緑茶と言ってもその種類は多く、店頭でズラリと並んだお茶を見てどれにするか悩みますね。
しかもどれも美味しそうな名前がついていたり。。。
どうせなら美味しいお茶を選びたい。
そんな方に知っておきたい緑茶の種類と選び方のご紹介です。
お茶(緑茶)の種類
一言でお茶といっても、産地やお茶の種類をかけ合わせると、膨大な種類になります。
主な緑茶の種類と産地情報です。
ここから自分の好みを探していってください。
日本茶の種類
一般的に煎茶が一番家庭で飲まれるかと思いますが、日本茶には実はこんなに種類があったんです。
玉露
作法にそった淹れ方をすると、「これが緑茶?」と疑うほどとろりとした甘味が口に広がります。
その理由は玉露は茶摘みの20日ほど前には茶園を覆う栽培法にあります。
日光を遮断することによって緑茶特有の栄養素カテキンの生成を抑え、テアニンという旨み成分を作りだします。
カテキンは健康効果も高い栄養素ですが、その含有量によって苦味が増します。
玉露の水色(「すいしょく」入れた時のお茶の色)は鮮やかな黄緑色で茶葉は針先のように細くとがっています。
京都や静岡でも栽培されていますが、福岡(筑後地方)が名産地。
こちらも参考にしてください。
> 極上の旨み 玉露の魅力と淹れ方
かぶせ茶
特に関西で人気があるお茶。
関東ではあまり見かけないのが不思議です。
玉露同様、茶摘みの1週間ほど前にワラや寒冷紗などで茶園を覆います。
被覆栽培と呼ばれるこの栽培法から「冠茶」という名がついたと言われています。
日光を遮っているので、玉露同様渋味が少ないのが特徴。
かぶせ茶の水色はすっきりとした緑(産地によって多少異なります)。
茶葉は濃い緑でふんわりとよじれて長細いのが一般的です。
三重県の伊勢茶が主な産地で、次いで静岡や福岡(八女地方)でも生産されています。
煎茶
私たちに馴染みのお茶ですね。
日本茶の約80%が煎茶だそうです。
なので緑茶の代名詞と言っても過言ではないですね。
甘味・渋味のバランスがよく、その味は産地や淹れ方で無限に変わります。
煎茶の水色は一般的には黄金色。緑というよりかなり黄色っぽくなることが多いですね。
産地は全国で生産されています。茶葉は細く針のようにまっすぐなのが特徴です。
深蒸し煎茶
緑茶は製造過程において一度茶葉を蒸します。
その蒸す時間が普通の煎茶と比べて長く蒸したものがこの「深蒸し煎茶」です。
長く蒸すことにより、細胞を壊すため旨みやコクがよく抽出されます。
静岡の牧之原が発祥とされていますが、全国で製造されています。
深蒸し煎茶の水色は濃い深緑。茶葉の粉も混じるので濁りがちです。
茶葉は若干水分を含むため軟らかく、少し黄色かかった緑。
こちらもご参考にどうぞ。
> 深蒸し茶とは 特徴と美味しい淹れ方
芽茶(めちゃ)
日本人がいかに茶葉を大切に育ててきたかが分かりますね。
玉露や煎茶をふるったときに落ちる芽や葉の先を集めたもの。
当然、価格は安いのですが、味は玉露や煎茶と同じなのでちょっと「お得」です。
しかしながら旨みも渋味も凝縮されており、濃厚な味が楽しめます。
芽茶は玉露からでたものは「玉露の芽茶」、煎茶からでたものは「煎茶の芽茶」となります。
茶葉は丸くまるまっていて、水色は深く濃い緑色。
茎茶(くきちゃ)
芽茶と同様、玉露や煎茶の茎だけを集めたお茶です。
昔はお茶を淹れた際、湯のみに入った茎がお茶の表面に縦状に浮いていると「茶柱が立った!」とラッキーなことがおこる前触れとしていました。
最近は急須の網目も細かくなったりするため、なかなか見ることがなくなりましたね。
また、茎茶も粉茶などが主流になったことから飲むことが少なくなったかもしれません。
茎部といっても甘味があります。
玉露や高級な煎茶の茎は、「かりがね」と呼ばれ、ブランドとして確立しています。
茎茶の水色は透き通った黄緑色。
番茶
お茶は本来年間3~4回にわたって摘まれます。
定義は様々ですが、一般的には3番茶、4番茶をその年最後に摘むお茶として「番茶」と呼ばれます。
ちなみに新茶は採れたてのお茶でなく、その年初めて摘まれたお茶を指します。
> 新茶の美味しい淹れ方と保存方法
京番茶と呼ばれる京都独自のブランドがありますが、これは番茶でなく関東でいうほうじ茶です。
玉露などを摘み取ったあとに残った固い葉を蒸した後に乾燥させ、炒ったもの。
茶葉が大きいのが特徴です。
番茶の水色は薄い黄色、京番茶は飴色をしています。
ほうじ茶
煎茶や番茶を焙煎したもの。
香ばしい香りが特徴で、焙煎することでカフェインもなくなるので胃腸の弱い方、赤ちゃんやお年寄りも安心して飲めます。
最近はほうじ茶を使ったスイーツやカフェメニューも人気ですね。
水色は透明な飴色。
以上、主な緑茶を述べましたがそのほかまだまだお茶の種類はあります。
なかなか選べませんよね。
まずは自分好みのお茶を見つけることから始めましょう。
好みのお茶の見つけ方
お茶は生産方法はどこもほぼ同じなのですが、産地によって驚くほど特徴が異なります。
「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」
と歌がありますが、好みは人それぞれ。
まずはお茶の産地とブランド、それぞれの特徴をみていきましょう。
こんなにある!お茶の産地
日本のお茶の生産量トップ3ってご存知ですか?
