江戸前そばとは?歴史と老舗紹介

江戸前そばとは?歴史と老舗紹介

江戸時代の江戸は屋台でちょっと小腹を満たす文化でした。

屋台で特に人気だったのが「天ぷら」「そば」「寿司」「鰻」。
これを「江戸前四天王」と呼ばれていました。

特にそばは江戸っ子の大の好物だったとのこと。

今も根強い人気の江戸のそば文化のルーツと老舗のご紹介です。

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江戸そばとは

江戸そばというと、かつおだしと濃口醤油で作られた真っ黒いそばつゆが定番。
西日本の方にはこの真っ黒い汁が苦手という話もよく聞きますが、江戸っ子はこのつゆが大好き。

ですがそもそも昔は味噌と大根汁をといたものにそばをつけて食べていたそう。

江戸でそば人気が出たのも醤油ベースになってからと言います。

せいろは今やゆで上げてから冷水でキリっと締めるのが当たり前ですが、昔は麺のコシがいまほどしっかりしてなく、切れやすかったためあまり水で締めることもできず、温かさが多少残るものだったそうです。

いずれにしても今の形状となり、かつおだしの効いた醤油のつゆができてから江戸そばは人気が出たと言っていいでしょう。

江戸そばの歴史

そもそもそばの歴史は古く、日本では縄文時代からそばの栽培が行われていたと言われています。

ただ、今のようなそばの形状になったのは江戸後期。
それまでは「そばがき」というそば粉を煉ったものです。

それまでは麺といえばうどんが主流でした。

やがて小麦をつなぎとして二八で煉ることを始め、そばがきは「そば切り」と呼ばれる麺状の現状のそばの形状となりました。

この形状になってからはそばは江戸で特に人気となりました。
そば屋ができ始めたのは江戸幕府ができてから60年以上たってから。
ただ、それからもしばらくうどん文化のほうが優勢でした。

二八そばができてからというもの、そば人気は高まり、そば屋の数が増えたのは1700年半ばとされています。
このころ関東特有の醤油が出回り、醤油ベースのつゆとそばの相性が江戸っ子の好みだったこと、さっとゆでて食べられるため気の短い江戸っ子の気質に合ったことなどからそばは江戸っ子にとって欠かせない食となりました。

江戸末期の江戸の人口は100万人ほど。対しそば屋の数は3,700もあったと言います。

ちなみに江戸のそば屋第一号は日本橋「信濃屋」というそば屋。
「けんどんそば」という、茶懐石の締めにだされていたそばからきているものです。

その後ぶっかけそばがこの信濃屋から作り出され、やがて今のかけそばとなりました。

そば文化は江戸っ子のライフスタイルとよく合い、そばが茹であがるまで待てない気の短い江戸っ子はその間一杯飲むことが多くなりました。

つまり江戸のそば屋は居酒屋の走り。
ただし江戸っ子は長居はせずに酒をちょっとのみ、そばをすすってさっと帰るというのが定番。

せっかちな江戸っ子の生活にはそばはうってつけの食でした。

夜鷹そばと風鈴そば

江戸時代、そば文化が定着すると夜経営する屋台そば屋も多く出てきます。
夜な夜な屋台を担ぎ売り歩く江戸では「夜鷹(よたか)そば」と呼ばれていました。

夜鷹とは吉原とは異なり、幕府非公認で客引きをしていた娼婦のことです。

娼婦対象にそばは売れ、さらに江戸は男性の一人暮らしも多かったためそば屋はありがたい存在でした。

ただ、度々この屋台が火事を起こすため、一時は幕府から禁止令がでますが、江戸っ子のそば好きには効かずに大繁盛だったと言います。

さらに屋台に風鈴をつけてそばを売り歩いたのが「風鈴そば」。
安いかけそば夜鷹そばの一方、風鈴蕎麦は少し高めだったようです。

屋台は「屋體見世(やたいみせ)」と呼ばれ、江戸の町ではすっかり定着。
やがて天ぷら屋や寿司屋、鰻屋なども出てきました。

江戸前御三家美味しい食べ方

江戸時代に普及したそばを「江戸前御三家」と呼ばれています。
江戸御三家は以下です。

  • 更科蕎麦
  • 砂場蕎麦
  • 藪蕎麦

長野がルーツの更科蕎麦はご存じの通り、白いそばです。これはそばの実の黒っぽいところがほとんど含まれていないため。
そば特有の香り・風味は少なくコシもあまりないのが特徴です。

砂場そばは大阪発祥のそば。
しかし歴史は御三家の中で一番古いと言われています。

藪そばは少し緑っぽくつゆは辛め。

二番粉・三番粉のそば粉を使うため風味の強く感じられます。
江戸のそば好きは麺全部をつゆに浸さないなんてこと、耳にしたことあるかと思いますが、それば香り豊かな藪蕎麦が由来とされています。

