歌舞伎を観に行こう!初心者におススメの演目

初心者におススメの歌舞伎

「歌舞伎を観に行きたいけど、何を観に行っていいのかわからない。」
「なるべく分かりやすい演目が観たいなぁ。」

今回はそんな方に初心者でも比較的分かりやすい演目をご紹介。
さらに観る演目を決めるポイントも。
参考になれば幸いです。

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歌舞伎の演目の種類

歌舞伎の演目は大きく分けると3種類になります。

「時代物」「生世話物」「舞踊」
一つずつカンタンに説明しますね。

【時代物】
時代物は公家や武家社会を題材にしたもの。

台詞も多少言い回しが歌舞伎特有のため、少々聴きとりにくいです。

とっつきにくい印象のある「時代物」ですが、歌舞伎らしさもあり、名作が多いのもこのジャンル。
「義経千本桜」「菅原伝授手習鑑」「仮名手本忠臣蔵」は歌舞伎三大名作と言われ、一年間で必ずどこかで上演される演目です。

「寿曽我対面」は毎年正月に上演されてきたことから歌舞伎の吉例と言われています。
豪華絢爛な舞台は歌舞伎の様式美の集大成とも。

時代物代表作
・義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
・妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
・菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
・仮名手本忠臣蔵(かなてほんちゅうしんぐら)
・寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん) など

 

【生世話物】
江戸時代のいわゆる「現代劇」。
バリエーションも広く、恋愛物はもちろんコメディや妖怪ものまであります。

歌舞伎を観たことのない方でも「四谷怪談」のタイトルと「お岩さん」の名前くらいは知っているのではないでしょうか。

台詞も聞きとりやすく、現代劇の感覚で楽しめるジャンルです。

生世話物代表作
・東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)
・曽根崎心中(そねざきしんじゅう)
・梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう 髪結新三)
・三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ) など

 

【舞踊物】
字のごとく、舞踊で物語をつむぐジャンルです。
義太夫・長唄に合わせて踊るのですが、その間に早変わりといってさっと衣装を変えたりするものも。

「出雲の阿国(おくに)」はご存知でしょうか。

奇抜な格好で一人京都の四条の路上で踊っていた女性で、当時、普通とは異なる様子やふざけた振る舞いなどを「傾く(かぶく)」と表現したことからこの阿国が歌舞伎の始まりとされています。
当然、今の男性が女性をすべて演じるスタイルになるまでには紆余曲折がありました。

ちなみに坂東玉三郎の舞は必見です!

舞踊物代表作
・鷺娘(さぎむすめ)
・京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
・藤娘(ふじむすめ)など

 

そのほか、歌舞伎界でもひと際格式のある家、成田屋こと市川団十郎の家に伝わるお家芸を「歌舞伎十八番」といいます。
演じるのは成田屋とはかぎりませんが、人気の高い演目が多いですね。

 

歌舞伎十八番代表作
・勧進帳(かんじんちょう)
・助六所縁江戸櫻(すけろくゆかりのえどざくら)
・毛抜(けぬき)など

初心者におススメの演目

では初心者におススメ、比較的分かりやすく、一般的に人気の高い演目のご紹介です。
あくまで個人の見解ですので、あくまで参考程度にとどめていただければ幸いですw

年末のテッパン「仮名手本忠臣蔵」

これは日本人なら誰もが知っているお話ですよね。四十七士の仇討の話です。
歌舞伎三大名作のひとつでもあり、赤穂事件のドラマが現在でもなぜこんなに人気があるのかというと、人形浄瑠璃や歌舞伎の影響とも言われています。

江戸時代、かなりスキャンダラスだった赤穂事件を即浄瑠璃の脚本に仕立て、早速人形浄瑠璃で上演したところ大ヒット。
ただ、幕府関係の実在の人物の実名を芝居に使うことは当時ご法度。
なので、歌舞伎の忠臣蔵は吉良上野介も浅野内匠頭も別の名前で描かれています。
また、時代も大きく遡って描かれています。ただ、「赤穂事件」だなと分かるストーリーにはなっていますので十分楽しめます。

