歌舞伎を観に行こう!歌舞伎の楽しむツボ

歌舞伎の見どころ

歌舞伎を観たいけど、何を観たらいいのかわからない。
難しそうで楽しめるのか不安という方もいるかもしれません。

でも歌舞伎の楽しみ方って驚くほどシンプル。
もちろん人それぞれですが、実は「台詞がわかりにくい」「ストーリーが難しそう」というのは勘違い

必見!歌舞伎を楽しむツボです。

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むずかしくない歌舞伎の楽しみ方

歌舞伎のセリフはどうも聞きにくいという印象があるかもしれませんが、実は演目によります。
後に詳細説明しますが、時代物の演目は独特のリズムの言い回しで正直聞きとりにくく、劇の流れがよくわからないということも多いかもしれません。

ただ、歌舞伎のストーリーはさほど神経質に追わなくても十分楽しめます。

理由の一つは長い浄瑠璃のほんの一部を上演しているだけなので、そもそも幕が変わった瞬間にとんでもなくスキップされていることも。

台詞が聞きとれたとしても、長いストーリーをブツ切りにし、無理やりつないで一幕にしているので、分からないことも多いのです。

予めストーリーをチェック

観る演目のあらすじを知りたい!という場合、劇場のロビーなどにあるちらしの裏に各演目のあらすじが掲載されています。
また、松竹の「歌舞伎美人(かぶきびと)」のサイトにも掲載されています。
それでもよく分からないという場合、場内で販売している覚書き(1,500円くらい)を購入するとかなり詳しくでています。

ただ、それを読みこんでいる時間はありません。

そこでその分からないを補ってくれるのがイヤホンガイド。幕が開く前に演目のあらすじと見どころを説明してくれ、さらに始まると随所のシーンの補足説明を端的にしてくれるので、私も必ず借ります。

歌舞伎は一種のパフォーマンス

繰り返しになりますが、ひとつの演目を最初から最後まで上演するのは稀です。
たまに「通し狂言」として昼夜一つの演目を通しで上演することもありますが、ほとんどは見どころだけを一幕のみで上演します。

そのため、本筋は分からない部分が多いのです。

「一声、二振り、三姿」と歌舞伎役者の重要性を示した言葉がある通り、役者の台詞の言い回し、見得や立ち回りなどが歌舞伎の見どころでもあります。

現代劇を観る方はその違いがよくおわかりになるかと思いますが、本当に歌舞伎の動きは美しい!
無駄な動きが一切ないのです。

ひとつのパフォーマンスを観ているかのようです。

洋楽の歌詞が分からなくてもそのライブを楽しめるように、歌舞伎もそのテンポと華やかな舞台、そして妖艶な動きを楽しめればいいのです。
「歌舞伎」の語源は「傾く(かぶく)」。
風変わりな風貌やサマを表しています。まっとうにストーリーばかりを追うことはありません。(といっては作者に申し訳ありませんが)

中にはちゃんと台詞が聞きとれ、ストーリーの分かりやすい演目もありますので、ご安心ください。
とにかくあまり気負わないでくださいね。

「美しいな~」とぼんやり観てもいいし、面白いときは声を出して笑っていいのが歌舞伎です。
かしこまることはありません!

歌舞伎の登場人物

どの演目も「立役者」「女形」「敵役」に分かれていますが、中心人物がだれかを見極めれば観方がわかってきます。
演目名に「白浪」とついていれば、盗賊の話。当然盗賊が中心人物になります。

歌舞伎あるあるののひとつに役名○○(実は××)と、正体が実は演じられるものと異なる場合が多く、そのあたりも事前にチェックしておくといいかもしれません。
もちろん、イヤホンガイドでも説明してくれます。

舞台セット

歌舞伎の舞台には必ず花道の下から登場する「すっぽん」と呼ばれる仕掛けや、舞台中央が回転する「回り舞台」というものがあります。
これは江戸時代の芝居小屋ですでにあった仕掛けと言われています。

もちろん幕を一旦下ろし、セットを変える場合もありますが、回り舞台による展開やケルンと呼ばれる役者が宙吊りになる仕掛けは見どころ。

そのほか、早変わりという、役者が瞬時で衣装を変えるなど、歌舞伎は普通にエンターテイメントとして楽しめるのです。

観慣れてくると、衣装や隈どり、メイクだけでその人がこの演目の中でそんな立ち位置なのか分かってきます。
歌舞伎は劇中も見得が決まれば観客から拍手が湧き、大向こうからは威勢よく「○○屋!」と掛け声がかかります。

ここぞとのシーンでは幕の裾からすっとツケ打ちが現れ、役者の動きに合わせて歌舞伎特有の効果音であるツケを響かせます。
ツケとは木の板に二本の木をたたきつけ、音を鳴らすもの。
この音が迫力満点。絶大な音響効果をもたらすのです。

舞台と客席が一体となる歌舞伎。
観て、その空間を感じるものがあれば、「台詞の聞きとり」なんて二の次と思えてきませんか?

