着物クリーニング料金の相場と頼み方

着物クリーニング料金の相場と頼み方

着物を着始めた方にまずぶち当たるのが着物のメンテナンス。

「普段の手入れをしていたら、クリーニングに出さなくてもいいの?」
「それともシーズンごとにちゃんとクリーニングに出したほうがいいの?」
「高そうだけど料金はどのくらい?」

などなど、着物のクリーニングって「いつ・どこに」出せばいいのか分からないと言う方のために、着物クリーニングについてのお話です。

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着物をクリーニングに出すタイミング

洋服は自宅で洗えないモノも、シーズンオフにはクリーニングに出しますよね。
では着物の場合はどうなんでしょうか。

結果としては毎シーズンクリーニングに出す必要はありません。
ですが、それは以下の条件を満たしたときです。

【クリーニングに出さなくてもいい場合】
・汗をかいていない
・衿や袖、裾などに汚れがない
・食べこぼしや泥のハネシミなどがない
・着た後の手入れをしている
・雨などに濡れていない

一つでもチェックがはずれる項目があれば一度専門店に相談してください。

汚れは洋服と同じく時間がたつと落ちにくくなります。
また、今気づかない程度でも時間とともに浮き出てくる場合もあります。

「出先で雨に降られてしまいました。」
「気温の高い日に着てかなり汗かいちゃいました。」

など、少しでも不安に思うことがあったらちゃんと伝えましょう。

着物の洗いの種類

一言で着物のクリーニングといっても、洗いの種類は様々です。
汚れ種類や範囲などによって異なりますので、依頼するときはまずは相談したほうがいいと思います。

丸洗い・生洗い(きあらい)

その名の通り、着物をまるっと専門の洗濯機と揮発性溶剤で洗います。
手洗いする京洗いもあります。

どちらにしても一般的な皮脂・ファンデーション・油シミなどの汚れを落とします

部分洗い・シミ抜き

食事の時の汚れ・水分を含んだ汚れ・汗・体液・カビなどは丸洗いでは落ちません。
この場合は部分的に処理が必要です。

洗い張り(あらいばり)

昔からある着物の洗い方で、一旦すべて縫い合わせをほどき反物にしてから水洗いし、そのあとまた仕立て直します。
親から子に譲るときなど、古い着物はシミや匂いが染みついていたりします。

その場合に生地をキレイにし、サイズを直して仕立て直すというわけです。

汗抜き

単(ひとえ)や薄物、さらに気温が高くなった時期に着た袷の着物は結構汗を吸っています。
丸洗いは言ってみればドライクリーニングなので汗の汚れは落ちません
汗は水溶性なので、水でしか落とせないんですね。

汗かいたなと思ったら、丸洗いに追加して「汗抜きしてください。」とオーダーします。

丸洗い料金に追加料金が発生しますが、汗は時間経過とともに生地が変色してしまうため、きちんと処置しておくことをおススメします

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着物のクリーニング気になる料金の相場

取扱店によって驚くほど料金に幅があります。

着物の種別は店舗によって異なりますのであくまでご参考まで。

丸洗い料金

▼こんなときに依頼
・何度か着ているとき
・少しシミや汚れが気になるとき

小紋・無地・紬2,000円~9,000円
訪問着・付け下げ・留袖3,000円~12,000円
振袖4,000円~13,000円
単・薄物2,000円~7,000円

シミ抜き

▼こんなときに依頼
部分的なシミ・汚れが気になるとき

衿の汚れ平均5,000円前後
シミ(3センチ範囲1カ所)500円~

他 汚れ具合や汚れ成分により別見積もりとなる場合が多いですね。
クリーニングに出したときには気づかなかったシミを職人さんが見つけてくれて、シミ抜きするかどうか、店を通して確認される場合もあります。

