歌舞伎界一大イベント!團十郎襲名披露とは

2020年、5月から3ヵ月にわたり歌舞伎界では一大襲名披露が予定されていました。
十一代目市川海老蔵による十三代目市川團十郎白猿の襲名です。
残念ながら襲名公演は延期となってしまいましたが、見方を変えればお楽しみがちょっと先になったということです。

役者の名前が変わる。

それだけのことなのですが、歌舞伎界にとっては團十郎襲名はまた格別なもの。

ちょっと気になっていた方へ。
知っておくとちょっとだけ歌舞伎ツウ(?)
歌舞伎界における名跡、さらに團十郎襲名披露公演の見どころのお話です。

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歌舞伎界襲名披露とは

襲名は伝統芸能の世界ではどこにでもあることはご存知の通りです。
能や狂言はもちろんのこと、落語会にもありますね。

2020年の話題でいえば、人気講談師の神田松之丞(かんだ まつのじょう)が六代目 神田伯山(ろくだいめ かんだ はくざん)を襲名。この名前が講談師としてはとても名誉なものだと話題になりました。

歌舞伎ではほとんどがその「家」の一代前の名前を継ぎます。

正確には「名前」でなく「名跡(みょうせき)」と言います。
これは単に先代の名前を受け継ぐだけでなく、芸も含むことを表しています。

歌舞伎の世界では各名跡によって「十八番のお家芸」のようなものがあります。
この度襲名がきまっている市川海老蔵の家「團十郎といえば荒事」尾上菊五郎の家といえば世話物など。

少し前は女役・立役の芸風もそのまま受け継いでいた時代もあったと言われています。
芸の師匠が父親なので、当然といえば当然ですね。

歌舞伎界では近年、親子同時襲名など馴染みの役者さんの名前が立て続けに変わり、歌舞伎にあまり馴染みのない方は混乱しているかもしれません。

そして2020年、歌舞伎界一大イベントとなる市川海老蔵改め十三代市川團十郞(いちかわ だんじゅうろう)襲名披露が予定されていましたが国および都の緊急事態宣言によって延期となりました。

團十郎襲名が注目される理由

なにかと注目される十一代目市川海老蔵。

このたび息子堀越勸玄くんも八代目市川新之助襲名となり、二代同時襲名という意味でも注目されています。
ただ、團十郞襲名に注目が集まるのは、海老蔵親子の人気が高いからではありません。

「團十郎」の家は歌舞伎界の「宗家」にあたります。

歌舞伎界ではそれぞれ名跡が一種のブランドのようなもの。
お家によって「格」があり、「團十郎」の家はその頂点にあります。

そのため、数年前に亡くなった海老蔵さんの父、團十郞さんの名跡を襲名するということは「成田屋」だけのイベントでなく歌舞伎界にとっても大イベントとなるのです

團十郎・成田屋の歴史

初代市川團十郎
繰り返しになりますが、現在の歌舞伎界の土台を気づいたのは初代市川團十郎。

時代は江戸時代になります。

そのころ、武士以外には名字を与えられませんでした。
それは役者も同じです。

役者で初めて名字を名乗ったのは初代團十郎と言われています。
幕府には黙認されていました。

そのほか、現在の歌舞伎十八番など現在も人気の演目を築きあげたのも團十郎家。
「歌舞伎十八番」は七代目團十郎が初代から4代目までが初めて演じ、中でも得意としていた演目を集め定めたものです。よってこれらは代々團十郎によって作りあげてきた現在にも残る演目18選といえます。

得意なものを「十八番(おはこ)」というようになったのもこの歌舞伎十八番(かぶきじゅうはちばん)が由来です。

さらに初代團十郎は「見得」や「六方(ろっぽう)」といった現代の歌舞伎では当たり前の演技法や、隈どりなどの表現法などの「荒事芸」を完成させ、江戸歌舞伎で大人気の役者になりました。

