浴衣を夏祭りや花火大会だけに着て行くなんてもったいない!
せっかく迷って迷って選んだ浴衣。
ちょっとした着方次第でもっともっと楽しめます。
夏ならではのお洒落を楽しんじゃいましょう。
浴衣が楽しめる時期
浴衣を花火大会にしか着て出かけたことがないという方は7月~8月が浴衣の時期というイメージがあるかもしれませんが、東京なら実は浅草三社祭が終わった時期、つまり5月半ば以降から浴衣解禁とされています。
さすがに5月で絽や紗といった透け感のある浴衣ならちょっと早い感じがしますが、普通の綿の浴衣(一般的に綿コーマと呼ばれています)ならもう5月半ばから楽しめるんです。
ちなみにいつまで着れるかというと、大体9月第二週くらいまで。
中には8月いっぱいで終わりという方もいますが、最近は暑さも長引き、9月くらいまで浴衣イベントを行うところもあるくらいなので、9月半ばくらいなら全然問題ありません。
浴衣を着て行ける場所
浴衣は洋服でいえば、Tシャツにデニムのようなもの。
和服の中でも特にカジュアルなものです。
「浴衣」という漢字が示す通り、お風呂上がりに着た寝巻でした。
しかし時代と共に浴衣もおしゃれ着として染め・織りやデザインもこだわりがでてきました。
これは近年に始まったことでなく、江戸時代の江戸では夏場浴衣を1日3回着替えたと言います。
「天保の改革」で絹が着られなくなった江戸町民。なんとか綿の浴衣ですこしでもおしゃれを楽しもうとします。
そんな浴衣。
今もおしゃれ着として人気のある浴衣。
浴衣の種類によって「格」も変わるので着て行ける場所も変わってきます。
ワンランクアップの浴衣の着方
最近は夏のおしゃれ着として人気の浴衣ですが、所詮カジュアル着。
花火大会のような着付けだと、ちょっと場違いになるところもあります。
普通のコーマ浴衣でもちょっと着方を変えるだけでお祭り仕様とはちょっと違うきちんと感がでます。
女子会やショッピングに、もっと幅広くワンランクアップの着こなしポイントをご紹介します。
まずはコーデ関係なく基本的な浴衣の種類とお出かけできる範囲を把握しておいてください。
1.綿コーマ
一般的な浴衣です。
コーマとは高度に洗練された木綿糸を指し、この糸で平織りした反物で作られた浴衣を一般的に綿コーマと呼びます。
綿素材でよく百貨店などで販売されているものです。ただし、手染めされているものとプリントのものがあります。
デザイン・カラーも豊富で、プレタと呼ばれる出来合いの浴衣のほとんどはこの綿コーマになります。
2.綿紬(めんつむぎ)
先染めの木綿糸で織られた反物で作られた浴衣です。
紬は特有の節があり、表面に少々凹凸があります。
それにより少し厚手。そのため、さらりとしたコーマ浴衣と比べるとしっとりとした着物に近い風合いがあります。
3.綿絽(めんろ)
透け感のある浴衣。
盛夏に着たい浴衣の中で一番風通しがよく、涼しいと言われる浴衣です。
4.綿麻(めんあさ)
綿の糸に麻糸を混ぜて織った反物で作られた浴衣。
ちょっとシャリ感がでてすっきり感のある浴衣です。
さらりとしているので、着心地も良いのが特徴。
5.綿縮(めんちぢみ)
綿糸に撚(よ)りをかけシャリ感のある風合いに織り上げた木綿生地で作られた浴衣。
しぼと言われる布に独特の波形の凹凸があります。
その風合いからしわもあまり気にならないのも嬉しいですね。
6.奥州紬(おうしゅうちぢみ)
なんとも渋い色合いの奥州縮の浴衣。
江戸の頃よりこの染め方は現在まで伝わっています。
まさに大人の浴衣ですが、高級であり、格も高いのでお出かけにはもってこい。
ただしちょっと着こなしは難しく、顔映りなど似合う・似合わないがはっきりでます。
デザインが素敵だからとすぐに選ばず、実際当ててみて自分の顔映りをしっかりチェックしてください。
7.綿紅梅(めんこうばい)
浴衣でも特に格が高く、高級浴衣と呼ばれる綿紅梅。
太さの異なる糸で織りあげ、表面に格子状の凹凸を出しています。