1位 静岡県
2位 鹿児島県
3位 三重県
これは2019年の統計ですが、近年静岡と鹿児島は順位が入れ替わる僅差、さらに3位は三重県または京都となっています。
日本茶は静岡県と鹿児島県で全体の70%を占めると言われています。
■茨城県
【奥久慈茶】
北部山間地で栽培されています。
香りが高いと言われています。
【古内茶】
西部で栽培されている古い歴史のあるお茶。徳川光圀が愛したとも言われています。後味すっきりのお茶。
■埼玉県
【狭山茶】
静岡茶・宇治茶にならぶ日本三大茶のひとつにもあげられています。
乾燥させる際の火入れ法が狭山独自のことから、香り・味が高く評価されています。
渋味の中に甘さも感じられます。
埼玉ではこのほか、川越茶、秩父茶、児玉茶などがあります。
■静岡県
日本のお茶の40%以上の生産量。
【静岡茶】
日本一の生産の銘柄とも言えます。
日本三大茶だけあり、その味は香り渋味のバランスがよく、万人に愛されるお茶と言ってもいいですね。
静岡茶以外でも、川根茶、掛川茶、沼津茶、富士茶、裾野茶、朝比奈、玉露本山茶、安倍茶、清水のお茶、朝比奈、玉露岡部茶、藤枝茶、志太茶、榛原茶、島田茶、金谷茶、さがら茶、御前崎茶、牧ノ原茶、菊川茶、小笠茶、袋井、、磐田茶、天竜茶、遠州森の茶、浜松茶などの銘柄があります。
静岡茶の代表は深蒸し煎茶。
栄養も多く摂取でき、コクのある旨みが特徴です。
■岐阜県
【美濃白川茶】
白川町と東白川村を中心とした標高の高い山間部で生産されているお茶。
さわやかな味と高い香りが特徴です。
【揖斐茶(いびちゃ)】
「美濃白川茶」と並び、二代銘柄を総称して「美濃茶」と呼ばれます。
揖斐茶は江戸時代、幕府御用番茶でした。
まろやかで独特の深い味わい、香り高いお茶と言われています。
そのほか、岐阜県には恵那茶、下呂茶、津保茶、郡上番茶などがあります。
■三重県
【伊勢茶】
三重県で生産されるお茶の総称。日本のお茶の生産量トップ3に入るほど。
二番茶までしか摘まないため、葉肉が厚く、コクのある味わいが特徴となっています。
■奈良県
【月ヶ瀬茶】
約80%が、かぶせ茶という月ヶ瀬茶。
そのため、甘味・うま味が強いうえ、渋みかかった香りも高いのが特徴です。
奈良県にはそのほか、和茶、福住茶、柳生茶、山添茶などがあります。
■滋賀県
【朝宮茶】
甲賀市信楽町で収穫されるお茶。
他の日本茶と格別にちがうのがふくよかな旨みと甘味。
滋賀にはそのほか政所茶、土山茶、水口茶などがあります。
■京都府
【宇治茶】
宇治茶といえば誰もが知っている銘柄ですね。
煎茶だけでなく、抹茶の生産も盛んです。
京都では綾部茶、和束茶、両丹茶などがあります。
■新潟県
【村上茶】
年平均気温が11℃がお茶の生産に適しているとされている中、村上茶は茶の栽培の北限と言われています。
甘味が強く、まろやかな味が特徴と言われています。
■岡山県
【美作番茶】
他のお茶と圧倒的に違うのが製法。
普通3~4回芽を摘むところ、美作番茶は8月に一度だけ。
また、そのあと“蒸し汁”をかけて天日で干すという製造法も他に例のないやり方です。
多少酸味があるため、煮出しして飲むのが定番の飲み方です。
岡山にはそのほか海田茶、武蔵番茶、富原茶、作州番茶などがあります。
■島根県
【出雲茶】
中国・四国では高知に次ぐ生産量。
新茶は特に定評があり、濃厚な旨みが特徴です。
■山口県
【山口茶】
実は歴史は古く、煎茶・かぶせ茶・番茶などさまざまなお茶が生産されています。
■徳島県
【阿波番茶】
「阿波晩茶」とも書きます。乳酸発酵茶で、収穫時期は7月頃。
独自の製法で発酵させるのですが、飲むと酸味は少なく甘味があるのが特徴。
ハーブっぽい香りも。
阿波番茶も煮出して淹れます。
■高知県
【土佐茶】
仁淀川や四万十川流域などの山間で栽培されたお茶。