現代でも伝わるのは「にらみ」
成田屋ににらんでもらうとその年無病息災で過ごせるという縁起の口上があり、よく年の初めなどで行われます。

目を見開き、さらに寄り目にし、客席一帯をにらみます。
これも数ある成田屋のお家芸のひとつとなりました。

昔は芝居小屋の入口に團十郎のにらみの絵が貼り出され、それを見ると風邪も治るとされていたほどです。

こういった派手なパフォーマンスも重なり、團十郎は初代より「荒事神」として江戸の町人から信仰されてきました。

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屋号の初まり

観劇に行くとどこからか「中村屋!」「音羽屋!」などと掛け声がかかりますが、これはその瞬間見せ場を作った役者の屋号です。

團十郎家の屋号は「成田屋」
初代が後継ぎの出生を願って成田山新勝寺に祈願したとこと、二代目團十郎が生まれたことにより、この屋号が生まれたとされています。

「屋号」を歌舞伎役者の中で初めて定めたのも初代團十郎
これは名字を持たない商人がよく「越後屋の○○兵衛」と名乗っていたことにあやかり、役者の一族にも屋号を作りました。

余談ですが、その後、出世魚のように襲名方式が取り入れられると、この屋号はさらに大事なものになります。
実は歌舞伎役者の名跡の「名字」は親子で異なることもあります。

例としては「松本幸四郎」と「市川染五郎」など。

これは実子に恵まれなかった場合、歌舞伎役者の血筋から養子として迎え入れることが習慣となったため。
名字は引き取り元のものを引き継ぎ、それが後世にも残っています。そのため同じ家を表すものは名字でなく屋号となっていきました。
ちなみに團十郎の前名跡とされる「海老蔵」は初代團十郎の幼少期の本名です。

現代の礎を築いた代々の市川團十郎。

團十郎の歴史が歌舞伎の歴史というわけです。
そのため、現在予定されている十一代海老蔵さんが團十郎襲名するということは、今後の歌舞伎界を背負うということに等しいのです。また歌舞伎界にとって新たな歴史の幕開けになるのです。

その重責は図り知れないものですね。

十三代目團十郎襲名披露公演予定演目と見どころ

市川団十郎

歌川国貞「揚巻の助六 市川団十郎」

十三代目團十郎襲名披露公演は三ヶ月に渡ります。
延期になった五月公演予定だった演目は以下の通り。

【昼の部】
一、祝成田櫓賑 (いわうなりたこびきのにぎわい)

二、仮名手本忠臣蔵 (かなでほんちゅうしんぐら)

三、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

【夜の部】
一、寿曽我対面 (ことぶきそがのたいめん)

二、十三代目市川團十郎白猿襲名披露 口上(こうじょう)

三、歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)

昼夜、まさに團十郎襲名公演にふさわしい演目です。
どれも歌舞伎では人気演目ばかり。

個人的には口上のある夜の部がおススメ!
歌舞伎の襲名口上は幕が上がったとたん、ズラリと馴染みの役者さんが並び圧巻!
一人一人祝いの言葉を述べます。

役者さん個人が襲名する役者さんへの祝いの言葉。
芝居では見られない貴重な機会です。

演目で特に見どころは「助六由縁江戸桜」
特に人気の高い演目で、成田屋由来の演目。

実はこの助六、主役の助六の演者によって本題、さらに小道具や音楽までもが変わるのです。
成田屋が演じるときは「助六由縁江戸桜」で、例えば音羽屋が演じる時は「助六曲輪菊(すけろく くるわの はつざくら)」、片岡仁左衛門(松嶋屋)が演じる時は「助六曲輪初花櫻(すけろく くるわの はつざくら)」など。

音楽も異なりますが、細かいのは助六の持つ刀のつばの文様まで異なること。

これはさすがに最前列で観てもなかなか分からないと思いますが、こうした工夫はこの演目は成田屋の作りあげた名作であり、今日他家の役者が演じさせてもらっているという敬意からと言われています。

助六は江戸一のモテ男。
恋人は揚巻という吉原のトップの花魁。

助六の紫のからかさを振りかざすポーズは歌舞伎演目の中でも特に有名なシーン。

出端(でば)と呼ばれる花道からの登場シーンは観客を魅了します。

江戸の粋たっぷりの物語の展開。
一度は観ておくべき演目のひとつです。

こちらもぜひ一読ください。
> 歌舞伎 助六あらすじと見どころ

歌舞伎界の一大イベントの團十郎襲名披露。
今まで歌舞伎を観たことないと言う方も楽しめる演目ばかりです。
チケットは通常より少々高くなりますが、その価値はありますよ。

公演が延期なったのはある意味チャンスかもしれません。
公演日程は松竹の公式サイトで時期に発表されると思います。

ぜひこの機会に歌舞伎を楽しんでみてください。

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