一般的に濃い辛めの汁に合わせます。

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江戸そばならココ老舗名店

これだけ飲食店が増えた昨今でも東京にはそば屋が本当に多いのです。
一度は行きたい老舗そば屋6選。

かんだやぶそば

神田にいかにも老舗らしい店構えの「かんだやぶそば」。
創業は明治13年、1880年です。

外一(そといち)というそば粉10に対しつなぎ1の麺。
9:1ではなく10:1の配合なので外一と言われます。

せいろそば825円。
季節限定メニューも人気です。

住所:東京都千代田区神田淡路町2-10
電話:03-3251-0287
営業:11:30~21:00
定休日:
アクセス:JR神田駅又は秋葉原駅 徒歩6分
東京メトロ神田駅又は淡路町駅徒歩3分

神田まつや

神田まつや

出典:食べログ

東京でも特に有名なそば屋のひとつ、神田まつや。
いつも行列が絶えません。

江戸そばらしいそばといってもいいかもしれません。
コシが強く、のど越しのよいそばはリピーターも多く、長年多くの江戸っ子の舌を楽しませています。

手打ちそばならではの風味が味わえるかけそばやせいろそばもおススメです。

住所:東京都千代田区神田須田町1-13
電話:03-3251-1556
営業:月~金11:00~20:00
                  土・祝11:00~19:30
定休日:
アクセス:東京メトロ丸ノ内線淡路町駅徒歩2分
都営地下鉄新宿線小川町駅徒歩3分
東京メトロ銀座線神田駅徒歩4分
JR中央線神田駅徒歩7分

砂場総本家(南千住砂場)

1848年創業。
砂場そばは元々は大阪ですが江戸以来東京には「砂場」は、ふたつの系統が伝えられました。
砂場総本家はそのうちの一つ。

下町に馴染むたたずまいで、店舗は築1954年の荒川区の文化財に指定されている古民家。遠方からもこの本場の味を求めてお客さんが足を運ぶと言います。

まさに砂場そば代表といってもいいかもしれません。

都電荒川線の三ノ輪橋駅からが便利です。

住所:東京都荒川区南千住1-27-6
電話:03-3891-5408
営業:10:30~20:00
定休日:
アクセス:都電荒川線の三ノ輪橋駅徒歩約2分

室町砂場 日本橋本店

明治2年、1869年創業。南千住砂場から暖簾分けという形で開業、今日にいたります。
天ざる・天もり発祥のお店。

ちょっと路地に入った老舗そば屋らしい店舗で昔ながらのそばを楽しみたくなります。

麺はそばの芯だけを挽いて玉子でつないだコシの強さが特徴。

もりそばは温かいつけ汁には芝海老と小柱のかき揚げがそばによく合います。

住所:東京都中央区日本橋室町4-1-13 砂場ビル
電話:03-3241-4038
営業:月~金:11:30~21:00 土:11:30~16:00
定休日:日・祝
アクセス:JR山手線・中央線神田駅 徒歩3分
JR総武快速線新日本橋駅 徒歩3分
地下鉄銀座線三越前駅 徒歩3分

やぶ久

創業明治35年(1902年)。
日本橋に店舗を構えます。

外二そばという、そば粉10に対しつなぎの小麦を2加え、初代より足ふみ製法にこだわったそばはコシが強く、そば通にも定評のある麺です。

北海道産の最高級そば粉を使った「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のそばとこだわりつくしたつゆ。
まさにこれぞ江戸前と呼べるそばです。

住所:東京都中央区日本橋2-1-19
電話:03-3271-0829
営業:
月曜日~金曜日 11:00~16:00 17:00~23:00
土曜日 11:00~16:00 17:00~21:30
定休日:日・祝
アクセス:JR他各線「東京駅」八重洲北口徒歩5分
東京メトロ他各線「日本橋駅」B7出口徒歩2分

並木藪蕎麦

神田藪蕎麦から暖簾分けした並木藪蕎麦。
大正2年1913年創業。浅草で一番?行列のできる店といっても過言ではありません。

浅草には人気のそば屋が多くありますが、ここもなかなかすんなりと入店できないことで有名。
開店前から並ぶとか。

そばはコシが強く、辛めのつゆにそばの先だけ浸してすするのがお店おススメの食べ方。
天ざる蕎麦が特に人気。

カラっとした天ぷらはそばとの相性がよく、大人気です。

住所:東京都台東区雷門2-11-9
電話:03-3841-1340
営業:11:00~19:30
定休日:木曜日 / 第二水曜日
アクセス:
都営地下鉄浅草線・東京メトロ銀座線のA4&A5出口徒歩1分
東武伊勢崎線浅草駅徒歩5分

関西の方もぜひ一度は食べていただきたい江戸前そばをご紹介しました。
西と東とではそば湯を後にいただく是非論争もあるようですが、うまいそば湯はうまいそばをゆでている証拠。しかもそばの栄養余すことなくいただけるので、ぜひこちらも試してもらえると嬉しいです。

ちなみにそば粉8割以上のそばからでないとそば湯はとれません。

そば湯の美味しさも店のおいしさのバロメータのひとつといってもいいでしょう。
ぜひご賞味ください。

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