話を知っているだけあり、初心者にも楽しめる作品。
年末になると、どこかの劇場で必ず上演されます。

見どころ多数「東海道四谷怪談」

鶴屋南北の傑作とも名高い四谷怪談。
産後の体力低下にお岩がもらった薬は毒薬。

目は腫れあがり、髪がどんどん抜けおちていきます。

四谷怪談は演出的にも見どころいっぱい。

お岩が髪をとかすとどんどん床に抜けた髪の山が大きくなったり、幽霊になったお岩が巨大提灯から飛び出し宙づりになる演出は江戸時代からのもの。
江戸時代、四谷怪談を上演するときは、わざとその提灯を数人で担いで江戸の町を歩き回り、そのまま芝居小屋へ。
それを見た町人は「なんだ?」と芝居小屋へ足を運びます。するとその巨大提灯は舞台に設置されており、そのうち提灯が焦げてきたかと思ったら幽霊になったお岩さんが中からするっと飛び出てそのまま宙づりになります。

髪すきの場や提灯抜けのほか、戸板返しというとの表裏に同じ役者が人物の早変わりを行う選出など、見どころ満載なのも人気の理由。

ちなみにこの四谷怪談は様々な曰くつきの演目で、上演する際は関係者全員で4カ所のお岩さんゆかりの場所にお参りに行くそう。
一人でも欠けると、上演中に事故が起こったりすることも多いそうです。

上演中には劇場のどこかにお岩さんがいるとも言われています。(ゾクっ)

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知らざぁ言ってきかせやしょう 白浪五人男

青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)が正式タイトル。河竹黙阿弥の傑作と言われています。

「知らざぁ言ってきかせやしょう」
歌舞伎で一番知名度のある台詞ではないでしょうか。

「白浪」とは盗賊のこと。このタイトルがつく演目はすなわち盗賊モノです。

人間国宝でもある七代目尾上菊五郎が登場人物「弁天小僧菊之助」の、この台詞を初めて聞いた時は鳥肌が立ちました。

見どころはさらに5人男が御用になる寸前に和傘をさしズラリをならび七五調で一人一人自の正体を暴露する場面。

一言「圧巻」です。

時代物にしては分かりやすい 勧進帳

歌舞伎十八番のひとつ。
義経が兄の頼朝から追われ、子分の弁慶、愛人の静御前と一緒に山々をつたい逃げる。
頼朝が随所に設けた関所のひとつで足を止められる一行。
この関所の守る役人と弁慶の駆け引きが長唄にのって、演じられます。

最後、舞台は弁慶ひとりとなり、キレっキレのつけ打ちの音とともに花道を飛び六方というステップ(?)で豪快に退場します。
実はこのラストが最大の見せ場。

この演目を観るときは花道が全部見える1階席または2階席最前列がおススメ。

色男の色女を巡る喧嘩祭 助六

歌舞伎のワンシーンを切りとったイラストなどには必ず使用されるのは、この演目の主役助六が紫鉢巻に和傘を広げ見得を切る姿。(本記事のページトップイラスト左側が助六です)
花魁揚巻の美しさも見どころ。今年七之助が見事にこれを演じきり話題になりました。

助六の鉢巻・下駄・傘は江戸時代のパトロン魚河岸・吉原・蔵前から上演のたびに寄贈されたと言われ、今も鉢巻は魚河岸から贈られているとか。

ちょっとしたコメディタッチも混ざり、歌舞伎ファンならずとも見入ってしまう舞台です。

ちなみにお寿司の詰め合わせに「助六」というものがありますよね?
あれはこの演目のヒロインの「揚巻」の名前からとったもので、「お揚げ」と「巻物」からいなりとかんぴょう巻きのセットとなったそうです。

