「歌舞伎を観に行く時、何を着て行けばいい?やっぱり着物?」
歌舞伎が好きだというと、まず聞かれる質問です。
特に歌舞伎座ってちょっと格式高いですからね。
でも、そんなに心配することないんです。
ポイントは「ラフすぎないこと」。
「せっかくなら着物で。」
という方には、歌舞伎座周辺の着物レンタル情報もご紹介。
歌舞伎座に何を着て行くか
歌舞伎見物といえば「着物」!
では洋服の場合はどんな服装で行けばいいの?
歌舞伎座にドレスコードはありません。
(と言うと眉をひそめる方もいらっしゃるかと思いますが)
松竹のサイトを見ても「なんでもいいですよ。」と記載しています。
ただし、他劇場と比べて少しかしこまった服装の方が多いのは確かですね。
では実際みなさん、どのような服装で行っているのか?
下の写真はある休日、夜の部の開場直後の写真です。
普通ですよね?
歌舞伎は年配の方が多いので、確かにきちんとされている方は多いです。
着物を着て行くような方は「御贔屓さん」の方も多く、言ってみれば関係者。
一般のお客さんで着物の方はけっこう少ないのです。
いざ劇場内を見渡してみると、着物率はみなさんが思っているほど高くなく、全体の2割程度なのです。
席によってもやはり服装は違うように思います。
劇場と席で装いは異なる?
カジュアル過ぎる服装は避けた方がいいと言いましたが、実はこれは会場や席によっても多少違う印象があります。
歌舞伎座の場合、一幕だけ観る「幕見席」がありますが、こちらの席に関しては服装は特に意識しなくても大丈夫です。
海外の観光客も多いので、服装には気にしなくても問題ありません。
3等席(3階席)も比較的ラフな服装の方が多いようです。
かなりカジュアル感が増えます。
2等席・1等席くらいから着物率が増えます。
また桟敷席という一番高い席では着物率70%です。
客層は劇場によっても異なります。
歌舞伎座に程近い新橋演舞場ではあまりそこまで服装を気にしていない方も多いです。
理由はバスツアーのお客さんも多いため、ラフな服装の方もけっこう目立ちます。
演目でいうとスーパー歌舞伎や新歌舞伎は着物率がグッと減るように感じます。
ちょっと現代劇に近い感覚があるからでしょうね。
歌舞伎座おススメの装い
繰り返しになりますが、さほど意識しなくても大丈夫です。
それでもイマイチ服装がイメージしにくいという場合は以下を参考にしてください。
洋服の場合
先にも述べた通り、洋服なら靴やアウターなどワンポイントおさえておけばまったく問題ありません。
イメージしにくいなら、以下のコーデを参考にしてみてください。
お子さんの授業参観日や面談のためのコーデとして紹介されていますが、堅苦しくないけれどきちんとした印象です。
女性の場合、ワンピースやセットアップも多い印象があります。
男性ならジーンズでもジャケットを羽織ればいいかと思います。
イメージはビジネスカジュアルですね。
もちろん、これよりももっとカジュアルでも全然問題ありません。
ただ念のためにお伝えしておくと、ラフになり過ぎないようにしてください。
特に若い方は、映画に行くのと同じ感覚で「Tシャツにダメージジーンズにスニーカー」とか、「キャミソールやタンクトップにサンダル」といったような格好は避けた方がいいでしょう。
ジーンズの方は実はけっこういらっしゃいます。
その場合、男性ならジャケットを着ていたり、女性ならブラウスやカットソーなどを合わせ、あまりカジュアルになり過ぎないコーデにしているように見受けられます。
着物の場合
そして、意外なことに悩ましいのは着物の方。特に女性は何を着て行けばいいのか分からないと思います。
着物を着る方ならご存知かと思いますが、着物には「格」があります。
「歌舞伎座には着物を着て行きたいけれど、訪問着は持っていないし、、。」
確かに悩みますね。
訪問着の方多いんです。
ほとんどはご贔屓さん、後援会の方ですが、それにならって訪問着や付け下げなどの格の高い着物の方を多く見られます。
着付け教室や着物関連書籍にはよく付け下げや色無地が推奨されていますが、そんなに格式高くする必要はないんですよね。
洋服ならけっこう普通なのに、なぜ着物となるとそんなに格をあげるのか不思議で仕方ありません。
ただ、実際のところ木綿や紬などの着物をほとんど見ません。
全く問題はありませんので、着て行きたいと思ったら着ていいと個人的には思います。
ただし半幅帯は避けた方がいいですね。ちゃんと名古屋帯でお太鼓にしてください。
おススメは小紋に名古屋帯。ほどよいきちんと感とヌケ感がでます。
八月納涼歌舞伎などには浴衣で行きたいところですが、花火に行くような浴衣は洋服でいうとTシャツにハーフパンツのようなもの。
浴衣で行くなら少し格の高い浴衣に衿をつけて、着物と同じような着こなしで。素足に下駄でなく足袋をはいて草履をあわせてください。
以上、なんとなく歌舞伎座に何十回と足を運んでいる私の印象ですが、
歌舞伎座のドレスコードは劇場側でなく、客側が勝手に決めていっているんですよね。
恐がらず、節度ある程度のものを着て行けばいいと思います。
私は現代劇も好きでよく行きますが、歌舞伎座ほど観客の服装に幅のある劇場もないですね。
銀座と言う立地も影響しているのかと思いますが、着物の方もいれば、ジーンズの方もいれば、結婚披露宴に着て行くようなゲストドレスの方も見られます。
ドレスコードは無いにしろ「格式高い」というイメージからこうなってしまんでしょうか。
「着物でないと」とか「スーツでないと」という噂だけが先行されてしまっている気がしてなりません。
あと、盲点ですが女性は特に髪型をあまり盛ると、後ろの席の方の観劇の妨げになるので注意してください。
歌舞伎座の特に一階席はあまり傾斜がないため、前の人との高低差がありません。
(一度日本髪を結ったお客さんを見かけたことありますが、後ろには座りたくないと思いましたw)
帽子はもちろん、NGです。
さあ、初めての歌舞伎座。何を着て行きますか?
