扇子を持ち歩く方、増えましたね。
サラリーマンもスーツの内ポケットに忍ばせている人も多いですね。
江戸扇子をご存知ですか。
京都の「京扇子」の職人が浅草に移り、売り始めたことが始まりとされています。
京扇子とは異なり、骨が太くしっかりとした作りは一人の職人がすべての工程を請け負います。
その職人技の扇子は普通の扇子とどこがどう違う?
贈りものにも自信を持っておススメの逸品。
江戸扇子の特徴と扇子の選び方。
参考になればうれしいです。
江戸扇子の特徴 職人の作る扇子はココが違う
最近は100円均一ショップでも可愛い扇子が並ぶようになりましたね。
実際、
「扇子なんてどれもそんなに違いはない。」
と思われているようです。
江戸扇子は当然、高いです。
中には2万円を超えるものも。
(もちろん、もっと手軽な価格のものもあります)
「たかが扇子に高い!」
ホントに高い、でしょうか?
まずは江戸扇子の制作工程をみてみましょう。
江戸扇子のできるまで
こ~んなに工程があるの、驚きですよね。
長紙、芯紙、長紙の順に和紙を3枚貼り合わせる2.色引き
地色をつけ、乾かしてまた柄をつけたり柿渋を塗ったりします。
乾かしながらなので、この工程だけで2~3日かかります。
3.乾燥
色引きした和紙を十分乾かす。
4.平口開け
紙の繊維を慎重にはがすように芯紙の中央に骨を通す穴を作る。
5.湿し
湿らせた布で地紙を包み十分に湿らす。
6.折り
扇子の骨に合わせて蛇腹に折っていく。
7.端切り
余分な地紙を切り落とす。
8.叩き
拍子木を使って地紙を叩いて形を整え、型に入れて圧をかける。
9.乾燥
圧をかけたら、乾燥させる。
10.中指し
芯紙に開けた口から真っすぐになるよう、骨の通る穴を開ける。
11.せきこみ
再び型に入れて3~4日ほど圧をかける。
12.化粧裁ち
余分な部分を落とし、上部に金や銀を塗る。または箔押しする。
13.吹き
拍子木で叩き、形を整え、芯紙に開けた穴に息を吹き入れ穴を広げる。
14.つけ
地紙に合わせて骨の先を切り長さを整え、米粉でできた糊をつけ、一本一本芯紙の穴に差し込む。
15.乾燥
糊を完全に乾燥させる。
16.たたき
拍子木で叩いて形を整える。
細かい作業を工数に入れれば、その数30とも言われています。
京扇子は完全分業制ですが、江戸扇子は一からの工程を一人の職人の手で行われます。
1本ずつ作るわけではありませんが、1本の扇子ができるまで1週間ほどかかります。
何が違う?江戸扇子の特徴
「工程がかかるのは分かったけど、高いからって100均の扇子と何が違う?」
ズバリ、違います。
風の圧。つまり「涼しさ」が違います。
その理由は骨と紙。
和紙は繊維があるため、洋紙と比較すると圧倒的に強さがあります。
それを重ね合わせた地紙は、しっかりと空気抵抗を生み出します。
最近は本和紙を使うことも少なくなったそうですが、上質の紙をしっかり貼り合わせる工程は変わりません。
さらにその風圧に耐える骨は素材は厳選された竹。
中国製の扇子と比べると、風を送る抵抗力が違うため、ちょっとあおぐだけで風が生まれます。
コピー用紙のような柔らかい紙であおぐのと、厚紙であおぐのとそちらが涼しく感じますか?
職人の作る扇子と海外で量産された扇子も同じことが言えます。
京扇子と江戸扇子の違い
京都で作られる伝統的な扇子と東京で作られる江戸扇子の違いとは?
