京扇子とは 選び方や使い方

京扇子とは 選び方や使い方

出典:舞扇堂

最近は男女問わず扇子を持ち歩く方も増えました。
扇子の歴史は古く、1200年ともいわれています。

今回はその中でも京扇子の話。
江戸扇子との違いやその種類や選び方など。

驚くほど職人の手が入っているその製造についてもご紹介します。

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京扇子とは

1977年、経済産業大臣指定の伝統工芸品にも指定された京扇子。
京都扇子団扇商工協同組合の組合員の職人により作られます。

扇骨の竹は京都丹波地域の真竹が好まれ、扇部分は紙や布などがあります。
制作工程の数は88に分かれていると言われ、完全分業制となっています。

つまりはそれぞれの専門の職人さんがいるということですね。

京扇子の歴史

扇子は中国から伝わったものではなく、日本京都で作られたのが始まり。

平安時代の初期に、ノートのような筆記具として使用されていた木簡が形を変えたものとされています。

木簡(もっかん)とは短冊状の細長い木の板で、それに墨でメモをしていました。
バラバラにならないように束ねるのですが、これが桧扇(ひおうぎ)という紙を貼っていない扇となり、扇子の元となったとされています。

その後かはほり扇という片面のみ紙を貼った扇子が誕生します。
扇子はこの時代、貴族の遊びや儀式用に用いられ。庶民が持つことはありませんでした。

鎌倉時代に入ると庶民も持つようになり、茶道や能などで使う扇子なども作られるようになります。
このころ、中国に輸出されさらにヨーロッパに渡りました。

片面のみ紙を貼っていた扇子は中国から両面貼りになって逆輸入されました。

江戸時代になると京都では「京の三職」として冠、烏帽子づくりと共に扇子づくりは官の保護を受けるようになります。

その歴史を増え、扇子づくりは完全分業制となりそれぞれの工程に技を極めた職人の手で作られていくようになります。現在、国内産の扇子の90%は京都で作られているといいます。

京扇子作り方の工程

細かく分けると88の工程になるという京扇子の製造工程ですが大きく分けると扇骨・扇の紙の加工・仕上げの工程に分れます。

1.扇骨の加工

竹は3~5年のものを使用します。
扇子の長さに切り、一度蒸します。

蒸した竹を扇骨の幅に割っていきます。
その後、せん引きといわれる、内側と表皮を削ぎ、外側部分を薄く削って乾かす工程に入ります。

次に扇の中心、要と呼ばれる扇骨をまとめて止める部分に穴を開けます。
これを「目もみ」といいます。

穴を開けた扇骨を並べ側面を削り、竹の青みをとるために日光に当てます。
日光に当てると竹が乾燥し茶色っぽくなります。

これをさらに磨き、なめらかに仕上げます。

ここまでが扇骨そのものを成形する作業です。
ここから扇子の骨にするため、扇子を開閉するための親骨と中骨を合わせて目もみで開けた穴に金属差し込み固定させます。この金属分を要といいます。

ここで扇子の土台ができますが、さらに中骨を細く削っていきます。
中骨は先端にいくほど細く形成されています。

この作業により扇子自体にしなやかさがでて、軽く仰げる扇子ができます。

この扇骨の産地は滋賀県高島市安曇川町が有名です。
国産の扇子のほとんどが、この滋賀県の扇骨を使用しています。

また、京都の丹波地域でとれる真竹の

2.扇面(紙)の加工

扇面は芯紙の両面を皮紙と呼ばれる紙ではさみこみ、計3枚貼り合わせて作られます。
糊付けされた紙は乾燥させ、扇の木型にそって裁断されます。
(扇型に裁断する職人さんもいるのです。)

これで扇の紙面の土台ができました。

ここから「色引き」といわれる地色をつけ、上絵を施し扇子を開いたときに美しい景色が現れるよう職人が腕をふるいます。

絵付けが終わり、色が定着するとまた紙を湿らせ、型を使って蛇腹の折り目をつけます。

蛇腹の地紙に細長い竹べらを差し込み、扇骨を差し込みやすくします。これを「中差し」といいます。

さらに「万切り(まんぎり)」といって折りたたんだまま裁断用の枠にいれ、扇子の大きさに切り揃えます。

3.仕上げ加工

「ツケ」と呼ばれる工程。

中差しで通した穴に息を吹き込み扇骨を差し込みやすいようにします。これを地吹きといいます。
そこから糊付けした扇骨を差し込んでいきます。

ぴったりと紙と扇骨を貼り付けたら、親骨を火であぶり、内側へ曲げます。
手作り扇子、職人のこだわりでもある閉じたときに「パチン」と閉まるよう内側へ湾曲させ、強さを調整させます。
最後、親骨に地紙を接着させると出来上がりです。

長い工程ですね。
色引きだけでも3日くらいかかるという話も聞いたことがあります。

雑貨店や100円均一などでよく見る扇子と比較するとその値段が違いに驚きます。
ですがこういった一工程一工程丁寧に時間をかけて製造されるとその価格帯も納得です。

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京扇子の特徴

京扇子には仰ぐためのものから、舞踊に使う「舞扇」、茶席で使う「茶扇」などがあります。

一般的に使う扇子の中でも、扇面が紙のもの、布のものがあります。
儀式に使うもの扇子も含め、装飾は華やかさがあります。

扇面が狭いのも京扇子の特徴です。

京扇子と江戸扇子の違い

以前江戸扇子の特徴についても書きましたが、京扇子は江戸扇子と比較すると絵柄も華やかな印象があります。
江戸扇子は縁起物や小紋柄など割とシンプルなものを好みます。
一方京扇子は広げるとまるで一つの絵になるような絵柄も多く、着物でいうと友禅の訪問着のような豪華さもありますね。(すべてがそういうデザインではありませんが)

扇骨の本数も京扇子の方が多く、一本一本が細いためしなやかさがあります。

粋な江戸扇子と優雅な京扇子といった印象です。

完全分業制の京扇子に対し、江戸扇子はすべて一人の職人が担います。
これも大きな違いかもしれません。
職人も少ないため、生産量は少なく、京扇子に比べ少々価格も高い傾向にあるようです。

ちなみに江戸扇子は国の伝統工芸品には指定されていません。

> 江戸扇子|職人技の扇子何が違う?特徴と選び方

京扇子選び方

絵柄は好みの分れるところです。

これは江戸扇子でも同じですが、試しに広げて閉じるときに最後「パチン」と心地よい感触のあるものが良い扇子と言われています。

大きさも好みですが涼を求めるのであれば、紙の大き目のものが風をしっかりとらえられ、結果涼しさを感じられます。

京扇子と称されるものは、京都扇子団扇商工協同組合の組合員で作られたもののみが与えられる称号なので、品質には問題ありません。
ただ、お土産物品の中には「京都の扇子」とうたった少し作りが甘いものも。

適度な重さがあり、しなやかであり、最後は「ため」をもちつつぱちんと閉じる扇子。
これが作りの良い扇子の特徴です。

扇子の選び方はこちらの記事にも書いてありますので、ぜひご参考ください。

> 扇子の種類と選び方 チェックポイントはどこ?

1,200年の歴史と言われる京扇子。
最近は男性のビジネスマンでもスーツの内ポケットに忍ばせている方も多いようです。

手軽に持ち運び、暑いときにすぐ使える扇子は質の良いものを1本持っていると重宝します。
デザインは夏だけでなく通年使えるものをおススメします。

お気に入りの一品をぜひ見つけてください。

末広がりで縁起がいいと言われる扇子はギフトとしても最適です。

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