民藝って何?民藝の特徴と見極め方

「民藝」って言葉聞いたことありますか?
最近はちょっと認知度も高まってきてプチブームとも言われているので言葉くらいは知ってる方も多いと思います。

NHKの「趣味どきっ!」でもテーマとして扱われ、セレクトショップ「ビームス」でも特設の売場が設けられるほど。

でも、なんとな~くのイメージでしかないのでは?
「古き良きもの」「みやげもの」みたいな。。。

そんなものではないんです。
渋かわいい民藝の話です。
少しでも興味もっていただけると嬉しいです。

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民藝とは?

ところで「民藝」ってなんなんでしょうか。

これは造語で大正14年、民藝運動の創始者、河井寛次郎、浜田庄司、柳宗悦らが「民衆的工芸」という言葉を作り、それを略したものです。

では「民衆的工芸」とは?

一言で言うと、「一般的に人々が日常的に使う品」です。

使いやすさ、親しみやすさ、人の生活に寄り添った品にこそ「用途美」があると説き、当時観賞用の器や工芸に価値を重んじていた風習を一蹴させました。
また、名もなき職人たちの技にこそ、本当の価値があることを訴えました。

以下民藝活動の創始者メンバー5人です。
(興味ない方は読み飛ばしてその後をどうぞ)

民藝活動の立役者創始者メンバー

柳宗悦(やなぎむねよし)

民藝運動の中心人物。宗教哲学者で、現代でも有名な柳宗理(バタフライツールなどをデザインしたプロダクトデザイナー)の実父にあたります。
民藝とは彼の視点、美学を示した言葉とも言われています。

時代的背景から同人誌「白樺」を創刊。名もない職人が作り出す生活に密着した日用品と結び付くべきと考えました。

河井寛次郎(かわいかんじろう)
陶芸家でありながら彫刻、書、詩、詞、随筆などの分野でも多数作品を残しています。
現存する京都の河井寛次郎記念館は生前寛次郎が暮らしていた家で、自ら設計したと言われています。

無名職人による日用の美を世に広め、新しい日用品を制作し普及しようとしました。
民藝運動を始めたころは自らの作品の転換期にもなったようです。

浜田庄司(はまだ しょうじ)

陶芸家。栃木益子焼の人間国宝でもあります。

「京都で道をみつけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った」という言葉の通り、今の益子焼の礎を築いたともいえる人物です。

大正9年バーナード・リーチとともに渡英。帰国後益子で窯を開きました。
益子焼の特徴、釉薬の流しかけの技法を編み出したのも浜田庄司。

この技法に「もっと時間をかけて創るべき」と非難があり、これに対し、
「15秒プラス60年と見たらどうでしょうか。この技法はこの先60年続くでしょう。」
と返したと言われています。
その言葉通り、60年以上たった今でも益子焼代表の釉がけの技法となりました。

濱田庄司の言葉として以下のように継がれています。
「15seconds+60years」

バーナード・リーチ
イギリス人の陶芸家。濱田庄司の7友人でもあり、この民藝活動に携わることになります。
親日家でもあり、彼の作品はイギリスの風合いとは異なる、どこか和の要素も感じられるものが多いですね。
それもそのはず、六代目尾形乾山に入門したほど。高村光太郎とも親交があったと伝わっています。

代表作はスリップウェアなどの西洋陶器と東洋陶磁の技術を融合させたもの。

日本の陶工にも影響を与えています。

富本憲吉(とみもと けんきち)
陶芸家。
もともとバーナードリーチとも親交があり、陶芸の道に進んだと言われています。

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「模様から模様を作るべからず」をモットーに、白磁・染付・色絵と常に独創的な意匠と造形を追求しました。
京都で作陶を続け、昭和30年人間国宝となります。

以上が創始者メンバーです。
ここから民藝活動が始まり、陶器をはじめ新たな日用品の価値が見出されていきました。

具体的にどういうものが民藝?