汗抜き

▼こんなときに依頼
・着ていた時に汗をかなりかいたとき
・一度でも汗ジミを作った時
・夏物をしまう時

3,000円~7,000円

着物の種類というより範囲によって料金が変わる場合が多いです。
中には丸洗いとセット料金が組まれていて、丸洗いと一緒に頼むと多少割安になる場合もあります。

撥水加工

▼こんなときに依頼
・度々洗いに出したくない
・汚れが目立つ色の着物
・雨の時も着る場合がある

小紋・無地・紬7,000円~8,000円
訪問着・付け下げ・留袖7,000円~12,000円
振袖8,000円~12,000円

風合いを残したまま、水や油汚れ防止になります。
絹は水に弱いので、突然の雨など本当に困ります。

一度加工しておくと、後に洗っても効果はある程度持続するので、やっておくと結果リーズナブルになる場合も。

依頼先にもよりますが、一般的に袷の着物をクリーニングに出そうとすると平均で7,000円くらいはかかる印象です。
洋服に比べるとどうしても高くなります。

また、一度ほどいて反物を洗ってから仕立て直す「洗い張り」は、洗いと仕立て別料金になっている場合と、すべて込みになっている場合があるので依頼する店舗に確認してください。
洗い張りは古くなった着物の胴裏を変えたい、匂いが気になる場合、または丸洗いに不向きな着物の場合に依頼します。

少しでも安くしたいという気持ちは分かりますが、大切な着物。
安心できるところにお願いしたいですよね。

ではその料金の違いとは何の違いなのでしょうか?

料金の違いは何の違い?

安い=悪いというわけではありません。
着物の丸洗いは国家資格を取得が必要ですが、その工程は店舗によって異なります。

一般的には

1.下洗い
着物の生地や織りにより色落ちしないかのテストや、袖や衿などの汚れやすいところを手洗いします。

2.ドライクリーニング
石油系溶剤でドラム式洗濯機で洗います。

3.乾燥
着物の乾燥に適した状態で、溶剤が完全に飛ぶまで乾燥させます。

4.仕上げ
しわをとるためにアイロンがけをし、畳んだ後たとう紙に包装します。

ざっくりとした流れになりますが、料金の違いは主に以下になります。

・下洗いをするかしないか
・ドライクリーニングをまとめてやるか
・洗う業者が自社か外注か

安いところは概ね下洗いなしである程度の枚数、一度にまとめてドライクリーニングをするため。
専門店に出すならそのあたりをきちんと確認してください。

また、受付するお店からクリーニング専門業者に委託する場合はその分のマージンも当然料金に上乗せされています。

ただ、着物文化がこれだけ衰退の一途を行く昨今、着物のクリーニング専門業者を探すのも大変です。
そこは割りきったほうがいいと個人的には思います。

結局着物のクリーニングはどこに出すのが安心?

着物のクリーニングはどこに出すのが安心?

できるだけ料金は抑えたいけれど、仕上がりが納得できなかったりするかもしれないとなると、下洗いもしてくれるようなしっかりしたところに頼みたいと思いますね。
料金が高ければ技術が良いと言う訳ではありませんが、安いところよりしっかりしていると思います。

ネットで検索すれば送ればキレイにしてくれるところも多くありますが、できるかぎり持ち込みできるところを探しましょう。

理由は依頼時にある程度のシミや汚れを確認できるから。

「何回くらい着ました。」
「一度雨に降られてしまいました。」
「なんとなくココが気になる。」
「すごい汗かいて、そのとき汗ジミできてしまった。」

など、こちらから情報を伝えればその場で

「衿がちょっと汚れていますね。」
「裾に泥ハネがありますね。」
「汗シミができたなら汗抜きもしたほうがいいですね。」

とある程度の指摘やアドバイスをくれます。

当然専門の職人さんから「ここも汚れてるけどどうする?」などと追加の手入れをどうするかの確認がくる場合もありますが、、、。

知り合いに着物に詳しい方がいらっしゃればどこに依頼しているのか聞いてみるといいですね。

着物クリーニング失敗あるある

これは私も経験していて、ネットなどにも多く体験談があがっている話です。

丸洗い料金として支払って着物が戻ってきたら、汚れが残っている。
問合わせしてみると、それは丸洗いでは落ちない汚れだからということ。

シミ抜きするには追加で○○円かかります。
と、さらに要求されることも。ネットで検索したところになるとさらに再送料金がかかります。

実はこれは着物クリーニングではよくあることです。
(大抵の場合は丸洗いする前に「シミが見つかったけれどどうするか」という確認の連絡がくるのですが)

結局のところすべてキレイにしたら追加料金と送料でかなりの金額になってしまったという話は良く聞きます。

実は最近私も、、。

私は普段、着物の丸洗いをお願いするときは近くの呉服屋さんに持っていきます。
割りと良心的な料金設定なのと、その呉服屋さんが昔ながらの付き合いのあるクリーニング業者さんに発注しているということで、安心感があるため。

