奥会津編み組細工の魅力

福島県の三島町(みしままち)では昔から高品質な植物を利用した編み組細工が作られています。
三島町は桐の産地でもありますが、昔から木の皮を利用した編み組が盛んでした。

「ヒロロ細工」「山ブドウ細工」「マタタビ細工」など素材によって作られるものも変わってきます。
網目が美しいだけでなく実は機能的。

近年改めて見直されているアイテムも。

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三島町の編み組細工とは

冒頭で説明した通り、福島県三島町で古くから作られている編み組細工です。

三島町は日本で最も美しい村連合に登録しており、美しい景観と独自産業をもつ農村としても知られています。

この地方に生息する「ヒロロ」「山ブドウ」「マタタビ」を素材とし、日用品からおしゃれアイテムまで多岐に渡ります。
2003年経済産業大臣指定伝統工芸品に指定されました。

ヒロロ細工とは

ヒロロとは会津の冬でも枯れることがない常緑のスゲ類の植物。
ニラに似た形状の葉で、それを採取し乾燥させ編みます。

強度が高く、昔は縄やミノなどに利用されていました。

会津の編み組細工の中では一番色彩が豊かで、やわらかいのが特徴です。

手提げバッグやショルダーなどのアイテムが主流です。

山ブドウ細工とは

近年夏になると百貨店のポップアップストアなどでよく見かけますね。
東北中心に作られている山ブドウの編み組細工。

ブランドバッグ並の値段に驚く方も多いはず。原材料の入手が年々困難となっていることから今後値上げが懸念されているそうですが、現時点では10万円台が主流となっています。

素材となる山ブドウの皮は、採取してから実際編み組細工に使用できるようになるためかなりの期間と手間が要するため、この価格になってしまうそうなのですが、使うほどに艶が出てき、折れや穴など修復ができるため100年使えるバッグといわれています。

カゴバッグ・財布などが主流です。

マタタビ細工とは

猫が酔っぱらうといわれているあのマタタビです。

しなやかで水切れがよい材料の特徴からざるなどを多く作られ、特に米研ぎざるは米を優しく洗い上げ炊きあがりもふっくらすると言われています。

網目も美しく、使っていて楽しくなるアイテム満載。
野菜洗いざる・米研ぎざる・そばざる・菓子器などが主流。

編み組細工の米研ぎざるがすごい

マタタビの編み組細工の米研ぎざる。
見た目は網目のきれいなざるなのですが、米を傷めずに洗えるだけでなくお米の余分な水分やヌカを吸ってくれるという優れモノ。

ざるを使った研ぎ方は

1. ざるに米を入れそこに水を注ぎながら洗います。(力をいれないように)

2. ある程度かき回したらボウルなどにざるごとをのせ水をきります。

3. 40分ほどするとお米自体十分水を吸っているのでこれで炊きます。

3の後、お米をジップロックなどに入れ冷蔵庫で一晩寝かせ、翌日に炊くとさらにもっちりとしたご飯に炊きあがります。

奥会津編み組細工歴史

三島地区の昔からの産業のひとつだったため、正確な発祥時期は不明ですが1700年代には編み組細工の製品が作られていたと記録が残っているようです。

積雪の多いこの地区では冬に農作業ができないため、その時期の農家の副業として始まりました。

今ではこの技術を受け継ぐ職人が一定数いますが、一時は作り手不足から伝統は途絶えそうになり、技術を途絶えることを器具した三島町ではなんとか地域産業として発展すべく対策をし、今となっては編み組細工に携わる人は100名を超えているまでとなりました。

その技術と伝統は今なお受け継がれ、平成になってから国の伝統工芸品として認定されました。

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奥会津編み組細工製造工程

それぞれは決まった素材で好き勝手に作れるわけでなく、その工程は細かく決まっています。

ヒロロ細工製造工程

1. 材料となるヒロロの採取。根をほぐし、乾燥させます。

2. 縄状によります

3. 底編みをしてから立ち上げて編んでいきます。

4. 縁編みして仕上げます。
バッグなどはそこから手をつけてます。

ヒロロ細工は縄の太さは2ミリ~4ミリで、20回以上よりがあること、さらに底編みと立ち上げの編み方も規定があり、それにクリアしたものだけ「奥会津編み組細工」と認証されます。

山ぶどう細工製造工程

1. 材料を採取し、乾燥させます。

2. 乾燥させた後にしばらく水に浸けます。

3. 柔らかくなったところで加工しやすいようになめし、幅を揃えます。

4. 底編みをしてから立ち上げて編んでいきます。

5. 縁巻きして紐付けします。

6. 最後は蜜蝋などで磨きます。

山ぶどう細工の手提げカゴの底編み及び立ち上げの編み方は、「二本飛び網代編」または「笊編」という規定があります。丸籠類の底編みは、「笊編」「四つ目編」または「二本飛び網代編」。角の籠類の底編みは、「四つ目編」または「二本飛び網代編」で立ち上げ編みは「笊編」という規定があります。

マタタビ細工製造工程

1. 材料を採取し、乾燥させます。

2. 乾燥させたら裂いてしごき、幅を揃えます。

3. 底編みをしてから立ち上げて編んでいきます。

4. 縁巻き後、会津の冬場の冷たい風にあてます。寒ざらしといわれています。

マタタビ細工の米研ぎ笊の底編みは、二本の材料を一組とする「二本飛び網代編」、または一本の材料で「二本飛び網代編」により底を丸くするようにという規定があります。
籠類の底編みは、二本の材料を一組とする「ざる編」によること。立ち上げ編みは、一本の材料で「ざる編」にします。また、最後の寒ざらし・雪ざらしにするのも規定となっています。

カンタンに流れだけを記載しましたが、編むための材料を整えるだけでもかなりの時間を要します。
材料を採取して加工すればすぐ使えるというわけではないんですよね。

そのため、材料の確保は作り手にとって重要な工程となります。

会津編み組細工は材料の採取から加工、編み組まで一人の職人の手で行われます。

会津編み組製品はどこで買える?

最近は東京などの百貨店でも度々ポップアップで販売されますし、工芸品専門店などでも取り扱いあります。
伝統工芸展でもよく見かけますね。

ネットショップでも販売されていますが、実際手に取って選ぶことをおススメします。
同じように見えて一点一点同じものはありません。

手になじむものをぜひ選んでください。

毎年会津で行われるふるさと会津工人まつりでも出店されます。
近年中止になることもあるので、生活工芸館にてお問い合わせください。

2022年は8月現在では10月15日・16日を予定しています。

【三島町生活工芸館】

住所:福島県大沼郡三島町大字名入字諏訪ノ上395
電話:024-148-5502
営業:9:00~17:00
定休:月曜日・祝日の翌日・年末年始
アクセス:
車:磐越自動車道西会津ICから車約20分
電車:JR只見線会津西方駅から車約1分
WEB:http://www.okuaizu-amikumi.jp/

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