ではあらためて、今や市民権得た「民藝」とはそもそもどういうものなのでしょうか。

最初に言っておくのは、陶器に限ったものではありません。

民藝とは日用品であることが前提なので、家具から木工・かご・金属や漆・染めものなど身の回りのものすべてが該当します。

なので率直にいうと「これ!」

といった線引きはありません。

ただ、使い手に沿ったもので、意図しない美が備わったものであることは間違いないようです。

例えば、農業で使う道具ひとつでも、もっと効率よく、もっと使いやすく、もっと丈夫にと作り手は使い手のことを一番に考えて試行錯誤し、成形していきます。
そこに無駄な装飾などは一切入りません。でも意外と完成したものに独特の美しさを感じることがあります。

柳宗悦はこれを「民藝」と定義付けています。

作為的でなく、使いやすく、シンプルながら美しい。

もちろん、美しいと思う観点は人ぞれぞれ。
ただ、装飾的でない、使い手に寄り添ったものというのは、意外と共通に感じられるのではないでしょうか。

キーワードとしては

  • 素朴
  • シンプル
  • まじめ
  • 自然

などでしょうか。

付け加えるなら、地域に根付いたもの、伝統の技により生み出されたものなどがあげられます。

一方「民藝」にぞくさないものというと。。。

一方「民藝」にぞくさないものというと。。。
・商業的な大量生産されたもの
・装飾がが際立つもの
・作為的なもの
・作り手のブランドや名前が前面にでているもの
などがあげられます。

なんとな~くイメージできますか?

しかしながら結局のところ柳宗悦が美しいと思ったものになるのですが、大体は上記のようなキーワードでくくられたものになります。

民藝の見極め方

では良いものを購入するにはどういった基準があるのでしょうか。

今や民藝に関する書籍や資料はたくさんあります。

でもやはり「実際の本物」を見ることからその目は養われていきます。

柳宗悦は直観力が長けていたと言われています。

そんな彼が選んだ民藝が見られるのが東京目黒区駒場にある「日本民藝館」です。
民藝活動の賛同者の援助のもと建てられたこの建造物は昔ながらの木造建築。

このたたずまいが簡素ながらとてもわくわくします。
ここには柳宗悦が惚れぬいた品々が貯蔵され、企画を替えながら通年見られます。

ここには拭きガラスやかごやざる、衣類やもちろん陶磁器までそのカテゴリは幅広く、いつ行っても楽しめます。

当然、「これのどこが美しいのか」と思われるものもあるでしょう。
でもそれは当然のことです。

美の基準は十人十色。

でも、どれも共通していえるのは素朴であり、力強いですね。

一度民藝活動創始者の目にかなったホンモノの民藝を見に行ってみてはどうでしょうか。

先入観なしにいいと思ったもの

「値段が高いから」「人気があるから」「ブランドだから」そんなものをすべて払拭し、ぱっと見て「いいな」と思ったものがあなたにとっての「民藝」と言います。

最初の話にもどりますが、民藝とは「民衆的工芸」。
あなたにとって日常使うことにより豊かさをもたらすものが民藝です。
受け売りでなく、自分の本心にまっすく響くモノを探してください。

「直観」とは「観ること」。
物のたたずまいを観ていいものかどうか判断すること

と日本民藝協会理事の久野恵一氏は言います。

みんなで本物をたくさん観て触れて「直観」を磨きましょう!

公益財団法人 日本民芸館
住所:東京都目黒区駒場4-3-33
時間:10:00~17:00
入館料:大人1,100円、高大生600円、小中生200円
休館日:毎週月曜日(但し祝日の場合は開館し翌日休館)
年末年始、陳列替え等に伴う臨時休館有り
アクセス:京王井の頭線「駒場東大前駅」西口から徒歩7分

なぜ今民藝?

情報化社会の現在、おしゃれで安いものが反乱し、ネットでぽちっとすればなんでも手に入る時代。
今一度「モノづくり」にもどるような気がします。

暮らしを豊かさと美を与える民藝。
モノがあふれている今こそ原点にもどり、自分の求める「イッピン」を探すのは当然の流れかと思います。

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