心地よい七五調の台詞 三人吉三巴白浪

これも「白浪」がついているので、盗賊のお話。
河竹黙阿弥の作で、お嬢吉三(おじょうきちさ)、お坊吉三(おぼうきちさ)、和尚吉三(おしょうきちさ)の三人の盗賊が運命的な出会いから物語が大きく動きます。
歌舞伎でも人気のある演目のひとつで、黙阿弥ならではの七五調のセリフが有名。

お嬢吉三が夜道通行人を殺め、懐から抜き取った100両。この100両が3人の吉三を引き寄せます。

そこで決める「月はおぼろに白魚の~」から始まる「こいつは春から縁起がいいねえ」の台詞は聴きどころ。
耳に心地よいリズムですが居眠り厳禁!のシーンですよw

歌舞伎屈指の喜劇 法界坊

亡くなった十八世中村勘三郎がこれを演じると、劇場は一気に笑いの渦に。
その印象が今だ強いのか、あまり上演されません。

思わず声を出して大笑いしてしまうほど、コミカルに話は進みます。

歌舞伎でこんなコントのような演目があったのかと目からウロコの面白さ。
残念ながら勘三郎の法界坊はもう観れませんが、どこかで上演されるときはぜひ観てみてください。

というわけで、個人的に初めて歌舞伎を観る方にはとっつきやすいと思った演目をあげてみました。
まだまだおススメしたい演目はたくさんありますが、特に初めて歌舞伎を観る方にも楽しめると思う演目をご紹介しました。

繰り返しになりますが、あくまで個人的な見解です。

ちなみにですが、、、

もし上記の演目がすべて近いうちに上演されるとして、一番最初に何を観るか、、、。

私なら「東海道四谷怪談」でしょうか。

ストーリーも面白いですし、演出もスゴイ。
歌舞伎の楽しさを十二分に楽しめる演目です。

観る演目を決める時の基準って?

では、何を観ますか?
これから上演される演目は松竹の公式ホームページ「歌舞伎美人」で確認できます。

でもなかなか自分好みかどうかはわかりませんよね。

ただ、歌舞伎のストーリーはさほど重視しなくても十分楽しめます。

一つの狂言はとても長く、それをブツ切りにして上演されるのでけっこう途中話がわからなくなることもあるくらいです。

歌舞伎は役者のかぶきっぷりを堪能するのもひとつ。

「玉三郎の美しい演技を観たい」でもいいですし、
「かっこいい松也をみたい」でもいいと思います。

単に歌舞伎というものの雰囲気を味わってみるもの初めの一歩です。

また、最近アニメなどを歌舞伎にしたスーパー歌舞伎もありますね。

気軽に「ちょっと歌舞伎というものを味わってみようか。」くらいの気持ちで行ってみてはいかがでしょうか。
そのうちに贔屓の役者さんもできるし、お気に入りの演目も出てきます。

ちなみに私は以前、十八世勘三郎がまだ勘九郎時代、1994年から串田和美の演出のもと、「もっと若者に歌舞伎を観てほしい」と渋谷のコクーンシアターで始まった「コクーン歌舞伎」がきっかけです。串田さんの演出は歌舞伎の演目をそのままに、演出だけを現代にそった形にしたところから、「歌舞伎の話って面白い」と思えました。

2019年で16回目になり、勘三郎がいなくなった今も中村屋中心に続けられています。

一年に一回(不定期)の公演なので、興味ある方は松竹のサイトをマメにチェックしてくださいね。5月くらいに上演されることが多いようです。
(2019年の公演は終わりました)

私の本歌舞伎は勘三郎襲名披露公演がきっかけです。

歌舞伎を観るきっかけは人それぞれですし、「面白い」と感じるポイントも人それそれです。

中には「海老蔵さんの公演だけはぜったいはずさない。」という方もいらっしゃいますw

まずは、演目チェックしてチケットを買うことからですね。
こちらもご参考に。

歌舞伎って面白い!と思える方が一人でも増えると嬉しいな、と思っています。

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