鵜飼(うかい)を楽しむ

鵜飼(うかい)を楽しむ

「おもうしろうて やがてかなしき 鵜舟かな」
鵜飼をみて松尾芭蕉が詠んだ句です。

ざっくり説明すると、面白くて見ているとあっという間に時が過ぎ、終わってしまうのがさみしいという意味です。

幻想的で夏の風物詩でもあり、戦国武将も魅了され、今や国重要無形民俗文化財にもなっている鵜飼とは?

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鵜飼とは

今やイベント的要素の多い鵜飼ですが、元々は中国から伝わってきた漁法。

鵜匠が鵜という鳥に紐を巻きつけ、呑み込めない大きな魚(主に鮎)を舟に引き上げ吐き出させる手法の漁です。鵜はのどに通る大きさの鮎は食べられる仕組みです。
(余談ですが「鵜呑み」という言葉はこの鵜が魚を丸のみする様子からきています)

舟に篝火(かがりび)をたき、鵜匠が匠の技で何羽もの鵜を操る様子は幻想的です。
通常5月半ばから10月半ばまでほぼ毎日行われています。
天候や川の増水などで急遽中止になる場合もあります。

鵜飼を見せる行事としたのは織田信長と言われています。
「鵜匠」という地位を与え鵜飼を保護したほどです。
そのほか家康はじめ数々の戦国武将も魅了。さらにチャールズ・チャップリンは来日した際鵜飼をみてすっかり魅了され、生涯2度も見に来ました。

明治に入ってからは明治天皇の岐阜巡幸の際、岩倉具視らが鵜飼を観覧し、天皇に鮎が献上されたという記録もあります。

数々の著名人はじめ、今もなお毎年人々を魅了し続けています。

鵜飼の歴史

戦国武将をも虜にさせた鵜飼、歴史が古いのはもう想像がつくかと思います。
中国から渡ってきた説と、日本と中国それぞれに発祥した説などあり、実はその起源は明らかではないそうです。

しかし鵜飼を表現した埴輪が出土していることから、もしかすると縄文時代から行われていた可能性もあると言われています。

確実なのは「古事記」「日本書紀」に記述があることから7世紀には行われていたと考えられています。

鵜飼の歴史で一番古くから行われていたのは岐阜県の美濃。長良川で、今も鵜飼の名所として一番有名かもしれません。

もてなしの一種のイベントと認定したのが織田信長。(岐阜県は織田信長のお膝元ですね)
信長は客人に鵜飼を見せたり、鵜飼で捕れた鮎を自ら選び送ったりと鵜飼を一つのコミュニケーション行事としました。

また、信長亡き後、大阪夏の陣の帰りに家康は鵜飼を鑑賞。その時食べた鮎の味が忘れられなくなり、江戸にもどってからも度々岐阜から鮎を取り寄せたといいます。

その後、初代尾張藩主である徳川義直の鵜飼上覧にはじまり、歴代尾張藩主による長良川鵜飼の上覧が慣例となりました。
もちろん鵜飼に魅了されたのは武士だけれはありません。江戸時代の俳人、松尾芭蕉も「おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな」と句を残しています。

先にも記載した明治天皇の岐阜巡業に随行した岩倉具視らが鵜飼を鑑賞。
その鮎が天皇に献上されたことをきっかけに、岐阜県は鵜飼を伝承させるため、宮内省に皇室専用の皇室専用の「御猟場(ごりょうば)」の設置や「鵜匠」という公式の役職の設定を認定いただくよう願い出ます。

結果、明治23年長良川3か所に御猟場(現御料場)を設置。
これにより一般人が漁をできなくなりました。

鵜飼は鮎が生息してこそ成り立つ職業です。
今もこの御料場で捕れた鮎は皇室に献上されています。

皇室御用の鵜飼は日本全国の鵜飼で岐阜県長良川だけです。

こうして1000年以上続く鵜飼。

1955年には長良川の鵜飼用具一式122点が重要無形民族文化財に指定
1996年、鵜匠が鵜をはげます「ホウホウ」という掛け声や、船頭が船をたたく「ドンドン」という音は「日本の音風景百選」に選ばれています。

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鵜飼の流れ

さて、そんな鵜飼。
実際参加するとどんな流れとなっているのでしょうか。

岐阜県長良川の鵜飼の流れを追ってみます。

事前予約

鵜飼は事前予約制となっています。

予約方法は電話かホームページ。
食事あり(仕出し弁当とお茶)・なし・宿泊施設経由での申込みなどいくつかプランがあるので、事前にチェックしてください。

問い合わせはこちら。
鵜飼観覧船事務所:058-262-0104

当日の流れ

17:30ごろ 受付
受付し、舟が指定されます。

17:45 鵜飼説明
鵜匠さんからの説明。

18:15・18:45・19:15出船
出船時間によって料金も異なります。

鵜飼が始まるまで舟で食事もできます。

19:45 鵜飼開始
停泊したままの観覧船から、鵜舟が順次川を下る様を鑑賞。
通常、鑑賞舟が鵜飼の舟に横づけし比較的近くで鑑賞しますが繁忙期になると着岸して下船し、そこからの鑑賞となる場合もあるようです。

混雑具合は事前に事務局で確認したほうがいいかもしれませんね。

20:30頃 下船
お気をつけてお帰りください。

お弁当は持ち込みもできます。
近くにコンビニなどはありませんので、事前に予約して置いたほうが安心です。

長良川鵜飼のホームページでは仕出し弁当を頼めるお店も掲載しているので確認してみてください。

岐阜の鵜飼の周りは自然あふれ、美濃和紙などの産地の近くでもあります。
ぜひ周辺の観光もしてください。

あと、注意点としては夏場虫が多いので、虫よけ対策はしておいたほうがよさそうです。

岐阜長良川基本情報

住所:岐阜県岐阜市湊町 1-2
電話:058-262-0104
営業期間:毎年5月11日~10月15日
料金:(出船時間・日にちによる)
大人3,200円~ 子供1,800円~
アクセス:
JR岐阜または名鉄岐阜より岐阜バス岐阜公園、長良橋・高富方面行き及び市内ループ左回りのバス乗車。「長良橋」バス停下車、徒歩3分
公式サイト:http://www.ukai-gifucity.jp/ukai/

 

鵜飼の開催地

長良川以外の主な鵜飼開催地です。
長良川鵜飼・肱川鵜飼・三隈川鵜飼が日本三大鵜飼と呼ばれています。

肱川鵜飼(愛媛県)

鵜飼の船を屋形舟で取り囲み鑑賞するという形式の肱川(ひじかわ)鵜飼。
かなり近くで臨場感たっぷり。

約2.7kmの距離を下りながら2時間の楽しめます。
期間は6月1日~9月20日。

三隈川鵜飼(大分県)

大分県の重要無形文化遺産にもなっている三隈川鵜飼は400年続いています。
8月・9月の毎週土曜日には花火も上がるので、二度楽しめてお得!
これぞ日本の夏といった風情が味わえそうですね。

開催期間は5月20日~10月31日

以上、新型コロナ感染状況によって日程や開催の有無など細かく状況が変わってくる可能性もあります。
事前に事務局に問い合わせを忘れずに。

1300年以上続く鵜飼。
国内外の数々の著名人も魅了された日本の伝統行事でもあります。

これを機に「一度見てみたい」と思った方、ぜひ今年どうでしょうか。

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