最近は老若男女持つようになった扇子。
持ち運びもしやすく、デザインも豊富になったこともあり、
さらに持つ人が多くなりました。
今年新たに扇子を購入しようと思っている方、扇子選びのポイントをおさえておいてください。
知っておきたい扇子の種類
扇子って意外と種類があるんですよね。
様々な切り口でその内訳を見ていきましょう。
用途別扇子の種類
扇子は一般的に持ち運び用の扇子が季節になると店頭に並びます。
扇子の種類は意外と多く、お茶席用や踊り用など用途によって形状や大きさが異なってきます。
普段持ち運び用の扇子にも布・紙・白檀など種類がさらに分かれますが、大きく分けると「男持ち用」か「女持ち用」かになります。
男性用と女性用の違いは長さです。
男性用は7寸5分(約23cm)、女性用は6寸5分(約20cm)くらいが目安です。
ただ、最近はあまりこだわりないようで、女性でも男性持ちの大きめのものを使う方も多いようです。
反対にスーツの内ポケットに入れておきたいという理由から女性持ちの小さめの扇子を求める男性もいらっしゃるようですので、そこは厳密にならなくても問題ありません。
ちなみにポケットサイズで6寸(約18cm)というものもあります。
素材別扇子の種類
素材は大きく分けると紙製と布製があります。
空気抵抗が大きい紙の方がより多くの風を感じられますが、ここは好みですね。
骨を挟み込む紙に対し、布は片側のみに骨を貼り付ける仕様となっています。
産地別扇子の種類
扇子は大きく分けると「京扇子」と「江戸扇子」に分けられます。
もともとは京扇子から江戸扇子へその技術が受け継がれましたが、仕様は若干異なります。
中骨(扇骨)と呼ばれる蛇腹に通っている骨の本数は京扇子の方が多く、優雅な絵柄のモノが多いのも特徴です。
京扇子は平安時代から歌を詠む際に使用したほど歴史が長く、その伝統が今も継承されています。
一方、江戸扇子は江戸時代、庶民のために作られたルーツがあります。
扇骨の本数も少なく、絵柄も粋な小紋柄、幾何学柄、縁起物などが主流です。
制作工程でいえば、京扇子は絵を描く人、骨を組む人、骨と扇を固定する人と各作業に専門の職人さんがいます。
江戸扇子は30ほどあるすべての工程を一人の職人が担います。
江戸扇子についてはこちらもご参考ください。
> 江戸扇子|職人技の扇子何が違う?特徴と選び方
扇子の選び方のポイント
扇子の主な種類が分かったところで、さっそく扇子の選び方です。
使用シーンで選ぶ
先にも述べた通り、普段使いかお茶会などに使うかでも選ぶ扇子が異なります。
また、一年中使うのか、夏場だけのものなのかによっても異なってきます。
まずは「いつ」「どこで」使うのかをしっかり念頭において選んでください。
また扇子をポケットに入れて持ち運ぶのか、バッグなどに入れておくのかによっても扇子の大きさが異なります。
作りをチェック
最近は海外で作られているもので、素材があまり良くないものも出回っています。
以下はちゃんと購入時にチェックしてください。
- 紙・布の丈夫さ
- 骨の固さとしなやかさ
- 全体的な仕上げ
- ためがあるか(親骨の形状)
職人の手で作られた扇子は紙も何枚も貼り合わせています。
そのため破れにくく、空気をしっかり送ります。
その紙を支える骨はしっかりとしていて、適度なしなりも必要です。
この骨が軟らかすぎると、空気をしっかり送りこめません。
また、骨は蛇腹の中心にしっかりはいっていること。
さらに糊などはみ出ていないこと。
さらに閉じた時ぱちんと音がするほど適度なしまりがあること。
この音は両端の親骨が少し内側にカーブしていることにより発生します。
これを「ため」と言いますが、この技術は専門の職人でないとなかなかできないこと。
このためがしっかりほどこされている物を選んでください。
これは単なる音でなく扇子を広げた状態から閉じた状態にする際にしっかり紙の折り目にそって収納できるようにするための仕掛け。
職人さんによってはこの音にこだわる方も。
実際手にとって確かめてみてください。
ちなみに布製の扇子にはためのないものが一般的です。
デザインで選ぶ
全体的なフォルムや扇画の好みだけでなく、その扇子をどんなシーンに使うかによって選ぶデザインも異なってきます。
例えば、一年中使うのに金魚などの絵柄はさすがに冬場少々寒々しさが出てしまいます。
また渋い色・重厚な色のものなどは一見、年中つかえそうですが、紙質などによっては夏場暑苦しくみえることも。
その他、会社などでも使う可能性があるなら絵柄があまり派手でないモノの方がスマートに見えますよね。
扇子選びは自分が「いつ」「どこで」使うのかをしっかり念頭において「センス良く」選んでくださいね。
安い扇子と高い扇子との違い
最近は100円ショップなどでも購入できる扇子。
中には日常使い用の扇子でも数万するものも。
では安い扇子と高い扇子とではどう違うのでしょうか。
修理がきく
ちゃんとした職人によって作られた扇子はもしかなめ(骨組みを留めている扇の手元の金具)がはずれたり、扇の紙が破れたりしたらちゃんと修正してくれます。
ただ、構造的にかなりしっかりしているので、滅多に破れませんし壊れません。
あおいだ時の風が違う
100円ショップなどで売られている扇子は骨もやわらかく、扇の紙も薄くペラペラです。
職人さんの手で作られているものは扇画だけで複数枚の紙が貼り合わせされているので切れにくく、破れにくくなっています。
紙が薄いとあおいだ時に満足の風は送られてきません。
つまり、100円ショップの扇子と職人さんの手で作られている扇子とでは「涼しさ」が違ってくるのです。
コピー用紙と固めの厚紙。それぞれで自分をあおいてみるとどちらがより風を感じられるかを考えてみるとイメージしやすいかもしれません。
また、高い扇子は骨がしっかり扇画部分にしっかり深く入っています。
これもしっかりあおいだ時の空気抵抗に負けないようになっている仕組みです。
安い扇子と高い扇子は見た目の良さや素材の違いだけでなく、扇子本来の役割「涼しさ」に違いが出てくると言っていいかもしれません。
センスが問われる
ダジャレのつもりではありませんが、良い扇子を使っているとやはりセンスはでると思います。
江戸扇子の職人さんに伺ったところ、扇の絵(色引き)だけでも3日ほどかかるそうです。
扇子を広げた時の美しさにこだわり、使い手がつい広げたくなるような扇子づくりを職人さんは日々作り続けています。
男性も女性も服のコーディネートを考えるものと同じく、おしゃれの一貫として品質の良い扇子をスマートに使いこなしたいですね。
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