その凹凸の勾配が「紅梅」になったとも言われています。
絹紅梅となるともう夏着物の部類に入ってきます。
一般的に1から7に向けて格が上がります。
格が上がると言うことは、よそゆき着として適しているということです。
1~2はカジュアル浴衣。
花火大会やお祭りなどに適した普段着感覚で着る浴衣です。
3~4なら着こなし次第でちょっとしたレストランなどに着て行けます。
5~7はむしろよそゆきとして着るべき浴衣。
美術館やデパート、ホテルのラウンジなどもOK。
ただし半衿と足袋はお忘れなく。
ワンランクアップの浴衣の着方
お祭りの時の浴衣の着方では、街中を歩くだけならいいですがレストランでお食事とかデパートで買い物などにはちょっと場違い。
もう少しきちんと感を出せば、特別格の高い浴衣でなくてもある程度よそゆき感がでます。
カジュアル浴衣は思い切りカジュアルに楽しむことをおススメしますが、絞りや綿麻、綿縮みなら結構着方次第でよそゆきになります。
よそゆき浴衣の着方のポイントは以下の3点
・帯は名古屋帯でお太鼓にしめる
・足袋を履く
・半衿をつける
つまりは着物の着方ですね。
ひとつずつみていきます。
用意するもの
【帯】
博多帯や夏向きの名古屋帯。
博多帯は浴衣と相性よく、夏っぽくかつきちんと感がでます。
豪華な帯は浴衣には合いません。
名古屋帯なんて高くて買えない!という方はリユーズの呉服店などを利用してみては。
結構安価なものも見つかります。
【足袋】
足袋はできれば白。
下駄は基本裸足ですが、帯をお太鼓にしめるときは足袋を履いてください。
【半衿】
最近は長襦袢を着なくても衿がつけらえるものがあります。
長襦袢を着るなら麻素材がおススメ。
衿も取り付けられるなら麻地に刺しゅう入りなど涼しげなものを。
白や淡い色の無地のほうが夏はすっきりみえ、さらにきちんと感がでます。
【帯締め・帯どめ】
浴衣はすっきり見せるため、帯締めは三部紐という細めの帯締めで涼しげなガラスなどの帯どめがおススメです。
【篭バッグ】
普段使いのバッグでなく、浴衣には篭バッグのほうが断然着こなし感がアップします。
モノによっては少々高いものもありますが、一つ持っておくと何かと重宝します。
きちんと感を出すコツ
お出かけ用に浴衣を着るならいつもとはちょっと違う着付け、小物選びを。
【丈】
浴衣は着物より丈を短めにするのが普通ですが、足袋を履く場合はかかとが隠れるくらい。
床にぎりぎりつかないくらいがベストです。
【帯周り】
名古屋帯に三分紐、帯どめの他、寝付けと呼ばれる帯につけるアクセサリーがあります。
そんなものでちょっとしたアクセントをつけてもいいですね。
【衣紋】
浴衣は若干多めに衿を抜きますが、きちんと感をだすなら少し控えめに。
こぶし1個分くらいが目安です。
小物を選ぶ
その他ぜひこだわりたいのが小物です。
浴衣の場合特に履き物で大きく印象が変わります。
普段の浴衣用の下駄より舟形と呼ばれる草履と同じ形のものがおススメ。
素材は塗りやシコロと呼ばれるものが格が高いとされています。
よそゆき浴衣なら草履でも。
髪をアップするときはシンプルなかんざしなどでアクセントをつけるとさらに女っぷりがあがりますよ。
また、扇子や日傘など浴衣に合うデザインのものを選ぶとさらにきちんと感がでますね。
大人女子が一枚持っておきたいよそゆき浴衣
よそゆき浴衣は基本お誂えです。つまり、反物で購入し、自分のサイズにあわせて仕立ててもらうということ。
もちろん、職人が一点一点手染めしているのでそれなりの値段はしますが、プレタの浴衣と違って流行もないうえ、着て行くうちに風合いも変わってくるので飽きません。
今年の夏は久しぶりに浴衣でも着ようと若いころに買った浴衣を引っ張り出して着てみたらなんとなく浴衣が浮く?
そんな声は良く聞きます。
浴衣なんて毎年買い替えるわけにはいきませんよね。
ずっと着られるよそゆき浴衣、一枚作ってみては。
浴衣でお出かけする場所の幅がぐっと広がりますよ。
コメント