日本の銅器生産高の90%以上のシェアをしめているという富山県の高岡銅器。
仏具はじめ花器などの小物からお寺の鐘まで幅広く作られています。
「自分にはあまり馴染ない」
と思ったあなた。
ちょっと待ってください。
実は今この技術を活かした、生活を彩るアイテムが色々作らているんです。
高岡銅器とは
高岡銅器とは富山県高岡市で作られている銅器で、寺院の鐘・各所に設置されている銅像、花器や香炉、仏具にいたるめで様々なアイテムが生産されています。
日本全国の銅器のシェア90%以上というから、高岡銅器以外のものを探すほうがレアかもしれませんね。
昔からある小学校にはよく設置されていた二宮金次郎像も高岡銅器だそうです。
近年さらに人気の観光地、浅草の浅草寺。
「小舟町(こぶなちょう)」の大提灯の両脇の黒提灯は実は銅製。
高岡銅器です。
美術品も多く作られていて、世界でも人気を博しています。
歴史
加賀藩藩主の前田利長が高岡城入城後に高岡の発展のために鋳物の発祥地大阪から7名の鋳造師を迎え入れたことに始まります。
そこに鋳物工場を開設しました。
鋳物とは型に溶かした金属を流し込み、冷やして固めて成形するもの。
亜や錫(すず)などを混ぜた銅合金が使われています。
やがて「唐金鋳物(からかねいもの)」と呼ばれる彫金や着色や象嵌などの技術が発展し、花器や仏具など美術品のような気品ある製品が作られるようになりました。
それらは明治時代に出品したウィーン万国博覧会やパリ万国博覧会では大好評。
高岡銅器は国内外で知名度が大幅にアップ。不動のものとしました。
1975年経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されました。
高岡銅器の魅力
高岡銅器は熟練の職人の加工技術により、表現の豊かさ・色合いの魅力が発展につながりました。
鋳物に彫金をした「唐金鋳物(からかねいもの)」は高岡銅器が生み出した技術です。
そのほか表面を削り、別の金属をはめ込む象嵌も多彩な表現を施すなど、他の産地にはない表現法を試みています。
高岡銅器は最終工程の着色によって独特の風合いになります。
しかもその深みのある光沢は経年によりさらに深みを増し、魅力的になります。
高岡銅器の着色は銅の持つ美しい色を引き出す独特の手法です。
漆なども使われています。
「サビを鑑賞する工芸」と呼ばれる銅器。
高岡銅器のその風合いはまさにそれに称する工芸品と言えるでしょう。
高岡銅器の技術は鉄やアルミ・錫・金・銀といった様々な金属で製造可能となり、作られるものは手のひらにのる小物から大きな大仏まで大小問わない製品を作り出すことができるようになりました。
能作(のうさく)
「能作」という製造元の名がもし知らなくても、ここの製品は一度は見たことがあるのではないでしょうか。
素材は錫ですが高岡銅器の製造技術で作られています。
形を自由に買えられる器やカトラリーレスト、スタイリッシュなデザインが現代の生活様式に良く似合います。
すでにブランディングされていますが、じつは高岡銅器の製品と知る方は少ないのではないでしょうか。
一部百貨店や工芸品などを取り扱う雑貨店、富山県のアンテナショップなどで購入できます。
喜泉 KISEN
400年の高岡銅器の歴史を継承する四津川製作所のブランド、喜泉 KISEN。木材やガラスと合わせた酒器やカップはじめ、器、箸置き、花瓶などのラインアップ。
高い技術のもと製造された製品はクオリティ的にも確かなものです。
普段の食卓に彩を添えてくれること間違いなしです。
日本酒人気沸騰中の海外の方への贈り物としても喜ばれそうです。
小泉製作所
仏具の「おりん」という音を出す金属製品の製造を技術を活かし、生活に癒しの音を提供する製品を作り続けている小泉製作所。インテリアとしても惹かれるフォルムとそのこだわりの「快音」アイテム多数。
棒で叩くと澄んだ音の余韻とともにゆらゆら揺れる「たまゆらりん」はグッドデザイン賞も受賞。
おりんの音に特化したアイテム中心にスタイリッシュなデザインの銅器を展開しています。
小泉製作所の公式サイトでは各アイテムがどんな音を奏でるのか視聴できます。
購入の際の参考にしてみてください。
小泉製作所の商品はこちらから >
高岡銅器の製造工程
高岡銅器はどのような工程でできるのでしょうか。
高岡銅器は完全分業制です。
【原型】
木材・石膏・粘土や樹脂などで原型を作ります。
この原型から鋳型を作ります。
【鋳造】
1200℃ほどに熱し、銅合金を溶かします。これにより金属の純度を高めます。これを「精錬」といいます。
液体状になった銅合金を鋳型に流し込みます。
冷えると固まるので、そこから鋳型をはずし、成形された銅器を取り出します。
【彫金・着色】
鋳型からはずした銅器を磨き、ここから高岡銅器の真骨頂、彫金が施されます。
タガネで金属の表面に模様を彫り込んだり、別の金属をはめ込む装飾技法「切嵌め象嵌」など、彫金方法は数々あります。
鋳物に彫金をした「唐金鋳物(からかねいもの)」は高岡銅器が始まりです。
天然発色材料や薬品を使い、少し錆びた感じをだすなどの着色が行われます。
高岡銅器の伝統工芸の基準として
着色剤に用いる漆は、天然漆とすること。
とされています。
一度は必ず見たことがあるはずの高岡銅器ですが、それと認識している方は意外と少ないかもしれません。
まずは身近なテーブルウェアから使ってみては。
その魅力がわかるはずです。
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