麻着物は夏の暑い時期に重宝しますが、当然汗も染み込んでいます。
そのまま保管すると黄ばみの原因になりますので、しっかり汗抜きをしましょう。
ドライクリーニングでは汗によるタンパク質は落とせません。
家で洗えばスッキリさっぱり。
麻着物の洗い方をマスターしておけば、シーズン中気になるときにいつでも洗って気持ちよく着られます。
ちなみに木綿着物や浴衣も同じ要領で洗えます。
ただしあくまで自己責任でお願いいたします。
麻着物を家で洗う下準備
いきなり水に浸けるのではなく、下準備から始めていきます。
確認事項
麻は自宅でも洗えます。
ただし、当然そのリスクはあります。
考えられるリスクは以下の通り。
- 丈が縮む
- 色落ち
- 型崩れ
専門店だからこれらのすべてのリスクが回避されるわけではありませんが、もし心配ならやはり専門店に相談した方がいいでしょう。
地詰め(じづめ)といって、あらかじめ麻の反物を何度か水に通し、ある程度縮ませてから仕立てした麻着物は比較的縮み方は少ないですが、地詰めしていない麻着物はかなり縮みます。
縦方向に縮むので、丈が短くなったり、袖丈が短くなって襦袢とサイズが合わなくなるなどの現象が起こります。
準備するもの
最低限こちらは用意してみてください。
- おしゃれ着用洗剤
- バスタオル(色移りしてもいいもの)
- 着物用ネット(ワイシャツ用でもOK)
着物用洗濯ネットは、しわ防止のためあったほうが安心です。
シミがないかチェック
一番汚れるのは襟。あとは袖口と裾。
特に汚れているところをチェックしたら全体的にシミがないか確認します。
シミがついている場合は、少量の洗剤をつけて軽くつまみ洗いします。
落ちないからとこすり洗いは絶対NGです。
そこはあきらめて、一旦洗い流し悉皆屋(しっかいや)に持っていってください。
悉皆屋や呉服屋さんなどがない場合は、麻ならクリーニング店に相談してみてください。
その際、シミ抜きをしたいことを伝えてください。
麻着物の洗い方
下準備ができたらいよいよ洗いです。
手洗いでなくても洗濯機でも洗えますが、おしゃれ着モード(弱流水)で洗ったほうが安心です。
ポイントは以下。
- 畳んで洗う
- お湯は使わない(必ず水で)
- 脱水は短く(絞らない)
- 陰干し(日光に当てない)
手洗いの場合
手洗いの場合はネットに入れなくても構いませんが袖畳みをしておきます。
1. 洗面器に水をはり、中性洗剤をよく溶かします。
2. 袖畳みした麻着物を浸けます。
3. やさしく押し洗いします。
4. 何度も洗面器の水をかえながらすすぎます。
5. 洗濯機で脱水します。脱水時間は1くらい。
洗濯機を使わない場合はバスタオルにはさみ、押しながら水気をとります。
この方法だとしわも伸ばせます。
6. ハンガーにかけて風通しの良い場所に陰干しします。
直射日光は変色の原因になるので、必ず日の当たらない場所で干します。
7. 乾いたら、当て布をしながらアイロンをかけます。
アイロンしたら本畳みしてしまいます。
洗濯機の場合
おしゃれ着モードで洗ってください。乾燥機は使わないように。
1. 袖畳みをしてネットに入れ、おしゃれ着モードで洗います。
2. 脱水は1分までです。
3. ハンガーにかけて風通しの良い場所に陰干しします。
直射日光は変色の原因になるので、必ず日の当たらない場所で干します。
4. 乾いたら、当て布をしながらアイロンをかけます。
アイロンしたら本畳みしてしまいます。
ピシッと仕上げるコツ
麻は程よく柔らかさを保ちつつもクタッと感がでてていると魅力度半減。
ごわつかない程度にはピシッとハリを出したいですね。
ハリをだすにはやはり洗濯糊を使います。
生乾きのまま干した状態で、スプレーボトルに洗濯糊を薄め、干した状態の着物にスプレーします。
ただし縮などは元々ハリがあるので糊は不要です。
また、十分乾かないうちに本畳みし、手のし(手でアイロンかけるようにのばすこと)をして包装紙などで挟んでなんとそのうえに重しをする方法があります。一晩置いておくとピンとなっています。
乾いていないぶぶんがあったら、またハンガーにかけて干します。
コツは「生乾き」であること。
乾きすぎてしまったら軽く霧吹きなどで湿らしてから重しをのせます。
この方法であればアイロンはいりません。
家で洗わないほうがいい場合
家で洗えるようになれば麻は夏の時期いつでも気持ちよく着ることができます。
ですが、目立たないところで水をつけて布でこすったら色落ちした、とか仕立て時に地直ししたのか不明という場合は、専門店にお任せしたほうが安心です。
また、シミが付いた場合は無理して落とそうとすると生地を傷めたり、色が抜けてしまったりするため落ちないと思ったらあきらめて専門店へ相談しましょう。
大きいシミがある場合は、最初から専門店へもっていったほうが安心です。
シミをつけたらなるべく早く持って行ったほうが落ちやすいです。
麻の着物の保管方法
麻の着物の保管にあまり気を使わない方がいますが、はやり防虫対策は必要です。
着物対応(または着物専用)の防虫剤が安心です。
また、たとう紙は新しいものを使用します。古いものは除湿力もおちているので、変色やカビの要因になることも。
冬、乾燥した時期に一度出して陰干しするとさらにトラブル防止になります。
正絹の着物ほど神経質になる必要はありませんが、あまりずさんな管理をすると後で泣くことになりますので、大事に保管してくださいね。
以上、麻の着物はお手入れがカンタンです。
汗をかいたら家で洗ってさっぱり。
この夏たくさん夏着物楽しんでください。
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