青がおススメの理由
万年青は瑞草(ずいそう)、つまりおめでたい草です。
それゆえ、縁起物として重宝されてきました。
ただ、通年枯れないというだけの理由ではありません。
その由来からご紹介していきます。
引っ越し万年青の由来は徳川家康?
縁起物と言われる理由は、通年葉が青々としており、新しい葉が出てくると古い葉が枯れて落ちます。
そのため、常に青々として葉がついているのが特徴。
日本原産の多年草で、「おもと」という名の植物ではなく、1,000種以上の種類※ある総称です。
※これは協会に登録されている数で、交配などを個人的におこなって生育しているものは含まれません。
万年青の栽培が始まったのは室町時代とも言われていますが、1590年徳川家康が江戸城入城の際、家臣の長嶋長兵衛が3鉢を献上したところ家康も大喜び。
やがて旗本・大名の間でも万年青人気が広まります。
余談ですが、家康公を祀る日光東照宮にも万年青の欄干があります。
東照宮を訪れた際はぜひ探してみてください。
その後徳川の時代は続いたことから引っ越しの際に贈るもの、さらに子孫繁栄の縁起物として受け継がれてきました。
「引っ越し万年青」はこの徳川幕府と関わりが由来となっています、転居の最初に万年青を運びこむことによりその地で運が開けるとされています。
万年青の置く場所は鬼門が良いとされていますが、品種によっては日のあたる場所を好むものもあるので、それは贈る相手の住宅環境によって品種を見極めてください。
江戸時代爆発的に人気になった万年青
江戸時代、旗本や大名の間で人気となった万年青は江戸から西へその人気が広まっていきます。
大阪や京都では商人や職人が副業として万年青の生産・販売を行うようになりました。
万年青は売れるということで、副業の方に力を入れる商人・職人も増えていったことから西の方では万年青販売禁止令がでたこともあるそうです。
江戸末期に日本を訪れた英国人が、日本人の園芸好きが文化の高さに表していると称賛したと言います。
葉だけの植物でない、万年青の魅力
万年青の魅力はなんといっても品種によりかなり姿が異なり、葉芸と呼ばれる葉に模様ができてきたり、くるくるとカールしたりといった個性あふれる特徴にあります。。
万年青は種類によっても異なりますが、鉢ふくめてその全体的な形に惹かれる方も多く、さまざまな切り口で楽しめる観葉植物と言ってもいいかもしれません。
種類によっては実や花をつけるものもあり、四季で楽しめるのも一つの魅力。
浮世絵などでも多く描かれています。
万年青の葉芸一覧
では万年青の魅力の「葉芸」とはどういったものなのかご紹介します。
そのほか、斑(ふ)と呼ばれる葉に模様が入るものも。
これも他の観葉植物にはない万年青の品種ならではの愛らしさです。
その一部ご紹介です。
1 縞(しま)
葉の元から先端まで筋状の黄色い斑がはいったものです。
毎年同じように入りにくいので、それも楽しみの一つです。
2 覆輪(ふくりん)
葉の緑を白または黄色で縁どりされた斑のことを言います。
3 胡麻斑(ごまふ)
黄色や白の小さな斑点状の斑が葉全面に入るものを言います。
4 砂子斑(すなごふ)
白っぽい葉の中央部に緑のラインがしっかり入っていて、その緑にまだらの斑がはったもの。
5 虎(とら)
白や黄色の大小の斑点が葉の所々に現れるもの。キレイな葉の表情を作りだします。
6 図(ず)
白い斑点状の斑が葉の元から先端にかけて現れるもの。
図の入り方によって、様々な名がついています。
まだこのほか、葉芸は葉が隆起したり、くるくる巻いたものなど、品種によって個性があります。
新築・引っ越し祝い万年青を贈るときの注意
ちょっと他の人とは違った引っ越し祝い・新築祝いにまさにぴったりの万年青ですが、大前提としてもらった相手はその面倒を見なくてはなりません。
実は引っ越し祝いや新築祝いで一番トラブルになるのもこれ。
もらって困るお祝いランキングにおいて観葉植物は常にトップにあります。
引っ越し祝いや新築祝いに万年青を贈るということは、先にご紹介した由来からも他の観葉植物とは異なる意味で適していると思いますが、もらった方はそれだけにとどまらないということですね。
万年青は品種によりますが、基本初心者でも水やりさえすればダメになることはありません。
手間をかけようとするとけっこうかかりますがもともとは日本の土地に自生していた植物なので、余計な手間は不要です。
ですが、出張や旅行の多い方に贈ると大抵水枯れをおこし、駄目にしてしまうケースが多々あります。
その点は注意し、万年青を贈るかどうか決めてください。
親しい間柄であれば前もって「縁起物として植物を贈りたいんだけど迷惑ではない?」と聞いてみてもいいですね。
また、購入は大型ショッピングサイトなどでも販売されていますが、販売元がしっかり分かり、何か不明な点がある場合は問合わせできるところで購入することをおススメします。
実は私も実際万年青を育てているのですが、何か困ったらいつもメールなどで聞いています。
そうすると、必ず親切丁寧に返信いただいています。
写真などを添付するとさらに業者さんは現状を把握しやすいようです。
贈りものにする場合はそういったことも念頭に、販売元も一緒に相手に伝えましょう。
贈る相手が植物好きならうってつけの引っ越し・新築祝いになるはずです。
育て方や楽しみ方はこちらをご参考ください。
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