「せっかくなら着物着て行きたいけれど、持っていない。着物選びが難しそう。」
という方。
ご安心ください。
そんな需要にこたえるレンタル着物ショップ、ちゃんとあります。
着物で行きたい!着物レンタル情報
地元で借りれるところがあればそこで借りて着つけてもらえばいいと思いますが、何を借りていいのか迷いどころ。
その点、銀座近辺のお店なら「歌舞伎座に着て行きたい」と伝えればふさわしい着物のアドバイスしてくれます。
ただし大抵事前に着物を選ぶ必要があるので、自分で選べない場合はお店に直接相談してください。
先にも述べた通り、着物と一言で言っても様々。
浅草などで派手なレンタル着物を着て若い方が闊歩している姿をよく見かけますが、あの着物はあくまでレンタルのための着物。
その違いがよくわからないという方はレンタルショップでしっかりお店に方に
「歌舞伎座に観劇に行く」と伝えてくださいね。
劇場近くでレンタルする場合の注意
気軽でよさそうと思いますが、以下の点は予約するときにしっかり確認してください。
- 着物の選び方
自分で着物も選ばなくてはなりません。実際のところ選んだ着物が合わせてみると思ったより似合わないことも。
着物が変われば帯も変わります。
ホームページなどで予約する形式がほとんどですが、事前に当日変更ができるのか、前もって合わせておいたほうがいいのかなど不安なところはすべて電話で確認しておきましょう。
- 小物
和服と洋服では下着から変わってきます。
足袋や草履、バッグなど借りられるものは借り、借りられないモノは事前に自分で持って行きましょう。
何を用意すればいいのかはお店に確認してください。
- 荷物
着物で大荷物を劇場まで持たなくてはなりません。どの程度の荷物になるのかは把握しておいたほうが安心です。
また劇場に着いたら大きな荷物は自席には持って行かないようにしてください。ただでさえ歌舞伎座の席は狭いです。足元に荷物を置くと通行の妨げになります。
歌舞伎座ではコインロッカーもありますが、さほど大きくないので入らないようであればフロントであずかってもらってください。
- 着物の返却時間
昼の部ならおそらく問題ありませんが、夜の部となると終演が21:00くらいになります。
お店の営業時間が過ぎる場合、翌日あらためて返却に来なければならない場合も。
(翌日別店舗に返却できるところもあるようですが)
そのあたりもお店のかたに相談してから借りてください。
- 汚れ防止
これは食事の際、万一こぼしても着物が汚れないようにするためのもの。
レンタルとはいえ、たしなみとして持っていた方が安心かと思います。
住所:中央区銀座3-3-14啓徳ビル3F
営業時間:9:00~18:00[返却最終時間 17:30] アクセス:
JR「有楽町」中央口から徒歩約4分
東京メトロ丸の内線「銀座駅」C8出口から徒歩30秒
東京メトロ銀座線「銀座駅」B4出口から徒歩約2分
東京メトロ有楽町線「銀座1丁目駅」8番出口から徒歩約3分
詳しくはこちら> 着物レンタルVASARA
住所:中央区銀座 8-3-10 トミタビル3F
営業時間:
月曜・水曜~金曜: 10:00~ 20:00
土曜・日曜・祝日: 10:00~ 18:00
定休日:火曜
詳しくはこちら> 着物レンタルあき
最後に「歌舞伎を観る」とは
江戸時代、芝居見物は江戸っ子の最大の娯楽でした。
そう、「観劇」でなく「芝居見物」と言っていた時代です。
劇場でなく「芝居小屋」と呼ばれたその空間は人々が飲みながら食べながら、ときには話ながらその空間を楽しんでいました。
いつからこんなに敷居が高くなってしまったのか、当然私にはわかりません。
ただ「ドレスコードがきびしそうだから」とか「着て行く服がないから」などといった理由で歌舞伎を観ることを諦めてしまうのであれば、いっそうのこと普段着のまま観に行くのもいいと個人的には思っています。
(そう言うと、この記事を書いた意味がまったくなくなってしまうのですが、、、。)
私ごときが言うべきではありませんが肩出しのパーティドレスのような服装で来場される方を見かけると、それこそ「場違いでは?」と思ってしまいます。
こうなると「何が正解なのか」がむずかしくなってきますよね。
もちろん正解はありません。
最後はご自身の判断でいいと思います。
「歌舞伎座で歌舞伎を観たい。」
その気持ちをぜひ優先させていただけたらと切に願います。
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