- 骨の数
- 柄
- 大きさ
- 工程
骨の数は京扇子のほうが多いです。
また、地紙の部分の幅が狭いものがありますが、これも京扇子に多いデザインですね。
柄は江戸扇子の大柄で粋なものと比べ、京扇子は友禅のような飾りたくなるような図柄が多いです。
工程に関しては、先に述べた通り京扇子は分業制。つまり地紙を作る・折る・差し込むのそれぞれの工程に専門の職人さんがいるのに対し、江戸扇子はすべて一人の職人さんが行います。
では、実際どのような扇子が良いとされるのか。
扇子の選び方のポイントはこちらです。
知っておきたい扇子の選び方
良い扇子ってどういったところが違うのか。
実際職人さんに聞いたお話です。
ここをみれば間違いないというポイントを挙げてみました。
最後の閉じ音をチェック
良い扇子は閉じるとき、最後にパチンと心地良い音がしてしまります。
少しの抵抗感もあります。
これが丁寧に作られている証拠。
その理由は骨の締りかたと骨の並び方が均一でしっかりしていること。
また、地紙がしっかりしている証拠とも言えます。
このしまり方は職人のこだわりどころのひとつです。
ここが気持ち良くパチンと音がするのが見極めのひとつと言えます。
横から見る
工程でも紹介した通り、クオリティの高い扇子は地紙の「折り」も職人の手で丁寧に作られます。
ただ、100均の扇子などは機械などで骨に合わせたものではないので、扇子を閉じた状態で骨から紙がはみ出ていたりします。
骨と紙の接着
骨にしっかり地紙が貼りついていないと、開閉しているうちによれてきます。
扇子の背面が骨がむき出しなどは論外です。
扇子専門店では紙が破れたりすると貼り替えを請け負ってくれます。それはそこで作った扇子は骨がしっかりしているかぎりずっと使い続けられると自信をもっているからです。
100均の扇子は紙を貼り替えできるほどの骨の耐久性はありません。
構造上の選び方は以上です。
後は好みですね。
男持ち、女持ちとありますが、最近はさほどこだわらず売れるようです。
内ポケットに入れておきたいと短めの女持ちの扇子を買う男性もいますし、より涼しさをもとめて大きい扇子を買う女性もいます。
ちなみにサイズは男持ち七寸五分(約225mm)、女持ち六寸五分(約195mm)くらいです。
地紙の加工は柿渋を塗ったものや金箔を貼ったものなどまちまち。
好みによって、または贈り相手によって選んでください。
骨と地紙の組み合わせによって、全く違う表情がみえるのも扇子の楽しみの一つかもしれませんね。
贈りもの・ギフトにも最適!江戸扇子の購入法
匠の技を持つ職人の手によって作られた扇子は間違いなく贈りものとしても喜ばれる逸品です。
自分ではなかなかそこまでの価格の扇子は購入しませんしね。
もともと、末広がりの扇子は、福を呼ぶ縁起物とされ、結婚祝いや長寿祝い等のギフトとして人気がありました。最近は日常使いされているので、父の日や母の日、就職祝いなどでも喜ばれそうです。
ではその江戸扇子。
どこで手に入るのか。私の知るかぎりはこちら。
江戸川区指定無形文化財(工芸技術・扇子)保持者 松井宏氏制作の扇子が購入できます。
価格帯は15,000~26,000円くらいです。
雲錦堂 深津扇子店
私もこちらで作られた扇子を使っています。。
歌舞伎役者の扇子も手掛けるこちらの工房で作られた扇子は、デザイン豊富。
きっとお気に入りが見つかるはずです。
直販店はないので、問合わせしてみてください。
住所:東京都荒川区荒川4-31-8
TEL:03-3807-6886
メール:sensu@tcn-catv.ne.jp
江戸扇子のまとめ
京扇子と比べるとその歴史も浅いですが、そのクオリティは間違いありません。
注意はよく「江戸柄扇子」として売られているものがあるのですが、それはけっして「江戸扇子」とはかぎりませんので注意してくださいね。
購入時、扇子に紙を輪にしたものがはまってしますが、それは捨てずに使用しないときは扇子にはめておいてくださいね。
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