その味の濃さから、静岡茶の風味づけのブレンド用として用いられたほど。
香りも高く、深い味わいが特徴です。
高知県にはそのほか四万十茶があります。
■佐賀県
【嬉野茶】
これは関東のお茶屋さんでもよく見かけます。
歴史は古く、まさにお茶の歴史そのものといってもいいかもしれません。
中国から伝わる釜炒り製法も行っています。
甘味・旨みが強いながらさっぱりとした味が特徴。
■福岡県
【八女茶】
特に玉露の生産に力をいれています。
旨みが多く、関東でも人気のお茶です。
■鹿児島県
【知覧茶】
味はすっきりしとしながらまろやかです。
香り高く、全国茶品評会でも評価の高いお茶です。
全国2番目の生産量を誇る鹿児島にはそのほかえい茶、枕崎茶、みそべ茶、伊集院茶、宮之城茶、有明茶、田代茶、薩摩茶などがあります。
■沖縄県
【沖縄茶】
あまり東京では馴染みがありませんが。日本全国で一番早く新茶が出回ります。
東京では鹿児島の知覧茶が一番早いとされています。
個人の見解で、種類にもよりますが九州(嬉野茶や八女茶)は特に普通の煎茶でも甘味が強いように感じます。
香りを楽しむならやはり京都の宇治茶がおススメです。
産地によって同じ煎茶でもかなり味が変わるので、最初は同じくらいの値段の様々な銘柄のお茶を飲んでみては。
自分の好みを知る
「お茶はやはり適度な渋みがないと」
「高いお茶は常飲できないけど、甘味旨みを感じるお茶がいい。」
それぞれ好みは分かれるところですね。
これ、というものがない場合はいろいろ飲み比べをしてみるしかありません。
これは実際私がやっていた方法ですが、同じ価格帯の違う銘柄を毎日交互に飲みます。
私の場合は茶葉から淹れたお茶をポットに入れて仕事場に持って行ったのですが、不思議と日替わりで飲んでいると「これが美味しい」と思える銘柄がでてきます。
それを色々替えながらやっていくと、自分の好みが絞られてきます。
ぜひ一度やってみてください。
特徴まとめ
産地によって異なりますが、ざっくりとした選ぶ目安をまとめました。
甘味がほしい
・玉露・かぶせ茶
お茶の渋みはカテキン。
甘味を感じたい場合は少しぬるめに淹れると甘味が引き立ちます。
渋みも感じたい
・煎茶
お茶は熱い温度で淹れると渋みがでます。
また、価格が高いほど甘くなります。
子どもも一緒に飲みたい
・ほうじ茶
緑茶はカフェインが強いので、子どもの飲みすぎには注意を。
ほうじ茶は安心して飲めます。
良質のお茶の選び方
値段は煎茶の場合は100g 1,000円くらいが目安です。
それより高いほど良いお茶になります。
また、良いお茶ほど重い傾向にあります。
たいていパック売りされているので、並んでいるお茶の中でも少なくみえるのが良質の茶葉。
あとはスーパーなどでなく、百貨店のお茶売場やお茶専門店で購入することをおススメします。
色々詳しくお話も聞けますし、全部でないにしても大抵は試飲させてくれます。
私は割と百貨店で行われる催事で出店されているところで購入したりします。
市場より安くしてくれる可能性もありますし、販売元の方が直接販売されているので、間違いありません。
さいごに
なかなか種類が多く選ぶのに迷うお茶です。
失敗したくないなら目安は値段。
値段の違いはその茶葉の質です。
安いものは厳選された茶葉でなく、固い部位など色々入っているため、均等な味が抽出されません。
どのくらいの価格帯のものを選ぶべき?と迷いますね。
繰り返しになりますが、煎茶なら100gで1,000円くらいが目安です。
また、美味しいと思った銘柄はお茶のパッケージと生産元を控えておきましょう。
意外と次また買おうと思っても出会えなかったりします。
色々飲んで、ぜひ好みのお茶を見つけてくださいね。
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