美濃和紙あかりアート展情報とみどころ

「うだつの上がる町並み」ってご存知でしょうか?

岐阜県美濃市に位置する江戸時代の姿そのまま残る歴史を感じられる町並みです。

そこは「美濃和紙」の産地であり、毎年10月には和紙で作ったあんどんが町中に展示される「あかりアート展」が開催されます。

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美濃和紙あかりアート展とは

最近はテレビの影響もあり、「ちぎり絵」が人気のようですね。
ちぎり絵は和紙でないと、あの風合いはでません。

まずはちょっと美濃和紙について説明しておきますね。

美濃和紙とは

和紙の産地は日本全国にありますが、岐阜県美濃市で作られる和紙は美濃和紙と呼ばれ、1,300年以上続く2014 年にはユネスコの無形文化遺産に登録された伝統工芸です。

「高知県の土佐和紙」「福井県の越前和紙」と並び、「日本三大和紙」のひとつに数えられています。

和紙とは主に「楮(コウゾ)」「三椏(ミツマタ)」「雁皮(ガンピ)」を原料に作られた紙のこと。
これらの原料と共になくてはならないのがキレイで豊かな水です。

清流で名高い長良川の近くで美濃和紙は古くから紙がすかれていました。

美濃和紙は縦と横にすくため、ムラがなく薄手ながら丈夫なのが特徴。
そのため、障子紙などによく使われていました。

美濃和紙あかりアート展

美濃和紙あかりアート展は昔ながらの家屋の並ぶ町並みにズラリと美濃和紙で作られたあんどんが並びます。

街灯も少ないこの町並みにともるあんどんはなんとも幻想的。
秋の夜の散策が楽しめます。

2023年の美濃和紙あかりアート展情報です。

【美濃和紙あかりアート展2023】
開催期間:
第1部 10月8日(日)~21日(土)
第2部 10月22日(日)~11月30日(木)
時間:17:00~21:00(第1部、第2部共通)
会場:うだつの上がる町並み
住所:岐阜県美濃市泉町
アクセス:
長良川鉄道「美濃市駅」から徒歩約10分
岐阜バス岐阜美濃線「うだつの町並み通り」下車、徒歩1分
東海北陸自動車道美濃ICから、国道156号線経由で約5分

この展示は一般公募で作品を募り、それらの応募作品を町を展示会場としてズラリと展示されます。
それらは光の魔術師、照明デザイナーの石井幹子さんや地域づくりプランナー花井孝さんなどの審査をくぐり、大賞作品が選ばれます。

そのほか優秀作品が選出され、上記日程のすぐあとに歴代優秀作品80点ほどが11月いっぱい町に飾られます

建築やプロダクトに携わる人の出展もありますが、そのほとんどは美濃和紙好きの素人だそうです。
これを機に本格的な美濃和紙を使った作品をつくるアーティストになる人もいるとか。。。

見たら分かりますが、単なる「工作」ではないほどのクオリティなんですよ。

あかりアート展の2日間は約10万人の来場者があるので、ゆっくり町並みもふくめて楽しみたい方は10月18日からの展示をおススメします。

うだつのあがる町並みの見どころ

「うだつのあがる町並み」とは「うだつが上がらない」という言葉を洒落てつけたネーミング?

いえいえ反対です!

「うだつ」とは瓦屋根に取り付けられた「防火壁」の一部
江戸時代、長屋が密集している地域では、一件が火事になると、屋根づたいにどんどん火が回っていきました。
それを防ぐため、屋根に少し高く仕切りのようなものを取り付け、火が移るのを防ぎました。この防火壁を「うだつ」と呼びました。

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そのうち、このうだつの鬼がわらや高さ、形状にこだわる家も増えてきました。
これは単なる見得。なぜならかなりこのうだつにはお金がかかったそうです。

この美濃地区はほとんどが豪商だったため、「うだつが上がる(高くなる)家」=「儲かっている家」と見られたため、うだつの装飾にお金をかけたそうです。
言葉を変えれば「うだつが上がらない」=「商売がうまくいっていない」ということになりますね。

ここから現在において成果・結果があらわれないことを「うだつが上がらない」と言うようになりました。

うだつ上がる家屋と和紙に触れてみる

中には見学専門の家もあるほど、ここの建築は見どころ満載。
屋根やうだつの紹介はガイドになっているほど。国指定重要文化財もあります。

さほど広い地域ではないので、数時間あればゆっくり回れます。

おススメスポット

・旧今井家住宅・美濃史料館(市指定文化財)
・小坂家住宅(国指定重要文化財)
屋根全体が「起り(むくり)」と言われるなだらかな曲線になっている。国の重要文化財になるほど貴重なつくりです。
・町並みギャラリー山田家住宅

また、二番町通りにある平田家住宅と古川家住宅のうだつは明治につくられたもので、うだつの装飾の完成形とも言われています。ぜひ探してみてください。(以下の写真がそれです)

平田家住宅と古川家住宅のうだつ

うだつの上がる町並みを楽しむ公式ホームページをご参考に

そのほかおススメスポット

その他の美濃市観光スポットはこちら、

【上有知湊(川湊灯台)】

珍しい川にある灯台。もちろん今は使われていません。
この美濃町は「上有知(こうずち)」と呼ばれていたそうです。江戸時代から明治末期まで流通、交通の中心として栄え、長良川は流通手段として使われていました。

【美濃橋】

国指定重要文化財。現存する日本最古の近代吊り橋です。
赤い吊り橋は、その姿も美しく、清流にかかる雄大さがなんとも画になります。
橋長113m、支間116m、幅員3.1m。
2021年3月まで修復修理のため、通行止めになっていますが、今もちゃんと渡れます。修復が終わったらぜひ長良川の上に立って、壮大な景色を堪能してください。

【小倉公園】
金森長近が徳川家康より美濃の地を拝領した時に築城した小倉山城。
その周辺の公園で、長良川に面しています。
小高い山になっているので、美しい美濃の町が一望できます。
桜の名所になっているので、春が一番おススメですが、この機会にぜひ足を運んでみてはどうでしょうか。

さいごに:和紙の里

美濃の町は今もどこかで職人さんが紙をすくための材料の仕込みをしていたり、ずっと工房でひたすら紙をすいていたりするのどかながら、クリエイティブな町です。

湧水も豊富で、水場が町中にあり、ひとりが紙の原料となるこうぞを煮たもののごみ取りをしている一方、片隅で野菜を洗っている人がいたりと、東京育ちの私にとってはなんて静かで豊かな空間なのだろうと感嘆しました。

そんな里で作られる和紙の魅力ってなんでしょうか。

古い古文書などが今も残っているのは、この和紙の性質のためです。
パルプなどを使用しているとどうしても劣化が激しくなります。

ちぎり絵などで使用すると分かるように、ちぎると毛羽立つのはそれだけ繊維質で丈夫ということ。

特にこの美濃和紙は紙のすき方がほかの産地と比べても縦横まんべんなくすくため、しっかりと繊維が絡み合い薄くても丈夫な紙になります。

このあかりアート展を機会に1,300年続く日本の技に触れてみるのもいいかもしれませんね。

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