浅草では11月の酉の市の次は浅草寺境内で12月羽子板市が開催されます。
酉の市の熊手同様、羽子板も実は縁起物。
新しく迎える年が良い年であることを願い、年末こぞって人々は羽子板を買い求めました。
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海外土産としても人気の羽子板。
今まで馴染のなかった方も、今年ちょっと行きたくなるかもしれませんよ。
歳の市とは
毎月18日は観世音菩薩の縁日とされています。
その日、神社仏閣の境内では日常品が売られる「市」が開催されるのが通常でした。
12月18日はその年の最後の市ということから「歳の市」と呼ばれるようになりました。
特に浅草の市は浅草橋から上野に至るまで店が並ぶほど大規模な市でかなりの賑わいだったと言います。
「歳の市」というと百貨店や店舗の年末開催のセールを連想する方も多いかと思いますが、本来は神社仏閣の市のことを指します。
浅草羽子板市
新年を迎えるための日用品を売っていた歳の市は、江戸末期頃より羽子板も売られるようになりました。
元々羽子板は縁起物だったことにより人気がでてきます。
毎年12月17日~19日浅草寺境内で開催されます。
18日は「締めの観音」。観音様の縁日として特に参拝者が多く訪れます。
羽子板の販売はほぼ酉の市と同じです。
数々のテントのような商店が並び、店内いっぱいに羽子板が飾られ販売されます。
押絵という立体的に作られている羽子板が主流。
価格は大きさや作りによって異なりますが安いものなら1,000円くらい。
高いものであれば数十万円になります。
買い方も酉の市の熊手と一緒。
パッと値段が表示されていないものがほとんど。気になる羽子板を見つけたら値段を聞いて、まけてくれるよう交渉します。
値切ってくれたら、まけてくれた分はご祝儀として支払います。
最近はどこまでそんな買い方をやっているのか分りませんが、一応そんな風習も残っているようです。また、ある程度の値段の羽子板を買うと一本締めなどやってくれます。これも酉の市と同じですね。
ただし、値切るのはある程度値のはるものに限ります。
そこは常識の範囲で判断してくださいね。
羽子板市の歴史
歳の市は浅草の市が江戸では一番古く、1659年くらいから始まったと伝わっています。
浅草の歳の市では新年を迎えるに当たっての日用品が主流でしたが、いつからか正月に遊ぶ羽子板が売られるようになり、その華やかさから人気となりました。
いつしか日用品も他で変えるようになり、羽子板だけが残り浅草歳の市は「羽子板市」と呼ばれるようになりました。
「押絵」が羽子板に取り入れられたのは江戸時代の初め。
特に歌舞伎役者をモチーフにした羽子板が大人気だったそうで、人気役者のその年当たった役の姿などが主流でした。
その羽子板の売れ行きが役者の人気のバロメータになっていたとも伝わります。
現在も歌舞伎の役の羽子板は定番で、固定役者というより演目の役をモチーフにしたものです。
江戸時代の浮世絵に歌舞伎の演目の役柄八百屋お七が恋人吉三郎の立ち姿の羽子板を手にしているという画があるそうです。
こうして江戸歌舞伎と羽子板は切っても切れない関係となっていきました。
江戸時代、職人は人気の歌舞伎役者の役柄の仕草を熱心に観察し、羽子板という小さな枠にイキイキと表現していきました。今のような押絵羽子板が完成したのは明治に入ってからとも言われています。
羽子板とは
最近は正月に羽根つきなどで遊ぶこともなくなってきましたが、そもそもなぜ正月の遊びだったのでしょうか。元々羽子板は魔除けや神社で神事に使っていたそうです。
歴史は古く、戦国時代から羽根つきは厄払いとして行われていたようです。さらに室町時代の羽根つきは正月の貴族の遊びでした。
縁起物と呼ばれる所以は諸説ありますが、羽根つきの羽の玉の無患子(むくろじ)がその名の通り「子が患わない」という意味から。
また、羽が虫を食べるトンボに似ていることから虫(病気)から身を守るとされたため。
さらに羽を突くから、災いをはねつけるという意味など。
特に女の子が生まれると初正月に羽子板をお守りとして贈ることが習わしとなりました。
羽子板市の羽子板は一点一点職人が手作りしています。
「押絵」とは半立体的に作られたもの。
モチーフの各パーツを布で裁断し、ひとつひとつくみ上げていきます。
間近でみると、溜息がでるほど細かい作りこみがされています。
アート感覚で楽しめますよ。
見どころと楽しみ
歌舞伎演目の役どころなどのモチーフだけでなく、その年話題となった人物羽子板が見もの。
その範囲は広く、スポーツ選手や政治家、芸人まで。
その年オンリーの羽子板なので、コレクターもいるそうです。
2021年ならメジャーリーグで活躍した大谷翔平選手や東京五輪のメダリスト、さらに新総理などが出てきそうですね。
そんなことも想像しながら見て回るのも楽しいですよ。
また、羽子板市周辺では多くの出店も並びます。
見て食べて年の瀬の江戸の風物詩、味わいつくしましょう。
300年以上続く江戸の風物詩です。
一度雰囲気を味わってみるのもいいですよ。
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