中秋の名月は旧歴の8月15日になるので毎年異なります。
ではこの日ってそもそも何の日なのでしょうか。
月を見る日?
間違いではないですね。
日本人として知っておきたい「中秋の名月」についての話です。
満月じゃない?中秋の名月とは
中秋の名月とは旧歴8月の十五夜です。
旧暦での秋にあたる7月・8月・9月の真ん中の月の十五夜、さらに空気が一番澄んで月が一年で一番キレイに見えることから「中秋の名月」とされました。
実は私、恥ずかしながら十五夜とはこの中秋の名月のことだけをさすと、実はけっこう最近まで思いこんでいたのです(恥)
十五夜は毎月あるんですよね。
新月を1日とし、15日目に向える満月のことを十五夜と呼ぶので、当然毎月めぐってきます。
中秋の名月の決め方
中秋の名月は旧暦の8月15日ですが、当然現在の暦とずれが生じてきます。
ではどうやってその年の中秋(旧暦8月15日)を決めるのかというと、、
「秋分の日(祝日としてではなく、天文学としての日付)以前の、一番近い新月の日を1日目(旧暦八月一日)として、15日目を中秋とする」
だそうです。(AstroArtsより)
そのため、中秋の名月は必ず十五夜になります。
十五夜と満月のずれ
「十五夜」というのは「新月の日を1日目としたときの15日目の夜」となります。
上記の図にしてもこの日は満月になるはずなのですが、天文学上はこのようにキレイになっているわけでなく、
新月から次の新月までは(新月の翌日を1日目として)約29.5日。新月から満月までは平均すると約14.8日となるそうです。
しかもきっちり午前0時に満月や新月になるわけでないので、その分ずれが当然生じてきます。
「1日の午後11時に新月」となると、十五夜は新月から14日後の(上記図では新月を1日目としているので15日目)15日となるのですが、満月は14.8日後の「16日午後6時ごろ」となり、つまりは16日が満月となるのです。
そのため、中秋の名月(十五夜)と満月は暦と天文学の誤差から多少ずれが生じるのですが、中秋の名月が三日月になるようなことはまずあり得ません。
肉眼ではほとんどわからないほど丸い月が望めるはずです。
ちなみに2019年の満月は9月14日。
十五夜の翌日です。
中秋の名月の歴史と楽しみ方
では中秋の名月ってそもそも月を愛でる日なのでしょうか?
その歴史と楽しみ方です。
中秋の名月の風習っていつからはじまったのでしょうか。
中秋の名月の歴史
元々中国で、この日月を観賞する風習が日本に伝わったとされています。奈良・平安時代ころは貴族の間で「月見の宴」が開催され、和歌を読んだり、管弦を奏でたりして楽しんでいました。
江戸時代に庶民に広まると、月を眺めながら五穀豊穣を祝う行事となりました。
なので、中秋の名月は月を愛でる日でもあり、秋の豊作を祝う日でもあるのです。
「芋名月」と呼ばれることもあるのは十五夜に秋の収穫物である里芋を供えていた名残りです。
中秋の名月のお供え
昔、農業と月の満ち欠けは密接に関係していました。
特に満月は豊作の象徴とし、秋の収穫の感謝の気持ちをこめ、芋や豆などを月に供えたと言います。
中秋の名月には本来実った稲をお供えしたいところがまだ収穫前のため、すすきを稲穂に見立てて十五夜の月にお供えしました。
すすきは昔から「魔除け」効果があると信じられていて、悪霊がもたらす災害によって農作物を荒らされるのを防いでくれるとされていました。
そのため、中秋の名月のすすきは魔除けの意味もあるのです。
また、定番の団子は月見団子と言われる通り、満月を表現していると言われています。
家族でお団子作って月見をしよう
月見のお供えは
- すすき
- お団子
- 芋類
- 栗、果物などの秋の収穫物
- お酒
飾る場所はあれば床の間。
月からみて左側に自然界のもの(ススキや野菜)、右側に人工のもの(月見だんご)を供えるのが基本とされています。
お月見が終わったらいただきます。
体内にとりいれることによって健康が得られるそうです。
すすきは災害除の願いをこめて田や畑、庭に立てておく地域もあるそうです。
せっかくなので、ちょっと庭先に飾っておいてもいいかもしれませんね。
月見だんごの飾り方
十五夜では15個。十三夜では13個とされています。
また、1年の満月の数12個としている地域もあるようです。
月見だんごを乗せる台座を「三方(さんぽう)」と言います。
ヒノキのものが一般的ですが、最近では簡単に組み立てる紙製のものもあるようです。
その台に
1段目 3×3=9個
2段目 2×2=4個
3段目 2個
飾ります。(下図参照)
月見だんごはけっこう簡単に作れるので、子どもと一緒につくるのもいいですね。
中秋の名月はけっして派手なお祝い行事ではありませんが、ちょっと家族で楽しむ方法を考えてもいいと思います。
ぜひ芋など秋の味覚を楽しんでください。
9月も残暑が厳しい昨今の気候ですが、9月になると多少秋の気配も感じられます。
秋の長夜、ちょっと家族や友人で月を眺めながら日本の歳時を楽しんでみるのもいいですね。
ちなみに十五夜のみの月見は「片見月」といって縁起が悪いそうなので、十三夜の月も忘れずに。
また、2023年の中秋の名月は9月29日。
残暑厳しい2023年9月ですが、秋の気配も感じるこの頃。
ちょっと空を見上げてみてはどうでしょうか。
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