探せばもっと安いところもありますが、気になる部分の汚れなども丸洗い料金にすべて含んでくれたり、丸洗いのつもりで持って行ったら「この状態なら部分洗いだけで十分」とアドバイスくれたり。
とても良心的に対応してくださるので、私としては駆け込み寺のような存在の呉服屋さんです。

ですが先日一枚、シミや汚れが気にならないけれど、一度雨に降られてしまった着物をもっと安いところに出したのです。
撥水加工もしたかったので、丸洗い料金を少しでも安くしたかったためです。

依頼時に「シミが見つかった場合は別途見積もり」とは聞いていましたが、店頭で確認したときには特に汚れなどは見つからなかったため、多分追加はないだろうと思っていました。

ところがです。
後日「衿に汚れが見つかってこの処理に追加で5,000円かかりますがどうしますか?」
と電話がきました。

衿の汚れなんて油性の汚れなんだから丸洗いで落ちるのでは?と言ったのですが「丸洗いでは落ちません。」と言われ、渋々追加でお願いすることに。

安いところに依頼したはずが、洗いだけでトータルでかなりの額になってしまいました。

普段の呉服屋さんに頼んだところで、すべて追加料金がとられないということではありません。
ですが、安いところは下洗いをしないので、やはり衿汚れなどは別料金になってしまうんだな、と後悔しました。
(撥水加工が安い分、結局はトントンなのかもしれませんが)

着物の追加料金は十分注意です。
また、衿や袖、裾は最低限自分でもチェックしてからクリーニングにだすことにしてください。

洗いに出すか迷ったらどうする?

「近くに呉服屋さんがない」
「ネットサービスだとちょっと不安」
「洗いに出すべきかどうか判断できない。」

着物を着始めるとまずわからないことだらけですね。

まず、実際足を運べる場所に「悉皆屋(しっかいや」があるかどうか調べてみてください。

悉皆屋とはいわば着物のプロデューサー。
洗いやメンテナンスやコーディネートなどの着物にまつわるあらゆることの相談にのってくれ、業者の仲介もしてくれます。
悉皆屋で洗いを行いますし、最近では着物の販売なども行っているところもあるようです。

悉皆屋さんでクリーニングを対応してくれますが、そこから適正な業者さんへ仲介する場合もあります。
ですが最近悉皆屋さんは少なくなりました。

東京では、百貨店の呉服店などに悉皆コーナーが設置されていて、そこで専門の方が相談にのってくれます。
高島屋、三越などでも専門の方が常駐しているようです。

新宿高島屋では加工先も開示していますので、チェックしてみてください。

ただ、実際の洗いなどを頼むとなるとけっこう料金は高め。
先に紹介した料金の参考価格の最高額と考えていいかもしれません。

ただ、高島屋や三越は特に呉服関係には定評があります。
料金の高さは安心価格ととらえてください。

ただし料金は表記されていないので、加工をお願いするときは事前見積もりを依頼したほうがいいかもしれません。
私は直接依頼したことはありませんが、実際お願いしたら想像以上に高かったと言う声も聞きます。
また、遠方の方や量が多い方は発送も受付けてくれるようです。

呉服屋と悉皆屋、どう違うのかというと、呉服屋さんの店員はある程度知識はありますが、洗いなどの専門業者ではありません。
そのため、一度専門業者に相談という場合も多々あります。
ですが、悉皆屋さんはその点プロなのでその場でアドバイスしてもらえます。

仕立て直しなども検討しているようであれば悉皆屋さんのほうが適切なアドバイスがもらえると思います。

着物のメンテナンスは基本着た後の処理と保存の仕方で洗いは最低限にするのが鉄則です。
丸洗いもシーズンごとに出す必要はありません。

ですが経年で知らず知らずのうちにシミが出てきてしまうのが着物。

滅多に着ない着物でも定期的に虫干しし、シミや汚れがでていないかチェックするようにしてください。

どうしても保存方法に不安があると言う方は高島屋などに保管サービスもありますのでそこを利用するのも手かと思います。

着物は洋服と違って長~いお付き合いになるので手間を惜しまず定期的にメンテナンスしてあげてくださいね。
丸洗いは仕上がり期間1~2ケ月かかる場合もあるので、シーズンオフの時期に出すことをおススメします。

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