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何観る?演目の選び方

歌舞伎の演目は大きく分けると「時代物」「世話物」「舞踊」「新歌舞伎」、さらに最近話題の「スーパー歌舞伎」というものに分けられます。
「時代物」は台詞まわしが独特で、かなり聞きとりも難しいです。

「世話物」は要は普通の舞台の昔版。台詞も聞きとりやすく、ストーリーもかなり分かりやすいかと思います。

ただ、演目名を観ただけではどのカテゴリに入るのか分かりにくいですよね。
演目名にそれらのカテゴリは記載されていません。

しかしながら歌舞伎の演目は昔から繰り返し上演されているものです。
インターネットなどで検索すればすぐに分かるかと思います。

概ね「時代物」「世話物」「舞踊」と3本立てになっていることが多いようですが、確証はありませんので調べてみてください。

なかなか通しで上演されない歌舞伎の演目ですが、実はけっこう過激なストーリーが多いので、ぜひあらすじはチェックしてみてくださいね。

役者で決める

毎月上演予定の演目をチェックしているけどなかなか決められないという方は出演者で選ぶのもアリ。
(決められないでいるとずっと歌舞伎に行けなくなってしまいますからw)

歌舞伎の演目はこれまで何万回と上演されてきた物語です。
これからもおそらく観る機会はあるかと思います。

ただ、役者が変わればその舞台も変わるのです。

同じ演目でも演じる役者が違うときに観るとまた違った面白さが見えてきます。

「誰もが絶賛の玉三郎さんの舞いがみたい」
「テレビで人気の松也さんの舞台がみたい」

そんなきっかけでもいいかもしれません。

ちなみに私のきっかけは亡くなった18世中村勘三郎さんでした。
彼の舞台が見たくて歌舞伎座に行き、それから歌舞伎そのものにはまりました。

特にベテランの高齢の役者さんは体力的にいつまで舞台に立てるか分かりません。
一度この人の舞台を観てみたいというのがあれば、迷いなく行くことをおススメします。
勘三郎さんはさすがに早すぎましたが、「歌舞伎ってチケット高いな」と思いつつ思い切って観に行って本当によかったと思っています。

これを知っていればあなたもツウ 歌舞伎のトリビア

ちょっと知っていると歌舞伎の見方が変わるかも?のプチトリビアをご紹介。

【歌舞伎の衣装】
歌舞伎の衣装の中で着物は本物の絹。女形の衣装などは一着数百万とも言われています。
かつらも人毛が使われていたりするそうです。

花魁(おいらん)の衣装はもう目が釘付けになるほど華やかで絢爛豪華。
もちろんこちらもなんちゃってのつくりではありません。
総重量30kgを超えているとも言われています。(役者さんも大変ですね)

セットもさることながら、衣装や小物など歌舞伎の舞台は細部にまでこだわりぬいているのです。

ちょっと舞台近くのいい席で観たくなりますよね。

【声の主】
「成田屋!」「音羽屋!」など、キメの場面でどこから大声で役者の屋号を叫ぶ声。
これは「大向こう」と呼ばれる掛け声の「プロ」です。
この大向こうさんは3階席奥に座っており、ここを「大向う(おおむこう)」と呼ぶことからそのままその名がつきました。

たまに常連の方が掛けることもありますが、ほとんどはこの大向こうさんから発せられます。
誰でも掛けていいとは言われていますが、タイミングが大事なため素人は控えるようにという暗黙のルールがあります。
また、基本的に女性もやりません。

【歌舞伎座の表の看板】
実はこれ、全部手描き。
しかも同じ演目でも一切使いまわしなし。
これはちょっとしたアート観賞と個人的に思っています。描いているのは女性の画家さん。
現在この方の跡取りはいないため、毎月貴重なものとして観ています。

手描きの演目の看板

【歌舞伎文字(勘亭流)】
読みにくい役者の名前などが書かれた文字をご存知ですか?
いわゆる「江戸文字」と言われているものです。
江戸文字には相撲の番付などに使用される「相撲文字」や、落語や寄席に使われる「寄席文字」があります。

どれも似ていますが若干つくりは違います。

共通していえることは「大入り」を願って隙間を開けない、すべてうまく丸く収まるように丸っこく、お客を招き入れることからハネは内側にという意味があるそうです。
歌舞伎座で下がっている「○月大歌舞伎」の垂れ幕の文字がそうですね。劇場内ではあまり観られませんが、覚書きなどの中などに書かれていたりするので、ぜひ探してみてください。

歌舞伎座の垂れ幕

そのほか歌舞伎の見どころはたくさんあります。
今回はまずストーリーが分からなくても楽しめるということをお伝えしました。

またこれからも少しずつ歌舞伎の魅力についてお話していきたいと思っていますので、また遊びにきてくださいね。

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